以前、日本で遅刻をしてしまったとき、「あなたは外国生活経験があるからそれが当たり前なのかもしれないけど...」という言い方でお叱りを受けたことがありました。

この「外国人は適当で日本人は几帳面」というイメージは、実は我々日本人だけが持っているものではありません。

ロシアでも、例えば連絡がなかなか返ってこない日本人のことを「Русский-японец(ルースキー・ヤポーネッツ:ロシア系日本人の意)」と冗談で言ったり、待ち合わせにいつも早く着きすぎる人(国籍は問わない)のことを、「あの人は日本人みたい」と表現することもしばしばあります。

 

私は今モスクワで大学院生をしながら、日本語の家庭教師としてアルバイトをしています。

語学学校には所属せず、全て個人契約をして教えているので、レッスンのたびに各ご家庭に出入りしたり・あるいは拙宅で受け入れたりしていると、それぞれの時間感覚の違いがよくわかります。

確かに、「時間にルーズな外国人」のイメージ通り、直前になってから突然「あと15分遅く来てほしい」「30分遅れます」という連絡をしてくる生徒さんも多いです。かと思えば、何の連絡もなしに15分早くインターホンを押されてびっくりしたことも。

私は、レッスンが早まった場合は「その分早く終われる」、予定より遅れて開始することになったときは「それまで時間が少しできてラッキー」と思えるタイプなので、こういった急な時間変更にイライラすることはありません。

 

しかし先週、こんなことがありました。ある生徒さんのレッスン前に本業の予定が立て込んでしまい、「今日は30分遅く開始でも差し支えないか」と本人に聞くと、「大丈夫」とのこと。

しかし実際にお宅に到着すると、いつも扉を開けてくれる生徒さんのおじいちゃんが、かなり不機嫌な様子。

生徒本人は「家族に確認したら大丈夫だって」と言っていたし、確かに他の予定に差し支えはなかったようですが、おそらくこのおじいちゃんは「予定が1分でも狂うのが嫌」なタイプだったようです。

タクシーに乗ってでも、いつもの時間に間に合わせるべきだったと反省しました。

いつもニコニコして優しいおじいちゃんがこの日は冷たい目をしていたのがショックで、なんだかレッスンにも集中できず......

一人目のレッスンが終わったところで(このおうちは兄弟です)、おじいちゃんにも直接丁寧に謝りに行きました。するとむしろ、おじいちゃんのほうから「そんなに申し訳なく思わせてごめんね」という雰囲気になり、大量のクッキーとチョコをいただいてしまいました。

 

ロシア人の時間感覚も、人それぞれ。確かにルーズめな人は日本より多い印象ですが、そのイメージに甘えてはいけないと反省した出来事でした。