前回の記事を書いたあと、

もう一度自分に問い直しました

前回、

「ボトックスを続けるとボケる」って本当?

という記事を書きました。

 

動物実験やヒトでの研究をたどりながら、

ボツリヌストキシンと脳・認知機能について、

現時点でどこまで分かっているのかを整理しました。

 

記事を公開したあと、ふと自分の中に一つの疑問が

残りました。

 

「通常の美容目的のボトックス治療には大きな問題はない」

 

という結論にたどり着きたい気持ちが先にあって、

その結論に合うように論文を読んでいなかっただろうか。

 

もちろん前回も、動物での軸索輸送やヒトでの脳機能の

変化・重症ボツリヌス症など、気になる研究も含めて

調べました。

 

それでも、

 

「問題ない」という結果を得て安心したい自分自身の

バイアスが、論文の探し方や受け取り方に影響して

いなかったか。

 

そこをもう一度確認したくなりました。

すると今度は、別の疑問が次々と浮かんできました。

 

・そもそも、ボツリヌストキシンは

 本当に注射した場所だけに作用するのだろうか。

・注射した場所から離れた筋肉や全身への影響はあるのか。

・もしあるなら、それは検査をすると分かる程度なのか

 それとも患者さんに症状が出るほどのものなのか。

・製剤、投与量、投与間隔によって違うのか。

・患者さんの年齢や基礎疾患などによって違うのか。

・そして、一回ではごく小さな変化でも、

 それを何年も繰り返したときに何らかの影響が蓄積する

 可能性はないのか。

 

気になり始めると、ついには夢にまで出てきました。

 

そこで今回は、

前回の記事の結論を確認するためではなく、

その結論自体をもう一度疑ってみるつもりで、

検索範囲を広げて文献を調べ直しました。

 

私が知りたいのは、
「安全」と言い切るための材料でも、

「危険」と言い切るための材料でもありません。

現時点の科学的根拠から見た、

実際の危険性と安全性の大きさです。

その根拠に見合った「適切な危険度・安全度」を

自分の中に持ち、患者さんにも危険性や安全性を

過大にも過小にも評価せずにお伝えしたい。

それが、今回もう一度調べ直した理由です。

今回は、そのために調べたことを書いてみます。

 

 ※この記事では、一般的な薬理や研究について述べる

  場合は「ボツリヌストキシンA型(BoNT-A)」、

  製品全般を指す場合は「ボツリヌストキシン製剤」、

  特定の製品について述べる場合は製品名を用います。

  「ボトックス」は一般に広く使われている呼称として、

  タイトルなどで使用しています。

「注射した場所の外」への影響は、

実際どの程度あるのか?

まず私が確認したかったのは、
「注射した場所の外」への影響が

実際にどの程度あるのかという点でした。

ただし、「注射した場所の外への影響」といっても

医学的にはいくつか異なるレベルがあります。

 

・注射した筋肉の周囲まで作用が広がること
・注射していない離れた筋肉に、検査で分かる変化が

 生じること
・全身の筋力低下や嚥下障害など、実際の症状が起きること
・さらに、長期間の反復によって何らかの影響が蓄積する

 こと

 

これらは同じではありません。

そこでまず、
「ヒトで、注射していない離れた筋肉に本当に変化が

起きるのか」
から調べてみました。

 

ヒトでも、注射していない離れた筋肉に

変化は起こるのか?

これは、起こることがあります。

しかも、動物実験だけではなく、ヒトでも報告されて

います。

 

1991年、Langeらは、頸部ジストニアの患者42人を対象に、首の筋肉へBoNT-Aを注射したあと、

注射をしていない手足の筋肉をsingle-fiber EMG

(単線維筋電図)という方法で調べました[1]。

 

この患者さんたちが参加していた二重盲検プラセボ対照試験

では、onabotulinumtoxinA(BOTOX)が150~165単位

使用されていました。顔の美容治療で一般的に使用する量

よりかなり多い、頸部ジストニアに対する治療です。

 

jitter(ジッター)とは?

 

この研究で調べられたのが、jitter(ジッター)

という値です。

 

神経から筋肉へ「動け!」という信号が送られるとき、

その信号は神経筋接合部という場所を通って筋肉へ伝わり

ます。

同じように信号が送られても筋線維が反応するタイミングは毎回完全に同じではありません。

そのタイミングの揺れ・ばらつきを非常に細かく測ったもの

がjitterです。

jitterが大きくなるということは、神経から筋肉への信号伝達

が以前より不安定になっていることを意味します。

ただし、これは「神経の伝達速度が遅くなった」という意味

ではありません。また、jitterが増えたこと自体がそのまま

筋力低下を意味するわけでもありません。

単線維筋電図は非常に感度の高い検査で、患者さんに

自覚症状がなく、通常の診察では分からない程度の微細な

神経筋接合部の変化も捉えることができます。

 

2021年に24報をまとめたレビューでも、

jitterはBoNT-A投与後の神経筋接合部の変化を鋭敏に捉える

指標であり、注射部位から離れた筋肉でも増加することが

あると整理されています[4]。

 

1991年の研究では、実際に何が起きたのか

 

治療前の平均jitterは26.8μ秒でした。

BoNT-Aを投与した群では、2週間後に43.6μ秒へ増加し、

12週間後にも35.5μ秒でした。一方、プラセボ群では

ほとんど変化していませんでした。

つまり、

 

首に投与したBoNT-Aの影響が、

注射していない離れた筋肉でも電気生理学的には検出された

 

ということになります。これは重要な結果です。

この研究が直接示したのは、

 

「局所に投与したBoNT-Aの影響が、

 症状のない離れた筋肉にも、検査上は検出されることが

 ある」

 

ということです。

一方で離れた筋肉に臨床的な筋力低下などのremote clinical effectsは認められませんでした。

論文では、こうした変化を

subclinical effects(検査をすれば分かるけれど、

患者さんの症状としては現れていない変化)として報告

しています。

 

つまり、subclinicalな遠隔作用はヒトでも確認されている。

ではこの検査上の変化が、患者さんにとってどの程度の

臨床的意味を持つのか。

そこは、さらに別の問題として考える必要があります。

この「遠隔作用」は

一つの研究だけなのか?

1991年の研究だけを見ると、たまたま検出された現象なのか

どうかも気になります。

 

そこで、同じような遠隔作用を調べた研究を見てみました。

 

1987年にもジストニア患者5人を対象とした小規模な研究が

あり、245単位を超えて投与された患者では注射していない

離れた筋肉の単線維筋電図に異常が認められました[2]。

この研究でも、患者さん自身に筋力低下はなく、

通常の電気生理学的検査にも異常は認められていません

でした。

 

1999年には、中国から40人を対象とした研究も報告されて

います[3]。

18人にはAllergan社のBOTOX、22人には中国製BTX-Aが

使用され、注射していない遠隔筋を単線維筋電図で調べた

ところ、どちらの群でも投与2~3週間後にjitterの増加が

認められました。

この研究では、jitterを表すMCDという指標と投与量との間に

関連も報告されています。

ただし、この論文については、PubMedに掲載されている

英語抄録から具体的な投与単位数までは確認できません

でした。

そのため、投与量を推測して美容治療と比較することは

しないことにします。

 

さらに2021年には、BoNT-A投与後のsingle-fiber EMGに

関する24報をまとめたレビューが発表されています[4]。

このレビューでも、注射部位から離れた筋肉でjitterの増加が

報告されている一方、一貫したdose-effect relationshipは

確認されていません。

 

ここまでを見ると、

遠隔筋に微細な神経筋伝達の変化が起こり得ること自体は、複数の研究で確認されている。

一方で、

どの量ならどの程度起こるのか、その検査上の変化が

患者さんにとってどの程度の臨床的意味を持つのかについて

は、まだ単純には整理できない。

 

私は現時点では、そのように理解しています。

製剤や量・患者さんの条件によって

違うのか

ここも、私が知りたかったところです。

 

2013年の Diffusion, spread, and migration of botulinum toxin というレビューでは、BoNT-Aが注射部位から離れた

場所へ影響する機序として、局所への物理的な拡散・

より離れた部位へのspread・血行性の移動・軸索輸送など、

複数の可能性が整理されています[5]。 

また、製剤そのものの性質・注入量・希釈・注入方法などに

よって、BoNT-Aの広がり方が変わる可能性も検討されて

います。

一方で著者らは、ボツリヌストキシン製剤がこれほど

長期間、治療・美容の両分野で広く使用されてきたにも

かかわらず、体内でどのように分布し、それが臨床的な影響

とどう結びつくのかについてのデータはまだ十分ではない

と述べています[5]。 

つまり、離れた筋肉に検査上の変化が見つかったとしても、それだけで、

「どの経路を通って、どの程度のBoNT-Aがそこまで

 到達したのか」

まで分かるわけではありません。

 

さらに、ボツリヌストキシン製剤は製品が違えば「単位」

の意味も同じではありません。

BOTOX Cosmeticの添付文書にも、onabotulinumtoxinAの

単位は他のボツリヌストキシン製剤の単位とは互換性が

なく、単純に換算できないことが明記されています[15]。

 

患者さん側の条件も一律ではありません。

FDAのBOTOX Cosmeticの情報では、神経筋疾患がある方

や、もともと嚥下機能・呼吸機能に問題がある方では、

臨床的に重要な作用が起きるリスクが高くなる可能性がある

として注意が必要とされています[15]。

 

ここまでを見ると、

 

製剤・投与量・希釈・注入方法・投与間隔・そして

患者さん自身の背景を分けて考える必要があり、

「ボトックス」という一語だけですべてのリスクを

同じように語るのは難しい

 

ということが分かります。

では、本当に「全身に症状が出た」

報告はあるのか?

ここまでは主に検査をすると分かる遠隔作用について

見てきました。

では、実際に患者さんに筋力低下などの全身症状が現れた

報告はあるのでしょうか。

 

2010年、Crownerらは、BoNT-A治療後に全身性の筋力低下

を起こした3症例を報告し、それまでの症例についても

レビューしています[6]。

これらは美容目的ではなく、神経疾患などに対して

比較的高用量のBoNT-Aを使用した治療です。

報告された症例では、BOTOX(onabotulinumtoxinA)

として600~700単位前後という高用量が使用されており、

著者らは、特に600単位を超えるような高用量を、

約3か月程度の比較的短い間隔で繰り返す場合には注意が

必要である可能性を指摘しています。

 

つまり、BoNT-Aを局所に注射したあとに、臨床症状を伴う

全身性の筋力低下が実際に起こることはあります。

一方でこの報告で使われている量や患者さんの背景は、

顔の美容治療で一般的に使用される条件とは大きく異なり

ます。したがって、このデータをそのまま美容治療の危険度に置き換えることはできません。

ただ、「局所に注射したBoNT-Aが、条件によっては臨床的な

全身作用を起こし得る」という事実を考えるうえでは、

重要な報告だと思います。

医原性ボツリヌス症についても

調べました

 

では、検査上の遠隔作用ではなく、

実際に全身の症状が現れた報告はどうでしょうか。

 

2025年には、ボツリヌストキシン製剤の注射後に起きた

医原性ボツリヌス症について、1997~2024年の報告を

まとめたscoping reviewが発表されています[7]。

 

このレビューでは113症例がまとめられ、

主な症状として、嚥下障害82.3%・眼瞼下垂78.8%・

全身筋力低下65.5%などが報告されています。

重症例では呼吸不全もみられています。

 

つまり、ボツリヌストキシン製剤の投与後に、

臨床症状を伴う全身性作用が起こり得ること自体は

確認されています。

 

この論文で特に注目したのは、46%がunlicensed、

つまり承認されていない製剤に関連していたという点です。

製剤の品質や出所が安全性を考えるうえで重要であることを

改めて感じます。

ただし、この46%という数字の受け取り方にも注意が必要

です。この研究では、「承認製剤が世界中で何回使用され、

そのうち何例に医原性ボツリヌス症が起きたのか」

「未承認製剤が何回使用され、そのうち何例に起きたのか」

というそれぞれの使用回数、つまり分母が分かりません。

したがって、この研究から「未承認製剤は承認製剤より

○倍危険」とリスクの大きさを比較することはできません。

承認製剤に関連した症例も報告されています。

 

それでも、どの製剤を使用するのか、品質管理や流通経路が

確認された製剤なのかは、安全性を考えるうえで無視でき

ない要素だと思います。

 

「100~2000単位」という数字にも注意が必要

 

このreviewでは、投与量として100~2000単位という数字

も報告されています。

2000単位。

私自身も最初に見たときには驚きました。

ただし、ここで重要なのは先に述べたように、

ボツリヌストキシン製剤の「単位」は製剤間で互換性がない

ということです。

onabotulinumtoxinA(BOTOX)の100単位と、

別のボツリヌストキシン製剤の100単位を

同じ量として単純に比較することはできません。

したがって、このreviewに記載された「2000単位」を、

「ボトックスビスタ®を2000単位使用した」

と読み替えることはできません。

こうした数字はそれだけを切り取ると非常に大きく怖く

見えます。

だからこそ、

どの製剤を、どのような患者さんに、何の目的で、

どの程度の量を使用したときに起きたのか

まで確認したうえで、その報告の意味を考える必要が

あります。

通常の美容治療ではどのような

安全性データがあるのか?

ここまで、遠隔作用や全身性の副作用について見てきま

した。

 

一方で、実際の美容医療で一般的に使用される用量では

どのような有害事象が報告されているのでしょうか。

 

2023年に発表されたメタ解析では、

顔の美容目的でBoNT-Aを使用した32のランダム化比較

試験、9,669人が解析されています[8]。 

 

BoNT-A群ではプラセボ群より治療関連有害事象が多く

認められました。

主に報告されていたのは、眼瞼下垂や眉の位置の変化・

頭痛など、現在すでに広く知られている副作用です。

つまり、BoNT-Aは副作用のない治療ではありません。

一方、この規模の美容目的のRCTをまとめても

重篤な全身毒性が主要な安全性シグナルとして

浮かび上がっているわけではなく、著者らは全体の安全性

プロファイルを「acceptable」と評価しています[8]。 

 

この研究から分かるのは、

通常の美容治療を受けた多数の患者さんで、

実際にどのような有害事象が観察されてきたのか

ということです。

ただし、このメタ解析が直接調べているのは、

美容治療後に起きた臨床的な有害事象です。

BoNT-Aが体内をどのように移動するのか、

あるいは何十年にもわたる反復治療が認知機能などに

及ぼす影響を調べた研究ではありません。

 

ですから私は、この論文を、

 

 「通常の美容用量における現実的な安全性を考えるうえでは  

  重要なデータ。ただし、長期的な未知の影響まで答える

     研究ではない」

 

という位置づけで受け取るのがよいと考えています。

「繰り返し美容治療を受けた人」の

 データは?

では、美容目的のBoNT-Aを繰り返し使用した場合は

どうでしょうか。

 

日本人363人を対象に、眉間へ10単位または20単位の

BoNT-Aを64週間にわたり最大5回反復した研究では、

重篤な有害事象は認められず、中和抗体も検出されませんでした[9]。 

また、945人に行われた合計4,103回の上顔面美容治療を

後ろ向きに検討した研究では、報告された有害事象は

主として内出血や眼瞼下垂などすでに知られているもので、

いずれも軽度または中等度でした。

治療回数を重ねるにつれて有害事象が増えていく、という

累積的な安全性シグナルは認められていません[10]。 

 

abobotulinumtoxinAを用いて1,415人を追跡した反復投与

研究でも、有害事象の発生率は治療を繰り返すことで

増加せず、累積的な安全性上の問題は認められなかったと

報告されています[11]。 

 

つまり、少なくともこれらの美容領域の臨床研究では、

 

 「治療を繰り返すほど有害事象が少しずつ積み重なって

      増えていく」

 

という傾向は確認されていません。

もちろん、これらの研究だけで、非常に長期間にわたる

すべての影響まで評価できるわけではありません。

ただ、実際に美容目的で反復治療を受けた患者さんの

データとして、累積的な有害事象の増加が観察されていない

ことは、安全性を考えるうえで一つの重要な情報だと

思います。

 

「検査で分かる小さな遠隔作用」

が繰り返し蓄積することはないのか?

ここが、私自身かなり気になったところです。

1回の治療では症状がなくても、注射していない離れた筋肉に

jitterの変化が検出されることがある。

では、そのようなsubclinicalな変化を何年も繰り返した

とき、遠隔筋に何らかの影響が蓄積していくことはないので

しょうか。

 

2000年には、長期間BoNT治療を受けていたジストニア患者

21人について、注射していない大腿の筋肉を調べた研究が

あります[12]。 

この研究で調べられたのはjitterではなく、

fiber density(筋線維密度)です。

fiber densityは、神経筋への影響が長期間続いた結果と

して、筋肉に再神経支配や運動単位の再構築が起きていない

かを見るための指標です。

 

結果として、遠隔筋のfiber densityは正常で、

累積投与量との関連も認められませんでした。

 

つまり、この21人については、BoNT治療を長期間

繰り返したことによって、注射していない離れた筋肉に

慢性的な再神経支配や運動単位の再構築が蓄積している

ことを示す所見は得られませんでした[12]。 

ただし、対象は21人と小規模です。

また、先ほどのjitterが示している神経筋伝達の一時的

・微細な変化と、この研究で調べた長期的な筋の再構築は

同じものではありません。

ですから私はこの研究を、

 「遠隔作用が繰り返されても長期的な変化は絶対に起こら

 ない」ことを示した研究ではなく、

 「少なくともこの患者群では、遠隔筋に慢性的な再構築が

 蓄積している所見は認められなかった」

というデータとして受け取っています。

もっと長期間使用した人のデータも

あるのか?

長期反復投与については、さらに長い追跡データも

あります。

2014年には、ジストニア患者89人を対象に、

BoNT治療を平均18.5年間、最長26年間追跡した研究が

報告されています[13]。 

初回のonabotulinumtoxinAの平均投与量は140.3単位、

最終治療時には平均224.5単位でした。

非常に長期間にわたって反復治療を受けていますが、

治療効果は維持され、有害事象についても著者らは主として

忍容可能なものだったと報告しています。 

もちろん、この研究は美容医療を対象としたものでは

ありません。また、認知機能や全身への微細な毒性を

主要評価項目として調べた研究でもありません。

ただ、長期間にわたってBoNTを反復投与した患者さんで、

臨床的な安全性がどのように経過したのかを見るデータと

しては重要だと思います。

少なくともこの研究からは、

「反復投与を続けることで、年月とともに有害事象が

 明らかに増えていく」

という傾向は示されていません。

もちろんこの研究だけで長期的な影響のすべてが評価できた

わけではなく、

長期反復投与について安心材料の一つにはなるが、

すべての長期的影響に答える研究ではないという位置づけで

受け取っています。

それでも、

長期データは十分なのか?

ここまで見ると、反復治療についてある程度の安心材料は

あります。

一方で美容目的のBoNT-Aを長期間繰り返した場合に

ついて十分なデータがそろっているかというと

まだそうとは言えません。

 

2022年には反復する美容目的のBoNT治療について、

長期的な影響を検討したレビューが発表されています[14]。

22報が対象となりましたが、6か月を超えて評価した研究

そのものが少なく、多くの研究に企業からの支援があった

ことも指摘されています。

また、一部の研究では、注射した筋肉について筋の構成

・機能・外観などの変化が、一般に治療効果が続くと

考えられている期間よりも長く残る可能性が報告されて

います。

著者らは、美容目的でBoNT治療を繰り返した場合の

長期的な影響について、現在の知識はまだ限定的であり、

より長期間の研究が必要であると結論づけています[14]。 

 

これは、ここまで紹介してきた長期反復投与のデータと

矛盾するものではないと思います。

反復治療を受けた多数の患者さんや長期間治療を続けた

患者さんの研究では、累積的な有害事象の明らかな増加は

確認されていません。

一方で、美容目的の反復治療について、考え得る長期影響がすべて十分に検証されている段階でもありません。

 

長年にわたって広く使用されてきた臨床経験も重要な安全性

情報の一つ。そして、長期間を対象にした研究がまだ十分で

はないという事実も、同じように重要な情報だと私は考えて

います。

「ないこと」を証明するのは難しい

ここまで調べて、もう一つ考えたことがあります。

遠隔筋に、患者さんには症状として現れない程度の変化が

起こることは分かりました。

では、その小さな変化を何年も繰り返したときに、

将来的に臨床的な全身への影響が生じる可能性は

、本当にないと言い切れるのか。

ここは、簡単には答えられません。

医学では、ある現象が「絶対に起こらない」ことを

証明するのはとても難しいからです。

 

すべての人を、一生涯、あらゆる条件で観察し

「一例も起こらなかった」と確認することはできません。

法律や論理の世界でいう「悪魔の証明」に少し似ています。

 

その代わり医学では、どのような患者さんを、何人、
どの程度の量で、どのくらいの期間観察し、
どのような有害事象が起きたのか。

そうした研究を積み重ねながら、

実際のリスクがどの程度なのかを少しずつ推定して

いきます。

 

今回確認した範囲では、反復する美容治療について

累積的な有害事象の増加を示さなかった研究や、

長期間の治療でも大きな累積毒性が明らかになっていない

データがあります。

一方で、美容目的の長期反復投与については、

まだ十分に研究されていない領域も残っています。

したがって、現時点での私の理解は、

「長期間繰り返しても絶対に何も起こらないことが証明されている」

ではなく、

「通常の美容用量を反復することで、subclinicalな遠隔作用 

 が徐々に蓄積し、臨床的に意味のある全身障害へ進行する 

 ことを示す質の高いヒトの臨床的根拠は、現時点では確認 

 されていない」

です。

 

この二つは、似ているようで意味が違います。

そして私は、この違いをそのまま患者さんにお伝えすることが大切だと考えています。

今回調べて私自身の理解はどう変わったか

今回調べ直すまでも、私はBoNT-Aが

「注射した場所から一歩も外へ出ない」と考えていたわけ

ではありません。

通常の治療用量では全身への曝露はごく限られ、

臨床的な作用は主として注射した筋肉周囲に現れる、

という認識でした。

 

実際、BOTOX Cosmeticの添付文書では、推奨量を

筋肉内投与した場合、現在の分析技術では末梢血中の薬剤を

検出できないとされています[15]。 

今回あらためて文献を調べて、そこに一つ知識が加わり

ました。

 

患者さんには症状がなくても、注射していない離れた筋肉

に、単線維筋電図で検出できる微細な神経筋伝達の変化が

起こることがある。

これは、ヒトでも複数の研究で確認されています。

また、高用量の治療など特定の条件では、全身性の筋力低下

や医原性ボツリヌス症が実際に起こり得ることも分かり

ました。

 

一方で、

 

遠隔筋に検査上の変化がある
↓
通常の美容用量でも有害量が全身を循環する
↓
その影響が反復によって蓄積する
↓
臨床的な全身障害を起こす
↓
脳へ有害な量が到達・蓄積する
↓
認知機能が低下する

 

という一連の流れまでは確認されていません。

 

前回の記事でも書きましたが、

医学では、この「↓」の一本一本に根拠が必要です。

一番上の現象が確認されているからといって、

その下の出来事まで自動的に成立するわけではありません。

今回調べ直して、私自身の認識は、

「遠隔作用はない」でも、
「遠隔作用があるから危険」でもない。

遠隔作用そのものは存在する。
その臨床的な意味や、通常の美容用量を長期間反復した場合の影響については、分かっていることと、まだ分かって

いないことがある。

というところに整理されました。

 

大切なのは

「判断材料を歪めないこと」

今回、私が一番伝えたいのはここです。

私は、BoNT-Aの危険性を実際より小さく見せたくも、

逆に大きく見せたくもありません。

安全性を示す情報だけを拾えば、

「何も心配ありません」

というストーリーを作ることができます。

反対に、遠隔作用や全身性の副作用を示唆する研究だけを

つなげれば、

「ボトックスは全身に広がり、長年続ければ重大な障害を

起こす」

というストーリーを作ることもできます。

でも、どちらも、全体像を正確に捉えたことにはならないと

思います。

私が知りたいのは、現時点の科学的根拠から見た

実際の危険性と安全性の大きさです。

その根拠に見合った「適切な危険度・安全度」を自分の中に持ち、患者さんにも、その危険性や安全性を過大にも過小にも評価せずにお伝えしたい。

そのためには、基礎研究・電気生理学的な遠隔作用・

高用量治療での全身性副作用・美容領域のRCT・

反復投与研究・長期データの限界まで、できるだけ

全体として見る必要があります。

一つの研究結果だけを切り取るのではなく、

その研究が何を示し、どこまでは示していないのかを

確認する。

私は今回、そこがとても大切だと改めて感じました。

私が調べたことも

「100%の最終回答」ではない

最後に、ここは明記しておきたいと思います。

 

私はボツリヌストキシンの基礎研究や神経生理学を専門に

研究している研究者ではなく、日々患者さんを診療している

一臨床医です。

 

今回もPubMedに掲載された論文や公的資料を中心に、

できるだけ広く調べました。

ただし、私がすべての研究を漏れなく把握できているとは

考えていません。

この領域を長年専門に研究されている方であれば、

私が見つけられていない研究や、異なる解釈をご存じかも

しれません。

また、今後新しい研究が発表されれば現在の理解が変わる

可能性もあります。

 

現時点で私自身が確認できた医学的情報をもとに、

どこまで分かっていて、どこから先がまだ分からないのかを

整理したものです。

 

今回の話題をきっかけに私自身もたくさん勉強することが

できました。

今後も各方面から情報を集め、新しい知見があれば確認し、必要があれば自分の理解も更新していきたいと思っています。

最後に

ここまで、とても長い文章を読んでくださって、

本当にありがとうございました。

 

かなりの長文になりましたので、最後までお付き合い

くださった皆さまの根気にも、心から感謝です。

 

今回の記事が、ボトックスについて考えるときの

判断材料として、何か一つでもお役に立てたなら

うれしく思います。

 

そして今回、私自身が改めて感じたことがあります。

 

日々、美容医療の臨床に携わり、

ボツリヌストキシン製剤を実際に使用していても、

たった一つの治療について、関連する情報を自分で一から

集め、原著論文までたどって整理するというのは、

本当に大変な作業です。

 

普段の診療では、学会や勉強会で聞いた話、

他の先生方から教えていただいたこと、

そして自分自身の臨床経験から学ぶことがたくさん

あります。

 

それらはもちろん、とても大切です。

でも今回のように一度立ち止まって、

「それは、どこまで分かっていることなのだろう」
「元になっている研究では、実際には何が示されているの

だろう」

と考え、成書や論文まで戻って確認する作業も、

やはり大切なのだと改めて感じました。

とても地味な作業です。

それでも、自分が患者さんに治療を行い、そのリスクと

利益について説明する以上、こうした確認を重ねていくこと

は、私の仕事の一部なのだと思います。

 

分かっているリスクは、きちんと伝える。
分かっていないことは、分かっていないと伝える。
そして、治療によって期待できる利益についても、

同じように正確に伝える。

そのうえで、患者さんご自身に治療を選んでいただく。

 

今回、自分自身の考えをもう一度疑うところから調べ

直してみて、私は改めて、そういう姿勢を大切にしていき

たいと思いました。

 

参考文献

  1. Lange DJ, et al. Distant effects of locally injected botulinum toxin: a double-blind study of single fiber EMG changes. Muscle Nerve. 1991;14(7):672-675. PMID: 1922173.

  2. Lange DJ, et al. Distant effects of local injection of botulinum toxin. Muscle Nerve. 1987;10(6):552-555. PMID: 3455658.

  3. Wan X, Tang X, Cui L. Remote effects of local injection of botulinum toxin type A. Zhongguo Yi Xue Ke Xue Yuan Xue Bao. 1999;21(5):362-367. PMID: 12567434. PubMed

  4. Moron H, et al. Contribution of Single-Fiber Evaluation on Monitoring Outcomes Following Injection of Botulinum Toxin-A: A Narrative Review of the Literature. Toxins (Basel). 2021;13(5):356. PMID: 34067540.

  5. Ramirez-Castaneda J, et al. Diffusion, spread, and migration of botulinum toxin. Mov Disord. 2013;28(13):1775-1783. PMID: 23868503.

  6. Crowner BE, et al. Systemic weakness after therapeutic injections of botulinum toxin A: a case series and review of the literature. Clin Neuropharmacol. 2010;33(5):243-247. PMID: 20852412.

  7. Abouelkheir AR, et al. Iatrogenic botulism following botulinum toxin injection: a scoping review of clinical characteristics, risk factors, and dermal considerations. Cutan Ocul Toxicol. 2025;44(4):374-387. PMID: 40852933.

  8. Gostimir M, Liou V, Yoon MK. Safety of Botulinum Toxin A Injections for Facial Rejuvenation: A Meta-Analysis of 9,669 Patients. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2023;39(1):13-25. PMID: 35353777.

  9. Kawashima M, Harii K. An open-label, randomized, 64-week study repeating 10- and 20-U doses of botulinum toxin type A for treatment of glabellar lines in Japanese subjects. Int J Dermatol. 2009;48:768-776. PMID: 19490208.

  10. Rzany B, et al. Repeated botulinum toxin A injections for the treatment of lines in the upper face: a retrospective study of 4,103 treatments in 945 patients. Dermatol Surg. 2007;33:S18-S25. PMID: 17241409.

  11. Schlessinger J, et al. Long-term safety of abobotulinumtoxinA for the treatment of glabellar lines: results from a 36-month, multicenter, open-label extension study. Dermatol Surg. 2014;40(2):176-183. PMID: 24372978. DOI: 10.1111/dsu.12404. PubMed

  12. Fertl E, et al. Remote effects of chronic botulinum toxin treatment: electrophysiologic results do not indicate subclinical remodelling of noninjected muscles. Eur Neurol. 2000;44(3):139-143. PMID: 11053960.

  13. Ramirez-Castaneda J, Jankovic J. Long-term efficacy, safety, and side effect profile of botulinum toxin in dystonia: a 20-year follow-up. Toxicon. 2014;90:344-348. PMID: 25130293.

  14. Crook JL, Hamidian Jahromi A, Konofaos P. Long-term Effects of Repeated Botulinum Toxin Injection in Cosmetic Therapeutics. Ann Plast Surg. 2022;88(3):345-352. PMID: 34611099.

  15. U.S. Food and Drug Administration. BOTOX Cosmetic (onabotulinumtoxinA) Prescribing Information. 2024.

     

プレゼント美容外来 2026 特別企画プレゼント
 

9月から本格的に始まった当院のInstagram、
もうご覧いただけましたか?

 

スタッフのこと・治療のこと・
私が普段診療の中で考えていることなど、
少しずつ発信を始めています。

 

10月1日からは美容外来の予約方法や一部メニュー
・再診料の算定などを見直し、11月にはホームページも

全面リニューアルする予定です。

 

美容外来をより分かりやすく

継続しやすく

治療を選びやすい形に整えているところです。
 

そこで今回、そんな節目に合わせて、
これまで当院で行ってきた治療の中から、


「効果を実感していただきやすい治療量や組み合わせ」


を選び、


・10月〜12月の期間限定

・Instagramフォロワーさん限定


の特別企画としてご用意しました。

 

今回企画したのは、
 

企画❶ ヒアルロン酸:お顔の形やバランスを整える治療
企画➋スキンバイブ:うるおい・小じわ・お肌の質感を

          整える治療


の2つです。

 

ベル美容外来 2026 特別企画|内容とご料金ベル

企画❶
  宝石紫ヒアルロン酸リフト3本            ➡   231,000円(税込)

  宝石紫上記と同日ボトックス50単位 ➡      55,000円(税込)
  宝石紫治療後1か月以内の

   追加ヒアルロン酸(1本あたり) 
                  ➡      77,000円(税込)

 

 企画➋
  宝石紫スキンバイブ2本         ➡      99,000円(税込)

  宝石紫治療後40日以内のノーリス         ➡      22,000円(税込)

 ※どちらの企画も期間中1回のみご利用可能
  (期間中であれば❶➋どちらもご利用いただけます。)
 

初めての方も、 

これまで治療を受けてくださっている方も、

通常より受けていただきやすいご料金となっています。

 

企画❶:
ヒアルロン酸リフト~まずは3本から~

 

今回、ヒアルロン酸を3本にしたのは、
「治療のご負担」と
「変化を実感していただきやすい量とのバランス」

が最もよいと考えているからです。
 

(もちろんお顔の状態や治療する場所によっては
もう少し追加した方がバランスよく整うこともあります。)


また、ヒアルロン酸は注入後に水分を取り込み、
時間とともに周囲の組織に馴染んでいくため、
治療直後と少し時間が経ってからでは、仕上がりに
変化がみられることがあります。
 

そこで今回は3本を基準に、
当日「もう少し整えたい」という場合にも、
落ち着いたお顔を見てから「もう少し足したい」
という場合にも対応できるよう、
追加のヒアルロン酸も特別価格
にしました。


※この企画での追加治療は、
 治療日から1か月以内/期間内 が対象です。
 

もみじヒアルロン酸治療が初めての方

 

ヒアルロン酸が初めての方は、


「自分が気になっているところから整えたい」


という始め方でもよいですし、


「これから先を考えて、お顔全体の土台になるところから

 整えたい」

 

という始め方もできます。

 

例えば、

・額
・頬のこけ
・リップ・口周り
・顎・フェイスライン

 

など、今気になっているところから治療することも

できます。

 

一方で、お顔全体のバランスを考えると

中顔面の外側など、目立つ変化を作るというより、

お顔の土台として整えておくことに意味のある場所も

あります。

 

どちらが正解ということではありません。

 

今どこが気になるのか

今後どのような順番でどのくらいの変化をご希望か

 

お話を伺いながら、その方に合う使い方をご提案

いたします。

 

もみじこれまでヒアルロン酸治療を

 受けたことのある方

 

すでにヒアルロン酸治療を受けたことのある方は、


「前から気になっていたけれど、
 いつも後回しになっていたところ
」


を治療する機会にもしていただけたらと思います。


額やこめかみ・リップ・口周りなどはその代表です。


ひらめき電球ヒアルロン酸リフトと一緒に
   ボトックスもお勧めしたい理由

 

ヒアルロン酸治療を受ける方には

ボトックスの併用もおすすめしています。

私にとってのボトックス注射は、
単に「シワをよりにくくする」
というよりも、
洗練されたつるんとしたお顔づくりには
欠かせない必須治療
という位置づけです。
 

はてなマーク何か所くらい治療できる?

 

様々な表情を作ってもらう
自然に会話をしているときの動きも拝見して、
優先度の高い箇所から施注します。
 

私の好みとして、

 

「キーになる場所はしっかり効かせ、
 バランスをとるために少量をそれ以外の複数箇所に配分
」

なので、塗布麻酔は全顔していただきます。
(もちろん治療費に含まれています。)
 

どこにどの程度必要かは、
お顔立ちや筋肉の動きを見ながら決めます。

 

ひらめき電球無表情の怖い顔にはなりません

 

「ボトックスをすると、表情がなくなりませんか?」

 

と心配される方もいらっしゃいます。

 

確かにボトックスは筋肉の動きを調整する(制限する)

治療ではではありますが、

治療の目的は「お顔を動かなくする」

ことではありませんので、

必要な表情は残しながら強すぎる動きを少し整える。

不自然な表情にならないように治療します。
ですから、

無表情とか動かなくなるとか、

そういったご心配は杞憂です。


ヒアルロン酸で形を整える。
ボトックスで動きを整える
。

 

この2つを一緒に考えることで、
ヒアルロン酸3本という限られた本数でも、
お顔全体としてより変化を感じていただきやすい治療に
つなげていきます。

 

 

メモ実際の治療前後もご覧いただけます

 

「実際にはどんなふうに変わるの?」

 

と思われた方は、スタッフの治療前後も参考にしてみて

 ください。


🔶ボトックス治療

 ➡ ボトックス治療前後はこちら
 

🔶ボトックス+額のヒアルロン酸治療

 ➡ ボトックス(顔全体)+額のヒアルロン酸前後はこちら
 

🔶リップのヒアルロン酸治療

 ➡仕上げのリップ治療前後はこちら
 ➡注入スタート時のリップ治療前後はこちら

 

企画➋乾燥する季節を前に

   スキンバイブで冬支度

 

もう一つの企画は

当院でも安定の人気・スキンバイブです。


秋から冬にかけては、空気中の水分も減り、
エアコンの影響でお肌の水分が奪われやすい。

そして、夏の紫外線の影響の肌ダメージも
蓄積しています。

そんなお悩みの一助になるのがこの治療です。

正直、症例写真でみられる変化より、
実際に治療を受けられた方の満足度の方が
圧倒的に高い
。そして、一度受けられた方の
リピート率も非常に高い治療
のひとつです。
(患者さんのお肌の変化を見て、

治療を受けるスタッフが 続出した治療でもあります。)


輪郭や形を作るためのヒアルロン酸とは
少し役割が違い、お肌の質感を整えていく治療です。

➡スキンバイブについての詳細説明はこちら

 

プレゼント約1か月後にノーリス


今回はもう一つ。
 

スキンバイブでお肌を整えた約1か月後に、
ノーリスによる光治療を重ねる


という組み合わせもご案内しています。
 

スキンバイブが得意なのは、

うるおい・小じわ・ハリ・質感
そして繊維芽細胞の活性化。


「スキンバイブで活性化した線維芽細胞を
 機械治療でさらに一押し
」


その効果をご体感いただけると思います。
 

 

今回の企画は、2026年10月〜12月の期間限定です。

Instagramを本格始動し始めたことをきっかけに、
普段ブログをご覧くださっている方だけでなく、
Instagramでも当院の美容診療について
知っていただけたらと思い、

当院Instagramをフォローしてくださっている方を
対象
とさせていただきました。
(ご来院時に、フォロー画面をご提示ください。)

皆さま、ぜひフォローをお願いいたします音譜

 

➡公式インスタグラムはこちら
 

電話ご予約について


お電話または

公式ライン(ページの最下部にリンクがございます)

から承っております。

 

「2026特別企画」 から、

   ご希望のメニューを選択していただけます。

 当院の美容皮膚科受診が初めてという方。

 「初診カウンセリング」をお選びいただき、

 備考欄に「当日特別企画の○○治療を希望」

 とご記載いただけるとスムーズです。

 (健康状態・ご予約状況などによっては、

 必ずしも当日に治療をお受けいただけるわけではない点

 をご了承ください。)
 

秋から年末にかけて、

「少し整えておきたい」

と思っていた方のきっかけになればうれしいです。



【公式ホームページ】 

 ▶︎ながと皮膚科クリニック公式サイトはこちら


【公式LINEでのご予約】

 ▶︎ LINEお友だち追加はこちら

 

【公式Instagram】

 ▶公式Instagramフォローはこちら


【お電話でのお問合せ・ご予約】

 ▶︎ ☎047-407-1212

 

 

 

 

 

 

 

最近、SNSでボトックスについて気になる情報を目にする

ようになりました。

 

「ボトックスは注射したところだけにとどまらず、

 全身に回る」

「神経を伝って脳まで到達する」

「繰り返していると脳に影響する」

「brain fog(頭に霧がかかったような状態)や

 認知機能低下を起こす」

 

さらには、

 

「ボトックスを続けているとボケるのではないか」

 

という内容です。

 

一般の方だけではなく、医師から発信されているものも

あります。

 

私は日常的にボツリヌストキシン製剤を使用して治療を

行っています。

だからこそ、「そんなことはありません」と簡単に否定

するのではなく、

 

そもそも、この話はどこから出てきたのだろう?

 

と思い、根拠として挙げられている研究まで遡って読んでみることにしました。

先に結論から

現時点で、

 

美容目的で適切に使用されたボツリヌストキシン製剤を

繰り返すことで、認知機能が低下したり、

認知症になったりすることを示す臨床的な根拠は

確認されていません。

 

一方で、

「ボツリヌストキシンは注射した場所だけに作用し、

 それ以外には絶対に影響しない」

とまで言い切ることも正確ではありません。

 

動物実験では、末梢に投与したボツリヌストキシンA(BoNT/A)が神経を逆行性に輸送される現象を示した研究があります[1]。

 

また、BoNT/Aを脳内に直接投与した動物で、

記憶・学習機能への影響を調べた研究[2]、

ヒトでも美容目的のBoNT/A治療後に脳の感覚処理が

変化した研究[3]や、長期に顔面BoNT治療を受けている

神経疾患患者の認知機能を調べた研究[4]があります。

 

つまり、

「まったく根拠のない話が突然生まれた」わけでも、
「ボトックスを続けると認知症になることが分かった」

わけでもありません。

 

では、なぜこれらの研究から、

「ボトックスは脳に行く」
「繰り返すと脳に影響する」
「長く続けるとボケる」

という話にまで発展したのでしょうか。

 

実際の論文を、研究が発表された順番にたどってみます。

 

1.2008年

 「ボトックスは神経を伝って移動する?」

今回の話をたどっていくと、頻繁に引用されている研究の

一つが、2008年にAntonucciらが

『Journal of Neuroscience』に発表した研究です[1]。

 

この研究では、動物を用いてBoNT/Aの神経内での動きを

調べています。

 

その結果、末梢に投与されたBoNT/Aについて、神経を

逆行性に輸送され、離れた神経部位で作用することを示す

結果が得られました。

 

これは非常に興味深い基礎研究です。

 

「ボツリヌストキシンは注射した神経終末だけに存在し、

 そこ以外には絶対に影響しない」

 

という単純な理解に疑問を投げかける研究でもあります。

 

ただし、ここで大切なのは、

これは動物を用いた基礎研究である

ということです。

 

この研究で、

「美容目的でヒトの顔に投与したBoNT/Aが、

 脳に有害な量まで到達する」

ことが証明されたわけではありません。

もちろん、

「認知機能が低下する」

「認知症になる」

ことを調べた研究でもありません。

この研究から生まれる次の問いは、

 

「では、ヒトでも同じことが起こるのだろうか?」

です。

これは「結論」ではなく次に検証するべき「仮説」です。

2.2009年 

 「脳の中にBoNT/Aがあると記憶に

  影響する?」

翌2009年にはさらに気になる研究が報告されています[2]。

ラットにBoNT/Aを投与し、Morris water mazeという方法を使って記憶・学習能力を調べた研究です。

 

結果として、長期間にわたる記憶・学習能力への影響が

観察され、論文中では「dementia-like deficits(認知症様の障害)」という表現も使われています。

 

ここだけ読むと、

「やっぱりボトックスは脳に悪いのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、この研究には非常に重要な条件があります。

BoNT/Aは、ラットの脳室内に直接投与されています。

 

美容医療では、額や眉間、エラなどの筋肉へ必要量を

局所投与します。

つまり、この研究が示したのは、

BoNT/Aをラットの脳内に直接投与した場合、

記憶・学習機能に影響を及ぼし得る

ということです。

ここから、

顔の筋肉に投与した美容用量のBoNT/Aが脳内に同じような曝露を生じさせると結論するためには、さらに別の研究が

必要になります。

3.2014年

   「美容ボトックスをすると

      ヒトの脳活動が変わる?」

次に興味深い研究が出てきます[3]。

Haenziらは、これまで美容目的のBoNT/A治療を

受けたことのない健康成人に額への治療を行い、

その前後で手指への触覚刺激に対する脳皮質の電気活動を

調べました。

 

その結果、治療6週間後に脳皮質の反応に変化が認められました。

ここだけを取り出すと、

「美容ボトックスでも脳が変化した」

と言うことはできます。

では、

「ボツリヌストキシンそのものが脳へ到達し、

 脳の神経細胞に作用した」

という意味なのでしょうか。

 

実は、そうとは限りません。

私たちの脳には、筋肉や皮膚などから常に大量の感覚情報が

送られています。

顔の筋肉の動きが変われば、末梢から脳へ戻ってくる

感覚情報も変わります。

すると、その情報を処理している脳の活動にも変化が

起こり得ます。

 

実際、ヒトにおけるBoNTの中枢作用をまとめた

レビューでは、ヒトで観察される中枢神経系の変化に

ついて、

末梢から脳へ戻る感覚入力(afferent input)の変化による

間接的な神経可塑性が重要な機序として考えられています[5,6]。

 

つまり、

「ボトックス治療後に脳活動が変化した」

ことと、

「ボツリヌストキシンが脳に到達して神経細胞を障害した」

ことは、同じ意味ではありません。

4.2022年

 「ヒトでも認知機能に差があった研究が

      ある?」

さらに2022年には、顔面へのBoNT治療と認知機能との

関係を調べた探索的研究が報告されています[4]。

対象となったのは84人。

そのうち21人が、眼瞼痙攣または片側顔面痙攣のため

顔面へのBoNT治療を受けている患者さんでした。

 

比較対象として、

頸部ジストニアに対して頸部へBoNT治療を受けている

患者さん30人と、神経疾患のない33人が参加しています。

 

その結果、

顔面BoNT治療群では非言語的推論課題の成績が

他群より低いという結果が認められました。

 

ここだけを取り出せば、

「長期ボトックス治療患者で認知機能が低下」

という見出しを作ることもできてしまいます。

 

しかし、研究全体を読む必要があります。

対象は美容目的の健康な方ではなく、

眼瞼痙攣や片側顔面痙攣という疾患をもつ患者さんです。

研究規模も大きくありません。

 

BoNTの投与量と推論課題の成績との間にも

有意な相関は認められていませんでした。

そして何より、著者自身が、

交絡因子が存在するため、

この結果から因果関係を結論することはできず、

さらなる研究が必要である

としています。

つまり、

「気になる結果が見つかったので、

    今後きちんと検証する必要がある」

という研究です。

「BoNTによって認知機能が低下することが証明された」

という研究ではありません。

5.もう一つ混ざっている

    「ボツリヌス中毒」の研究

さらに検索すると、ボツリヌス中毒を経験した患者さんの

長期的な認知機能について調べた研究も見つかります[7]。

 

2024年には、同じ食品を食べてボツリヌス症を発症した

一家6人について、発症から約2年半後の状態を調べた

症例シリーズが報告されています。

 

6人への聞き取りでは、注意・集中・記憶・情報処理・

実行機能などについて自覚的な問題が報告されました。

ただし、正式な神経心理学的検査を受けたのはそのうち

2人です。

 

また著者ら自身も、ボツリヌス症後の認知機能についての

研究は非常に少なく、データは不十分であるとしています。

 

そして何より、これは食品を介して発症した

全身性のボツリヌス中毒についての研究です。

管理された量を局所に投与する美容医療のBoNT治療とは、曝露の状況が大きく異なります。

この研究を、そのまま美容ボトックスの長期安全性の

証拠として当てはめることはできません。

6.どうして

 「ボトックスを続けるとボケる」

 という話になったのか?

ここまで研究を順番に見てくると、

その道筋が少し見えてきます。

 

2008年:動物研究
末梢に投与したBoNT/Aについて、

逆行性軸索輸送を示す結果が報告された

↓

2009年:動物研究
BoNT/Aをラットの脳室内へ直接投与すると、

記憶・学習機能への影響が認められた

↓

2014年:ヒト研究
美容目的の額BoNT/A治療後に

脳の感覚処理が変化した

↓

2022年:ヒトの探索研究
長期に顔面BoNT治療を受けている神経疾患患者で、

一部の認知課題に差が認められた

+

全身性ボツリヌス中毒後の認知機能についての研究

+

インターネット上の

「brain fog」

「記憶力が落ちた気がする」といった体験談

 

これらを一つのストーリーとしてつなげると、

 

末梢に打ったボトックスは神経を伝って脳へ行く

↓

繰り返すと脳に蓄積する

↓

神経細胞に影響する

↓

認知機能が低下する

↓

長く続けるとボケる

 

という、とても分かりやすい話になります。

しかも、その途中で引用されている研究そのものは

実在します。

だからこそ、もっともらしく感じるのだと思います。

大切なのは、この「↓」です

医学では、

 

動物で逆行性軸索輸送が確認された

↓

ヒトでも同じことが起こる

↓

美容医療で使用する量でも脳へ到達する

↓

反復投与すると脳に蓄積する

↓

それによって神経細胞が障害される

↓

認知機能が低下する

↓

認知症の発症が増える

↓

「ボトックスを続けるとボケる」

 

と進むためには、

この「↓」の一本一本に、それぞれ根拠が必要です。

一番上が本当だからといって、

その下まで自動的に本当になるわけではありません。

 

これは今回、私が最も大切だと感じたところです。

 

「論文がある」ことと、

「その論文がSNSで語られている結論を証明している」

ことは別です。

 

基礎研究はとても大切です。

動物で新しい現象が見つかれば、

「ではヒトでも起こるのだろうか?」

という次の研究につながります。

さらに、

「ヒトでも起こるなら、通常の治療量では?」

「長期間反復した場合は?」

「実際に健康上の問題につながるのか?」

と検証していきます。

 

基礎研究 → 仮説 → ヒトでの検証 → 実際の臨床転帰の検証

 

こうして一つずつ確かめていくことが医学研究です。

「全身に回る」はどうなのか?

ここについても、

「ボツリヌストキシンは注射した場所にしか作用しない。

 全身への影響は絶対にない」

と言うのは正確ではありません。

 

米国FDAのBOTOX Cosmetic添付文書には、

「Distant Spread of Toxin Effect

(毒素作用の遠隔部位への波及)」についての

Boxed Warningがあります[8]。

 

投与部位から離れた場所にボツリヌストキシン様の作用が

現れ、全身筋力低下・複視・眼瞼下垂・嚥下障害・

構音障害、呼吸障害などが生じた報告があります。

 

2026年には英国MHRAも、

治療・美容目的のボツリヌストキシン製剤使用後に、

まれながら医原性ボツリヌス症が報告されているとして警告を更新しています[9]。

 

したがって、まれな遠隔作用というリスクそのものは、

きちんと患者さんに伝えるべき情報です。

一方で、

「遠隔作用がまれに報告されている」

ことと、

「通常の美容治療で毒素が全身を巡り、

 脳に蓄積して認知機能を低下させる」

ことも、やはり同じではありません。

 

また海外では、

偽造品や未承認のボツリヌストキシン製剤による

重篤な健康被害も問題になっています[10]。

 

「ボツリヌストキシン注射後に全身症状が起きた」

という情報を見るときには、

どの製剤を、

どのくらいの量、

どこに、

どのように投与したのか、

正規に流通している製剤だったのか、

患者さんにどのような背景疾患があったのか、

といった条件まで確認する必要があります。

SNSの「体験談」はどう考えれば

よいのか?

SNSには、

「ボトックスを打ってから体調が悪くなった」

「頭がぼんやりするようになった」

「飲み込みにくくなった」

といった個人の体験談もあります。

 

ここでも注意が必要です。

 

その方が感じた症状そのものを否定する必要はありません。

治療後に何らかの症状が現れたのであれば、

必要に応じて医療機関で評価するべきです。

 

しかし、

治療後に症状が起きた

↓

ボトックスが原因である

↓

毒素が全身に回った

↓

特定の筋肉や脳に作用した

 

という因果関係まで、SNS上の限られた情報だけから

判断することはできません。

 

症状が起きたという事実と、

その原因を特定することは別です。

 

ここでもやはり、

「↓」の一本一本を確認する

必要があります。

現時点でどこまで分かっているのか?

今回確認した文献から整理すると、次のようになります。

【分かっていること】

・ボツリヌストキシンには、局所作用だけでなく、

 まれながら遠隔部位への作用が報告されている

・動物では、BoNT/Aの逆行性軸索輸送を示す基礎研究がある

・ヒトでも、BoNT治療後に中枢神経系の機能的変化が

 観察されることがある

・ヒトで観察される中枢神経系の変化については、

 末梢からの感覚入力の変化による間接的な神経可塑性が

 重要な機序として考えられている

・顔面BoNT治療と認知機能との関係について、

 今後さらに検証する価値のある探索的研究は存在する

【現時点で確認されていないこと】

・通常の美容医療で使用するBoNT/Aが、

 ヒトの脳へ臨床的に有害な量まで到達・蓄積すること

 

・その結果としてヒトの神経細胞が障害されること

・美容目的のBoNT/A反復投与によって

 慢性的な認知機能低下が起こること

・美容目的のBoNT/A反復投与によって

 認知症の発症が増えること

 

少なくとも、今回確認した現在の文献からは、

「美容目的のボトックスを続けるとボケる」

と医学的事実として患者さんにお伝えできるだけの臨床的根拠は確認できませんでした。

最後に・・・

 リスクを大きく伝えることにも

 別のリスクがある

今回、論文を調べてみて、

「だからボトックスは絶対に安全です」

とお伝えしたいわけではありません。

 

ボツリヌストキシンは薬剤です。

効果がある以上、副作用もあります。

 

局所への過剰な作用・周囲の筋肉への拡散・眼瞼下垂・

眉毛下垂・複視・嚥下障害などについて理解した上で

使用する必要がありますし、非常にまれな

遠隔作用についても知っておく必要があります。

 

そして今後、新しい研究によってこれまで分からなかった

ことが明らかになる可能性もあります。

 

だからこそ、私たち医師も知識を更新し続ける必要が

あります。

 

一方で私は、

医療のリスクを必要以上に大きく伝えることにも、

別のリスクがある と考えています。

 

薬の副作用や治療の限界を伝えることはとても大切です。

 

しかし、まだ確認されていない危険性まで、

すでに分かっている事実であるかのように伝えてしまえば、

本来その治療によって悩みを改善できた方が

必要以上の不安から治療という選択肢を手放してしまう

可能性があります。

 

医療では、

 

「治療することのリスク」   

 だけではなく、
「治療によって得られる利益」
そして

「治療しないという選択」

 

も含めて考える必要があります。

 

分かっているリスクは、きちんと伝える。
分かっていないことは、分かっていないと伝える。
そして、治療によって期待できる利益についても、

同じように正確に伝える。

 

その上で、一人ひとりが自分にとって

治療を受ける意味があるのかを考え、

選択できることが大切です。

 

新しい研究を無視しない。

でも、研究が実際に示した範囲を超えて怖がらない。

 

「動物ではどうだった?」

「ではヒトでは?」

「ヒトでも起こるとして、通常の治療量では?」

「その現象が起こるとして、実際に健康上の問題に

 つながる?」

 

医学では、その一つ一つの「↓」を確認していく必要が

あります。

 

SNSでは「危険」「安全」という短い言葉ほど

広がりやすいものです。

 

でも、その間には、たくさんの「↓」があります。

今回の記事が、ボトックスについてだけでなく、

SNSで目にする医療情報を考えるときの一助になればと

思います。

参考文献・資料

[1]Antonucci F, Rossi C, Gianfranceschi L, Rossetto O, Caleo M.Long-Distance Retrograde Effects of Botulinum Neurotoxin A.J Neurosci. 2008;28(14):3689-3696.doi: 10.1523/JNEUROSCI.0375-08.2008PMID: 18385327

[2]Lacković Z, Rebić V, Riederer PF.Single intracerebroventricular injection of botulinum toxin type A produces slow onset and long-term memory impairment in rats.J Neural Transm (Vienna). 2009;116(10):1273-1280.doi: 10.1007/s00702-009-0285-yPMID: 19693434

[3]Haenzi S, Stefanics G, Lanaras T, Calcagni M, Ghosh A.Altered cortical activation from the hand after facial botulinum toxin treatment.Ann Clin Transl Neurol. 2014;1(1):64-68.doi: 10.1002/acn3.21PMID: 25356383

[4]Platho-Elwischger K, Schmoeger M, Willinger U, et al.Cognitive Performance After Facial Botulinum Toxin Treatment in a Cohort of Neurologic Patients: An Exploratory Study.Arch Phys Med Rehabil. 2022;103(3):402-408.doi: 10.1016/j.apmr.2021.08.007PMID: 34496270

[5]Weise D, Weise CM, Naumann M.Central Effects of Botulinum Neurotoxin—Evidence from Human Studies.Toxins (Basel). 2019;11(1):21.doi: 10.3390/toxins11010021PMID: 30621330

[6]Belvisi D, Leodori G, Costanzo M, Conte A, Berardelli A.How does botulinum toxin really work?Int Rev Neurobiol. 2023;169:441-479.doi: 10.1016/bs.irn.2023.05.003PMID: 37482400

[7]Rosenqvist L, Sandvei C, Skarphedinsson S.Neurocognitive deficits after botulism: a clinical case series study.Front Neurol. 2024;15:1453653.doi: 10.3389/fneur.2024.1453653PMID: 39323438

[8]U.S. Food and Drug Administration.BOTOX Cosmetic (onabotulinumtoxinA) Prescribing Information.WARNING: Distant Spread of Toxin Effect. 2024.

[9]Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA).Botulinum toxin type A products: updated warnings regarding risk of iatrogenic botulism.Drug Safety Update. July 2026.

[10]U.S. Food and Drug Administration.Counterfeit Version of Botox Found in Multiple States.Updated May 1, 2024.