涼しかった6月から一転、
今週はいつもの暑い夏がやってきました。
皆さま、体調は崩されていませんでしょうか。
急激に強まる日差しを肌に浴びるこの時期、
診察室でもお肌の紫外線ダメージや、
これからのシミ対策についてご相談いただく機会が
ぐっと増えてまいります。
そんな中、やはり皆さまから一番多くいただくのは、
「シミを早く消したい」
「一刻も早く、きれいになりたい」
という切実なお声です。
そのお気持ちは、美容を仕事とする私たちには
痛いほど分かります。 私もスタッフも一日でも早く
喜んでいただける結果をお届けしたいと思い、
日々診療にあたっています。
でも、その切実な思いをお預かりするからこそ、
機械で目に見えるシミを壊す前に
一度立ち止まってほしい。
その思いでこのブログを書いています。
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長年診療を続ける中で、私の心にはずっと
「ある小さな棘」のように残り続けている疑問が
ありました。
同じ治療、同じレーザーの出力を設定しても、
驚くほどきれいに改善する方がいる一方で、
思うような結果が出ず、時には一時的な赤みや
色素沈着(PIH)に悩まされてしまう方も
いらっしゃる。
一般的には、それは「個人差」とされてきました。
けれど、本当にそれだけで片付けてしまって
いいのだろうか。
多くの方にとって副反応が少なく、かつ効果的な
再現性のある治療法にはできないのだろうか。
ずっと私の中で静かにくすぶっていました。
科学的な裏付けがない中で 信じてきたこと
当院では開院当初から、
「いきなり機械治療を行うのではなく、
まずは日々のホームケアや トリートメントに
よってお肌の基礎体力を整える」プレケアを
極めて重視してきました。
理由はシンプルです。
お肌の土台が整っていると、治療効果が
確実に引き出せる。
そして何より、不要な炎症や色素沈着といった
「寄り道」を最大限防ぐことができるからです。
ただ、当時はそれを説明するだけの明確な
科学的エビデンス(裏付け)が、まだ十分に世に
出ていませんでした。
「理由ははっきりと言えないけれど、
臨床の現場で多くのお肌をを拝見してきた経験上、
絶対にこのやり方の方が安全で、結果が美しい」
そんな、言わば私の「経験に基づく直感」として、
皆様へお伝えし続けてきたのです。
ホームケアは確かに素晴らしいものです。
ただ、どうしても結果が出るまでに時間がかかります。
「もっと効率よく、お肌を治療しやすい状態へ整える
医療アプローチはないだろうか」——。
そんな模索を、ずっと続けていました。
その模索の中で出会ったのが、スキンバイブでした。
世間一般では「肌育」ブームもあって、
「ハリ・保水力を上げる治療」として注目され始めた
頃です。
そんな中、昨年、ヒルズグレイスクリニックの奥先生が
ご講演された「線維芽細胞へのアプローチ」のお話を
伺う機会がありました。
「これは単に肌を潤わせるだけのものではない。
もっと別の、根源的な役割があるのではないか」と、
胸が高鳴ったのを今でも覚えています。
私が長年大切にしてきた「プレケア」というパズルの
ピースと、どこか深く重なり合う予感があったからです。
その後、慢性的なお肌の赤みや難治性の肝斑など、
「真皮環境の乱れ」が根本的な原因と思われる方に対し、
機械治療の「プレケア」といして、スキンバイブを
ご提案するようになりました。
ただ、この時点ではまだ私個人の臨床的なアプローチ
であり、そのメカニズムを学術的に、かつ分かりやすく
説明するためのロジックは持っていませんでした。
これもあくまで個人的見解だったのです。
そして先日、再び奥先生方のご講演を拝見する機会に
恵まれました。
そこで提示されたのが、
「Skin Priming(スキンプライミング)」
という、美しく、そしてあまりにも論理的な概念でした。
お肌(真皮)の司令塔である「線維芽細胞」の役割。
物理的な刺激が細胞のスイッチを入れる
「メカノバイオロジー」の仕組み。
そして、美肌を阻む「慢性炎症」のコントロール。
スライドを注視しお話を伺いながら、
私の中で鳥肌が立つような感覚がありました。
長年の診療で「なぜだろう」と悩み、仮説を立て、
実践してきたこと。そのすべてに、極めて精緻な
科学的理由が、一つずつ与えられていくような時間
だったからです。
新しい知識をただ詰め込むセミナーではなく、
私が信じて歩んできた道に、力強い光が当てられた
ような瞬間でした。
昨年感じたあの予感は、やはり間違いありませんでした。
厚生労働省の承認を得ているスキンバイブは、
一度の施術で約9か月間、お肌の奥(真皮環境)を
底上げし、支え続けることができると
実証されています。
もちろん、お顔全体に細かく注射をする治療ですから、
一時的な内出血や針跡といったダウンタイムは
伴います。決して「お気軽にどうぞ」と言える治療では
ありません。
お顔に赤みや内出血の出る期間を避けたいと
思われるのは、自然なことです。
それでも、この先何年もより高い治療効果を安全に、
そして無駄なく目指していくのだとすれば——。
半年に1回、あるいは年に1回、お肌の土台を立て直す
このステップを治療計画に組み込むことは、
医学的に見ても極めて合理的であり、
不可欠なプロセスであると、
今の私は強い確信を持っています。
10年後も揺らがない「健康な肌」のために
一方で、ここからはまたしても私の個人的解釈では
ありますが…。
スキンバイブが約9か月間、真皮環境を力強く支えて
くれるとしても、その効果は永久ではありません。
私たちは毎日、紫外線をはじめとした酸化ストレスを
浴び、絶えず老化のダメージを受けながら生きている
からです。
放置すればせっかく呼び覚まされた細胞たちも、
日々のストレスによって再び元気がなくなっていって
しまいます。
だからこそ、日々の丁寧なホームケア(スキンケアや
内側からのインナーケア)の価値は決して変わらない、
むしろ、医療によって極限まで整えられた
真皮のすこやかさを少しでも長く・美しく維持していく
ために、これまで以上にその重要性は増していくと
考えています。
医療と、日々のセルフケア。
この二つはどちらか一方だけでは成り立ちません。
お互いがお互いを支え合う「両輪」なのです。
私はこれからも、皆さまと一緒に積み重ねる
ホームケアやトリートメントを何より大切に
していきます。
その信念にブレはありません。
ただ今回、その裏付けとなる仕組みを深く理解できた
からこそ、今後はこのスキンバイブを単なる
「潤いやハリを与える肌育製剤」
としてではなく、
「治療効果と安全性を最大化するための、
不可欠なプレケア」
として、
これからの診療の中に一層強い意志を持って
位置づけていきたいと思います。
一見、遠回りに見えるかもしれません。
しかし、お肌の土台(土壌)を無視して
強い機械治療を急ぐよりも、
まずは受け皿となる環境を正しく整えること。
これこそが、結果として最も無駄がなく・安全に、
そして最も確実に、10年後もトラブルに揺らがない
「健康的で美しい肌」へたどり着くための、
私たちのロードマップです。
皆さまがご自身の肌に自信を持って、
前向きに毎日を過ごせるよう、
これからも確かな医療と日々のケアの両面から、
スタッフ一同、チーム一丸となって
お手伝いをさせていただけますと幸いです。








