13 入院3日目  術後1日  2022/11/23  水曜日  雨

朝6時、まだ暗いが長い夜が明け、人の気配が伝わってくる。
手術後に熱が出ると言われたが、微熱程度で終わり痛みも許容範囲。
気分も悪くないし、術後の山場を越えたのでこれからは術後の回復期と思えばあと少しの辛抱だ。
隣人は今日一度退院するようで、荷物の片付けを始めている。
顔をあわせた事は無いが隣人は具合があまり良くない感じだが、昨晩は私のフットマッサージの音がずっと続き、2時間ごとに看護師さんの見廻りや検温などの気配がして、カーテン一枚では音も気配も丸聞こえであまり眠れなかったのでは無いだろうか。

大部屋で仕方ないとはいえ、手術直後だけは個室にした方がお互い良かったかもしれない。
それでも退院は嬉しいようで、看護師さんと話す声が弾んでいて、家でゆっくりできればいいなと思う。
ちょうどいいから退院の手順や手続きを学ばせてもらおう。ヒマだし。

一晩中続いたフットマッサージがピピピと鳴らし始めたら、看護師さんが「ちょっと早いけどもう大丈夫だから外しちゃおう」とフットマッサージを外してぴったり靴下も脱がせてくれた。
これで両足が動かしやすくなった。あ~楽々。
顔をふく温かいおしぼりを渡されて顔がスッキリ。
お水も解禁ということで、冷蔵庫に入れておいたストロー付きペットボトルの水を渡された。
加湿器のおかげで渇きはほとんど無いが、冷たいお水を飲めるのは嬉しい。
ついでに処方された胃薬と痛み止めのアセトアミノフェンを飲むように言われて服用。
今日は歩けたら尿菅を外せると言われてテンションが上がる。

8時半頃執刀医の先生が現れて傷口を確認。「順調ですね」と安心していた。
血液検査の結果も大丈夫らしい。
右脇腹のドレーンもドレーンパックの中身は少ないし不純物も無いので明日の朝には外せるとのこと。
良かった良かった。

隣人の退院手順を聞いていたら「失礼しま~す」と何やら大きな機材を押している技師さんが入ってきた。
レントゲンを撮るそうだ。
動けない人用だそうで、板を背中の下に差し込んで身体の上から二枚撮影してくれた。

そのあと外科の先生の回診。ガーゼを剥がして傷口を確認。
「うん、綺麗、問題ない」とうなずきガーゼを張り替え、ドレーンが入っている場所をテープで固定してくれた。

隣人は次回の診察の予約表と薬をもらい、忘れ物確認を看護師さんとしてから家族の迎えが来たようで退院していった。
これでこの部屋には一人だけか。今日は祝日だから新しい隣人は来ないのかな?

夜勤の看護師さんから日勤の看護師さんに交代し、また検温と血圧測定。36.3℃。
とっても元気な看護師さんで、チャキチャキ進めてくれる。
手術着を脱がせてくれて、オシメを外しお湯で絞ったタオルで清拭。
パジャマを着せてもらった。
それから電動ベッドの頭側を上に持ち上げて、身体を起こしてゆっくり立ち上がる。
尿とドレーンのパックを点滴台に引っ掛けて点滴台を押しながら廊下へ出てみたが問題なく歩ける。
それほど痛みもなく、スタスタ歩いて車椅子用トイレに看護師さんと入り、尿菅を抜いてもらって解放感に浸った。
手術翌日の朝にもう歩けるなんて、現代医学ってすごいなあ。

今後はトイレで紙コップで尿の量を測って捨て、時間と量を書くようにと紙を渡された。
なるほど、それでどのトイレにも尿検査の紙コップが山のように置いてあるのか。

とりあえず歩けたが、廊下で歩行訓練をした方がいいのかと訊いてみたら
「痛いのを我慢しながら歩かなくてもいいし、これだけスタスタ歩ければ十分」
と言われたので散歩は午後にして午前中はベッドで休むことにした。
傷口の痛みはそれほどでも無いが、お腹が筋肉痛のような痛みがあり少し動くと痛い。
しゃっくりが出たら一瞬息が詰まった。くしゃみなんてとんでもない。
笑うのも控えないと腹筋がつらい。確かに腹筋500回ぐらいしたみたいだ。

髪がボサボサになっているのでドライシャンプーシートを使ってみる。
香りがさわやかで髪も落ち着き、気分がさっぱりした。

安静にして音楽を聴きながらネットで遊んでいたら、お昼が運ばれてきた。
食欲はあまり無いが、とりあえずゆっくり起き上がる。

すずきの照り焼き
味噌汁
お浸し
バナナ
五分粥 300g

相変わらずごはんが多いなあ。お粥300gか。
座って少し食べ始めたら、頭がくらくらして気分が悪くなった。
かろうじて味噌汁の大根の具とお浸し、お粥を数口食べたがもう無理。
一旦ベッドに横たわる。冷や汗も出てきた。
ナースコールをしようかと思ったが、なんかこの症状身に覚えがある。
そのうち頭痛がしてきた。多分これ雨のせいで気象病だ。
元から暗い部屋で外の様子はあまりわからないが、雨が強くなっている気配がする。
じっとしてれば慣れて治まるので様子をみることに。
処方された痛み止めのアセトアミノフェンを飲むが、頭痛は治まらない。
こういう時に飲んでいる漢方薬を取り出してこっそり飲んだ。
常備薬の効き目は覿面で頭痛もだいぶ治まり、食事トレーを廊下へ下げに行ったが、点滴台にドレーンパック付きでの歩行は結構大変だった。
これは午後の散歩は中止だな。

明かりを消して音楽を目を瞑って聴いていたら、14時過ぎになったようで担当看護師さんが様子を見にきた。
点滴が終わっていたので、点滴針を抜いてくれた。
わ~い嬉しい。これで左手が自由だ!
あとは明日の朝のドレーンだけだ。
点滴台を引きずって散歩って結局しないで終わってしまった。

そのままベッドで寝ていたら、どうも新しく隣人が向かい側に入ってきたようだ。
祝日だけど入院するのかと思っていたら、隣人の担当看護師さんがやってきて「ご出産おめでとうございます」と祝っていた。
なるほど、ここは産婦人科病棟だった。忘れてたけど。
確かにお産は祝日も平日も関係ないよね。
お産で疲れた母体を休めるのは重要だ。ここなら赤ちゃんの面倒をみてくれるから、安静にできるだろう。

薄暗い4人部屋に二人。
手術後と出産後の患者は静かにそれぞれの領域で休み、ゆっくり午後の時間は過ぎていった。

夕方18時、夕食が運ばれてきた。

蟹玉風
大根の煮物
胡麻豆腐もどき
キウイフルーツ
五分粥 300g

お粥を少しとおかずを半分ぐらい食べた。
ここの食事は本当に優しい味で美味しい。

トレーを廊下に出して、ベッドで休んでいたら執刀医の先生が様子を見にきた。
「明日の朝にはドレーン抜けますね」とのこと。
祝日勤務なのに熱心な先生だ。ありがたい。
頭痛は無くなってきたが少し熱っぽいので冷えピタをおでこに貼って、ミントアロマをつけて早々に就寝した。
今晩は良く寝られるといいなあ。