12  手術後 長い夜  2022/11/22 火曜日

イヤホンを装着しiPodから音楽が流れてくると気分が落ち着いてきた。
家族にメールで手術終了を報告。右手は問題なく自由に動く。
アロマオイルの香りに癒され、痛みに集中しすぎず良い感じ。
喉の奥に少し違和感があるが、多分これは管を入れて少し傷ついたのかな。
でも痛くはない。

まだ頭がボーっとするので、目を閉じて音楽を聴いていた。
最近iPodを使わなくなって、今回入院するので何年ぶりかで発掘してきた。
音楽だけ聴くならこれが一番。iPod 販売終了はショックだが、時代の流れなのだろう。
どんな曲を入れたか自分でも忘れているので、ランダムにしておいたら、いろんなジャンルが流れてきて、ギャンブルのようで面白い。
酸素マスク、点滴、尿菅、ドレーン、フットマッサージと身体中繋がれて身動きできないが、案外余裕がある。

そのまま音楽を聴いていたら執刀医の先生が様子を見に来た。
「特に問題ありません。ありがとうございます」と言うと「明日の朝また様子見に来ます」と言って帰った。
本当にお疲れさまです。

胆嚢摘出手術ブログでは手術後の夜が一番辛く、長い夜だったと書かれていた。
痛みもあるし、色々繋がれて身動きできないのは確かにつらい。

でもいくつかのブログで見た手術時に体内に入れたガスのせいで肩や背中が痛むということは今のところ無く、麻酔のせいで気持ち悪いとか吐き気もない。
傷口の痛みや体内の痛みも身に覚えがある程度。
ここ数年抱えていた腹部膨張感や違和感で、どうも痛みに慣れてしまったようだ。
少なくともあの台風の夜の痛みに比べれば全然問題なく許容範囲。
恐れていた激痛がそれほどでも無いことにホッとしながらうとうとしていた。
繋がれて動けない感覚も、猫が足元に寝ていて毎晩動けないのである程度慣れていたのは嬉しい誤算だった(笑)

手術から4時間後、夜20時に問題なければ酸素マスクは外すと言われたのだが、寝返りを打とうとして、布団が重くて動けないことに気づいた。
まだ19時前。あと1時間待つのもと思い、初ナースコール。
「は~い どうしました~?」と聞こえてきて、「布団が重いんです」「は~い、ちょっと待ってて下さいね~」と切れた。
しばらくして夜勤の担当看護師さんが走ってきた。
「電気毛布重ねてあるから重いよね~寒くない?なら取っちゃうね~」と普通の布団だけにしてくれた。
ああ、これで動ける。電気毛布がかけてあったのか、道理でのぼせそうになったわけだ。
発熱してきたのかと思った。

ドレーンが右脇腹に入っているので、左へ寝返りする時はドレーンの管を抑えながら寝返るよう言われる。ドレーンを抜いてしまわないためだそう。
慎重にベッドの左側の柵を掴みながら身体を左へ。
お腹が少し痛むが筋肉痛っぽい痛みだけで問題無いようだ。
尿菅が触れる感覚がするが、これは頑張って出してもらわないと自分が困る。
尿意がないか気をつけながら、また仰向けに戻った。
酸素マスクが鬱陶しいが枕元の加湿器のおかげで喉の渇きもなく、好きなアロマな香りに包まれながら早く20時になるといいな~と音楽を聴いていた。

ようやく20時になり、担当看護師さんがまず酸素チューブを一旦抜いてパルスオキシメーターで酸素濃度を測る。
97%で問題なく、めでたく酸素マスクとマスクを外してもいいと言ってくれた。
ああ、スッキリした。唇が乾いていたのでリップクリームが役立った。

検温と血圧測定。36.7℃でまあ大丈夫。それから血液さらさらの薬を右腕に注射された。
これも血栓予防ですか。

それから点滴に抗生剤が追加された。
ドレーンが入っているところ辺りに鈍い痛みが続いていると言ったら、今はまだ痛み止めを投与できないから、夜中の0時に痛みが続いていれば点滴すると言ってくれた。
次は4時間後を目標にしますか。

酸素マスクが外れ顔がスッキリして頭を動かしやすくなり、ミントのアロマオイルを米神に付けたらメール読んだりネットをする元気が出てきた。
少し遊んで、目が疲れたので明かりを消して、また音楽を聴いていた。

むか~し図書館で借りたクラシックBest100というCDを入れたことがあり、名曲といわれる曲をずっと聴いていたが、いきなり第九の第4楽章、合唱付きが流れ始めた。
大晦日に年の瀬を感じながら年一回聴いている合唱付きを身体中繋がれながら長い夜に聴くことになろうとは。
ずっと聴いていたらあの盛り上がり部分、超有名なあの部分で胸が震えて涙が出てきたのには驚いた。
どんな状況でも、人に勇気と希望を与えてくれる旋律。
まさに名曲にふさわしい力をベートーベンは作曲した天才なんだなあと思いながら聴き入った。
乗り越える気力をもらった気がして、それからは少し軽めの曲を聞きながらうとうとしたら夜中0時になったようだ。
担当看護師さんが来てくれて検温、血圧、酸素濃度測定。37.1℃ 微熱かな。
痛みは食後に走った後のような脇腹の痛みと、下腹部がず~んとする生理2日目のような痛みが続いている。
痛み止めを投与するか訊かれて、点滴してもらうことにした。

長い夜ではあったが枕元の卓上加湿器のおかげで渇きもそれほど無く、痛み止めが効いたのか音楽を聴きながら少し眠れた夜だった。
何度か見廻りや担当看護師さんが来てくれたようだが気がつけば朝6時。
また担当看護師さんが来てくれて検温、血圧測定。36.3℃。気分は悪くない。
血液検査で右腕で採血された。

看護師さんが一晩中優しく気にかけてくれて、こまめに面倒を看てくれて、本当に心強かった。
夜勤で疲れているだろうに、職業とはいえ人を気遣える優しさは、確実に世話を受ける患者に伝わってきた。
ここにいれば何とか大丈夫と思えたのが安心や睡眠に繋がっていた。
忙しい看護師さんにこちらも出来るだけ迷惑かけないよう、感謝の言葉を忘れないように心掛けた。
そういう優しい環境に入院させてもらえて良かったなと思った。