●祖父の一周忌に際して。
こんにちは!板橋真桜です。
今日はこの場をお借りして、非常に個人的な記事を書かせて頂きたいと思います。
今日2月22日は、祖父の一周忌です。
一年前、翌々日の25日に結婚式を控えた中での訃報でした。
94歳、自宅で大往生でした。
子ども、孫と全員女の子を育てた祖父は男の子を熱望しており、翌々日25日は待望の男の子、双子の男子蓮、瑞樹との初対面の予定でした。
祖父が曾孫と会えるよう、主人も、母も、妹も、全力を尽くしてくれていました。
祖父もギリギリまで披露宴で歌う詩吟を練習して、楽しみにしていてくれたようです。
22日に訃報を聞き、そのまま翌日の飛行機で熊本に飛び、24日にはまた仙台に戻り、25日の挙式に臨みました。
当時1歳の長女、0歳の双子を抱えながらどうにか準備を終えた挙式。毎週末主人の実家石巻との往復を重ねながらどうにか準備完了間近、というタイミング。正直悲しみよりも言葉にならない驚きの方が先立ちました。
私は父がいないので、同居していた母方の祖父が、父親代わりでした。
音楽教室をしていて多忙だった母に代わって、祖父はよく夕食を作ってくれました。その美味しかったこと!
農家に生まれ、父を早くに亡くした祖父は、弟と母の為に、たくさんの料理を覚えたと言っていました。
定番のカレー、甘くて美味しい肉じゃが、熊本の郷土料理のっぺ汁、難しいはずなのに絶品だったレバー、酢の物、漬物。時には魚も捌いてくれた器用な祖父。毎年丑の日に食べる鰻は、特製のタレの甘くて濃くて美味しいこと。未だに祖父を超える鰻は食べたことがありません。
他にも祖父はカメラ、釣り、カラオケ、詩吟、畑、伝書鳩、将棋、登山等々、思い出せないほどに多趣味な人でした。
「真桜、何でもやるからには先生になるくらい極めなさい。人に教えられるほどに秀でなさい。」
と言われたのを、よく覚えています。
高校生の頃、長く不登校になった時期がありました。他の家族からは「いつ学校に行くのか」と急かされたものでした。祖父は一切何も言わず、一緒に畑仕事をしたがる私を、見守ってくれました。他の家族に責められた時も、「真桜は今病気だから仕方ないんだ。何も言うな。」と庇ってくれました。
久しぶりに、本当に久しぶりに学校に行けた日、帰宅すると、「真桜、ようやく笑顔が出たなあ」と笑ってくれた祖父を忘れられません。
古い時代の人なのに、新しい価値観を学び取り入れ続け、人一倍、立身出世欲が強かったのに、決してそれを子どもや孫には押し付けなかった。
一年前の今日、妹からその電話をとった時は、あたたかい夕方の光が部屋いっぱいに満ちていました。部屋の中では3人の子ども達が、2人は泣いて、1人は遊びに耽っていた。私は今まで準備してきたことは何だったのだろうと、虚無感に襲われました。
最後に会った時、別れ際に「またな!」と言わず、「真桜、さよなら」と祖父に言われたことを、思い出していました。
その時からしばらくは、産後うつもあり、強い不安に囚われました。春になっても、夏になっても。
その気持ちが最近は全く消え去っていた。なぜか?
それは、生徒さん達が、私の元に通ってくれるようになったからです。
生徒さん達にどんな指導をしたらいいだろう?こうすれば楽しんでくれるかな?こうすればもっと喜んでくれるかな?
どんな教材が喜ばれるだろう。笑顔で音楽の楽しさを知ってもらいたい。楽しみに教室に来て、笑顔で帰ってほしい。
それを考え続けているうちに、いつの間にか不安はどこか遠くへ消え去っていました。
また、お母様たちとの出会いも、私には本当に大きなものでした。
ピアノでは私が先生ですが、教室に通って下さるお母様たちはほとんどが子育ての先輩です。
レッスンの合間にちょっとした子ども達の話ができること、またお母様たちが一生懸命育てられたお子さんたちが、笑顔でいることそのものに、とても励まされました。
家庭環境が大きく変化した昨年。今になって思えば、祖父が亡くなったことも、私がピアノ教室をするきっかけの一端を担っています。
感謝だなと思います。たくさんの愛情をかけてくれた祖父、実家熊本の家族、私の仙台の家族、主人の家族。祖父が亡くなってから支えてくれた友人、そしてもちろん教室に通って下さる生徒さん、そのご家族。
自分が大きな輪の中の、小さな細胞一つでしかなく、そのことがとても大きくありがたいことだと、実感します。
私は、いてもいなくてもいい。どちらでも、許される。大きな営みの中の、所詮小さな一つ。
何が書きたいのか分からなくなってしまいました(笑)一年前と大きく環境が変わったこと、そしてそのことはお教室に通って下さる生徒さん達のおかげであることが、言いたかったことです。
重ねてになりますが、保護者の皆様、いつも私に子ども達を預けて下さり、本当にありがとうございます。
これからも子ども達が喜んでくれるよう、また音楽をより深く学べるように、指導法や教材など、私もまだまだ勉強を重ねていきます。どうぞ今後もよろしくお願い致します。
おじい、ありがとう。