私には3才下の弟がいました。
私の弟であり親友でした。

とにかく弟がいれば友達も恋人も不要でした。
毎日弟と友達のようにおしゃべりしたり、テレビを一緒に見たり、弟と過ごす時間が楽しかった。

弟は反抗期がありませんでした。
家族に対して乱暴な言動は一切なく、母や私と一緒に買い物へ行ったりと、小学生から変わらぬ態度でした。

成人して社会人となり30才を過ぎても変わらぬまま。
そして、弟が33才の時に癌と診断されました。
末期状態でした。
壮絶な闘病を経て37才で亡くなりました。

弟が危篤となり永眠するまでの長い時間のことを今でも鮮明に思い出します。
そして胸が苦しくなります。
涙が溢れて嗚咽します。
17年経ちますが悲しみが薄れることはありません。

弟が亡くなった事は悲しいけれど、弟が楽になりこれ以上苦しまないで良いのだと思うと、それで良かったと思います。
癌の末期はただただ痛みに耐える日々です。

癌が頸椎に転移して弟は下半身麻痺となりました。
痛みを減らすために強い薬を使い亡くなる前の3ヶ月は意識朦朧とした状態でした。

弟が亡くなり私は寝込んでしまい、生活がままならなくなり、それがうつ病だと診断されるまで1年要しました。

その後1年、心療内科へ通い薬を飲むほど悪化していくので、通院も薬も止め、運が良かったのか1年でうつ病を克服して現在に至ります。

今はそれなりに楽しく生活していますが死ねるものなら死にたいといつも思って生きています。

両親が元気なうちは私は頑張る義務があります。

弟が最後に酸素マスクを自ら外し、家族の名前を1人1人呼んだあの声と涙は、今この時もリアルにフラッシュバックします。

そして弟の心臓は止まりました。

看護師さん、お医者さんが、「まだ耳は聞こえています。声をかけてあげてくださいね。」とおっしゃいました。

私達は時間の許す限り弟に楽しかった思い出話を話しました。

これから先いつか私は両親を看取るのです。
そして私は本当に独りぼっちになります。