大好きなアイツが死にました。
それは突然の出来事でした。
さっきまで楽しく話をしていたのに急に息が途絶えました。
びくともしない。
あまりの急さに驚いたよ。
何度も目を疑った。
何かの間違いじゃないかって全然信じられなかった。
アルバイト先で見つけたアイツは私が一目惚れして働いて時間をかけてやっと手に入れたんだ。
いつだって、どこだって一緒だったね。
大事な試験会場にも毎日の学校にも旅行先でも連れてった。
アイツがいれば安心できた。
頼もしいアイツ。
透き通るような白い肌、なめらかな体のライン、ふっくらした触り心地が最高だった。
ありがとう。
今までそばにいてくれて本当にありがとう。
アイツがいなければ今の私はいなかった。
何度も何度も助けられたよ。
名残惜しいよ。
もっかい目を覚ましてって何度も叩き起こした。
でも、だめだった。
かれこれ5年くらい経つんじゃないかな。
楽しい思い出でいっぱいだよ。
君を生き返らせることももちろん考えた。
だけど君の体を切り刻むわけにはいかない。
手術が成功するかもわからない。
だから、
さよならだ。
ごめんよ。
気分転換にでもなるかなとぷらぷらとでかけた。
薄情な私を許しておくれ。
君のことが嫌いになったわけじゃないんだ。
信じてくれ。
新しいアイツは本当にカッコイイ。
7ヶ国を堪能に話すアイツはものすごく頭がきれる。
時と場合によっては柔軟性をも持っている。
完璧なヤツ。
サラサラで艶やかな黒い肌、ツヤツヤなラメを着飾って、動きも声も何をとってもすばらしい。
感度も最高だ。
申し分がない。
私はこれから新しい相棒(その名を「Brain」と呼ぶ。)と共に生きていく。
どんなときも一緒だ。
ただ、やっぱり君とのセッションは今でも忘れることはできない。
どうかそばにいてほしい。
例え、目がさめなくても。
ありがとう、アイツ
これからよろしく
新しいアイツ
パソコンみたいだ。
美しい。
以上、電子辞書を愛してやまない私でした。