フジコヘミングさんの「フジコヘミング魂のピアニスト」新潮文庫 | 生きている間にやりたいことをやろう!コーチたき坊のブログ

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「好きなこと、ワクワクすることを生きている間に一つずつやる」をモットーに同じような思いを持つ方を支援するコーチ。2022年ワタナベ薫さん主催のMCCコーチ養成スクール第1期修了。好きなこと、ワクワクすることをやりたい方の背中を押します。

2024.7.10おはよう御座います💐
2年前の今日のフェイスブック📚読書記録から転載します🐰
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2022.7.10 お疲れ様です🏙
フジコヘミングさんの「フジコヘミング魂のピアニスト」新潮文庫476円+税を読み終えました📚2022年読書記録70冊目。以下本書から一部引用します。〜〜
私は音楽を通していったい何を伝えたいのだろう。作曲家、作品によってその表現は様々だ。その作品に全身全霊を込めて勉強しているうちに、その作曲家の霊感も自然に伝わってくる。それは言葉では説明出来るものではなく、人から人に伝わるもの。
私は、多くの人達の声を聞いて、自分が日頃何を伝えたいのか、ようやくわかった気がする。心の清らかな人々が私の演奏を受け入れてくれる。例えば、のら猫や貧しいホームレスを横目で見ながら通り過ぎて、夜にはその事を忘れていられる種類のタフな人々に私の演奏は価値は無いのだろう。それでも、全ての人々が清らかな心を何処に持っていると信じたい。そして、美しいものに素直に感動し、涙を流す、そういう人達を私は信じたい。
私は、自分が愛した作品を通じて伝えたい。リストの人間としての偉大さ、温かさ、格好良さを。ショパンのやるせなさを。そしてシューマンやドビュッシーの高貴さを。私にとって、音楽は最高の楽しみ。特にシンフォニー。ベートーヴェンとかマーラーが好き。夜の憂いを忘れさせ、私を幸せの国に運んで行ってくれる。その時は、生きてて良かったと思う。言葉では虚ろに聞こえるけれど、私はピアノを通して作曲家の偉大さを、彼らの嘆きを、神の存在を知らせる事が出来れば、と思う。
今の音楽の世界は、テクニックが重視される。コンクールでもそう。音を一つ間違えたからといってすぐ落とされてしまう。
間違えたっていいじゃない。機械じゃないんだから。一つの物差しでしか音楽を計れない。心で音楽を聴く事の出来る人が少ないのだ。
そう、私は、心の清らかな聴衆にいつも支えられてきたのだ。だからこそ、何度でも、こうしてピアノの前に座り、眩しいぐらいのスポットライトを浴びながら、時が止まったような静かな一瞬を迎える事が出来るのだ。やがて私の手が最初の一音をつくりだす時、それが私の信じる言葉となって。
〜〜〜〜〜以上引用終わり。
本書は、フジコヘミングさんが、自らの人生を幼少期から、ピアニストとして有名になるまでの過程を語っているエッセイです。
スウェーデン人の父と日本人ピアニストの母のもと、ベルリンで生まれ、母の厳しいレッスンに耐えた少女時代、貧しいベルリン留学生活、音楽家バーンスタインとの出会い、聴力の喪失という悲劇。
苦難をやり過ごし、自分を身失わず、時を待ち、どんな時もピアノを弾き続けたフジコヘミング。
今の自分の人生に苦しんでいる方に勇気を与えてくれる自叙伝です。本書の中には、フジコヘミングさんが子供の頃から描いていた絵や絵日記などがカラーで掲載されており、美しい絵にも感動しました。興味ある方は、是非お読み下さい📚🎄