五木寛之さんの「雨の日には車をみがいて」幻冬舎 | 生きている間にやりたいことをやろう!コーチたき坊のブログ

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「好きなこと、ワクワクすることを生きている間に一つずつやる」をモットーに同じような思いを持つ方を支援するコーチ。2022年ワタナベ薫さん主催のMCCコーチ養成スクール第1期修了。好きなこと、ワクワクすることをやりたい方の背中を押します。

2024.5.25おはよう御座います💐
溜めていた本を読んでいます📚
五木寛之さんの「雨の日には車をみがいて」幻冬舎1600円+税を読み終えました📚2024年読書記録96冊目。以下本書から一部引用します。
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この小説の中に登場する、それぞれのクルマの描写には、心に迫るものがあって、私を、おおいに喜ばせている。
乗り終わった時の、手の中に残るシフトの感覚や、背中で感じる室内の様子、耳の奥に潜むエンジン音、頭の芯が捉えた加速感。車が与える肉体的刺激が、ステアリングに触れた事もないグロッサーの孫娘でさえ、身体の中に蘇ってくるような気がするのだ。この”走る”描写もさる事ながら、サラリと書かれたフレーズにも、唸らせるものがある。

中世から一足とびに現代へやって来たイタリア人。近代的自我の毒から免れている彼らは知性かんていうものを、でんで問題にしていない。あくまで本能に忠実に、美とスピードだけを目的に車をつくりあげる。(アルファロメオの月)
気が狂ったように疾走するタクシーの流れの中を、僕はイワシの群れをかきわけて進む巨鯨のようにパスして走った。(怪物グロッサーの孫娘)
ポルシェについて語るのは、やさしい。しかし、本当にポルシェについて語る事は難しい。(時をパスするもの)
シトロエンの2cvは、そんな気持ちにぴったりの車だった。シンプルで、非力で、飾り気がなくて、滑稽だった。そのくせ見方をかえると、全部その反対の事も言えた。
(翼よ!あれがパリの灯だ)
この本が、車を愛するひとりの小説家によって、マニアの為に書かれたものではない事は明らかだ。
主人公と出会い、別れていくクルマ達は、時代と人生を映す鏡としての役割を担っている。見事なほど画期的に。
自由なメッセンジャーであるフランス車シムカから始まって、刹那的な快楽と優美さがほとばしるアルファロメオ、後退的発展をいく2cv、敬虔なる執事を思わせるジャガー、そして過ぎたるものポルシェ。
クルマ達が、主人公の揺れる人生と時代を、何と鮮やかに表現している事か。
何度か読むうちに、これは単なる恋愛小説でもないな、と思うようになった。クルマと同じように、出会い、別れを繰り返す女性達もまた、時代の波を映す存在なのだ。
もちろん、過ぎたものを美しいと思う、過去へのセンチメンタリズムでもあるまい。
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以上引用おわり。
五木寛之さんは、1932年、福岡県生まれ。生後間もなく外地にわたり1947年引き揚げ。1952年早稲田大学ロシア文学科入学。1957年中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、1966年「さらばモスクワ愚連隊」で第6回小説現代新人賞、1967年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞、1976年「青春の門(筑豊篇ほか)」で第10回吉川英治文学賞を受賞。多数の著書があります。
本書は、1988年6月に角川書店より刊行され、1990年9月に角川文庫、1998年5月に集英社文庫に所収された作品の改訂新装版です。
五木寛之さんが描く個性的で魅力的なクルマを通したストーリーが描かれています。
第1話 たそがれ色のシムカ シムカ1000
第2話 アルファロメオの月 アルファロメオジュリエッタスパイダー
第3話 アマゾンにもう一度 ボルボ122s
第4話 バイエルンからきた貴婦人 BMW2000csクーペ
第5話 翼よ!あれがパリの灯だ シトロエン2cv
第6話 ビッグキャットはしなやかに ジャグワーXJ6
第7話 怪物グロッサーの孫娘 メルセデスベンツ300sel6・3
第8話 時をパスするもの ポルシェ911s
第9話 白樺のエンブレム サーブ96s
エピローグ風のあとがき
文庫版解説
改訂版解説

興味ある方は、是非お読み下さい📚🎄
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