羽生さんの演技、美しかったですね!

 

何度も何度も見返して、全日本からの表現面での進化に驚いています。

 

ジャンプをノーミスでまとめた全日本の演技がこのプログラムの完成形のようにあの時には思えましたが

 

いやいやどうして、表現面では今回の「天と地と」は別次元でした。

 

そして間違いなく、この作品はSeimeiを超えた

 

羽生結弦最高傑作になるだろうと思わせるものが

 

随所に感じられました。

 

たしかにSeimeiほどわかりやすくもないし

 

大衆へのアピールという点では若干難解すぎるかもしれないけれども

 

なんというか日本人の精神性の発露としての「舞」を見せてもらった感じですね。

 

ダンスでも踊りでもない「舞」

 

それは

 

能の世界にも通じるような

 

世阿弥のいう幽玄の世界観

 

それが彼のスケートを通して

 

目の前に繰り広げられている。

 

それが羽生結弦の「天と地と」の本質だと思います。

 

 

見ているうちに幸若舞の「敦盛」の一節

 

人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり

 

が脳裏に浮かんできました。

 

 

この舞は信長と関連付けられることが多いですが

 

確かドラマ「天と地と」の中でも謙信さまが舞うシーンがあったと記憶

 

遠い昔のことなので記憶違いかもしれませんが

 

石坂謙信ラブだった私の子供心にものすごく印象的な場面でそのセリフまで浮かんでくるので

 

たぶんそのシーンはあったかと。

 

 

まあ羽生選手がわずか26歳で「無常観」に到達するっていうのも

 

ある意味凄すぎるんですけど

 

誰も見たことのない、経験したこともないような栄光と苦難の入り混じる起伏に富んだ人生を

 

大震災以降の10年間にぎゅっと凝縮して歩いてきた彼ならば

 

そのような境地に至ってもおかしくはないですね。

 

私ら凡人は彼が様々な困難を乗り越えて頂点を極める偉大な人生を

 

ずっと外から見つめ続けたわけですが

 

 

五輪二連覇という偉業を成し遂げて

 

頂点を極めた果てに見えてくる風景は

 

彼にしか見えない風景であって

 

その彼の心象風景を私達は彼の「舞」を通して垣間見させてもらい

 

共有させてもらっている

 

そんな感じです。

 

 

そして羽生選手も言う通り

 

あの作品は謙信公に重ねた自分自身の生き様そのものなのだろうし

 

言ってみれば

 

五輪二連覇選手として一世を風靡した競技人生をしめくくるにあたっての

 

辞世の句のような作品なのだろうから

 

私達はそういうものとして心して見なくてはならないと思っています。

 

 

彼はこの作品を私たちに残して競技の場を去ってゆく

 

もうそういうふうに腹を決めたのですから

 

あとはいつどこで

 

4Aを決められるのか

 

4A決めたうえで

 

自分が満足できる作品ができたなと思ったら

 

その時に彼は競技を離れると

 

そう言っているのですですから

 

その視線の先に

 

ネイサンはいないし

 

ネイサンに勝ってまた一つ五輪金を手に入れる羽生結弦もいない。

 

むしろネイサンに五輪頑張ってとエールを送っているのだから

 

安っぽく対決を煽って祭り上げてほしくないし

 

点数がどうの

 

順位がどうのという

 

そういう議論ももう意味をなさないということも

 

やはり心にとどめておかなくてはならないと思います。

 

 

それでも

 

命をかけたプログラム

 

あそこまで磨き上げたプログラムに

 

侮辱的なほど低い点数しか出さないジャッジには

 

物の価値のわからない野蛮人どもに

 

なにか神聖なものを蹂躙されたような

 

そんな不快感と怒りしか覚えないけれども

 

でももう羽生選手自身が達観しているのだから

 

そういうことには目をつぶるしかないのでしょう。

 

 

いまは

 

ただただ羽生選手が

 

どのように最後の時を戦い抜くのか

 

それを黙って見届けるという覚悟が私達全員にも求められているのだろうと思います。

 

 

それにしても

 

音楽との同調性、細やかな表現、随所にちりばめられた美しい表情・・・

 

本当に素晴らしかったラブラブ!なあ。

 

 

個人的にその美にノックアウトされたポイントを数か所

 

 

まず手でこの顔を隠したあと

 

手を開いてマジ顔の超絶美貌での睨みつけ恋の矢恋の矢

からのこの妖しい微笑のぶっこみ恋の矢恋の矢恋の矢

ほんの一瞬の油断をついてのサブリミナル攻撃はすごかったびっくりびっくりラブラブ

(これ秒速すぎてキャプチャとるのすごく苦労しました)

 

こりゃあスゲーわラブラブびっくりびっくりびっくり

 

と思ってたら

 

こんどはこれ

いや~破壊力、パね~っすあせるあせる

 

もう自分の美しい見え方完全にわかってますよね

 

こうやってぐいぐい羽生沼に人を引き込んでいくんだな

 

 

そしてトドメはこれですよ

どうですか、この世のものとも思えぬこの透明感!ラブラブラブラブラブ

 

 

このような反則的な美の波状攻撃をかけつつ

 

謙信公の人生に重ね合わせた羽生選手の競技人生が、プログラムのなから浮き上がって見えてきて

 

これはもうね

 

その難解さを超えて

 

羽生結弦の最高傑作として長く残ることになること間違いなしだと思います。

 

 

たぶんSeimeiは外国人含め多くの人が真似るだろうけれども

 

この世界観の本当の意味での理解は外国人には無理で

 

日本人であっても

 

おそらく頂点を極めた羽生選手にしか出せないものだろうと

 

自信をもって言えます。

 

羽生結弦の存在感とはかなげな美貌と日本人の精神性があって

 

初めて成立する作品だろうと。

 

その意味では

 

最後の作品にこれ以上相応しい作品もないだろうと思います。

 

この作品で4A を跳ぶことによって

 

いくらあとから来るものが点数操作をして実績を上書きしようとも

 

彼の名前も功績は

 

世界初の技と、唯一無二の演技内容とによって

 

絶対的なものとして歴史に刻まれるだろうと

 

そういうふうに思います。

 

 

 

そして羽生選手の姿がまたね

 

ほっそりしていて、でも背筋がピンと通っていて

 

立ち姿がシュッとしていて

 

風格も品格も威厳もありつつ

 

強さとはかなさが

 

不思議な配合でまじりあっていて

 

こんな選手がまたどこかの国に現れるとは到底思えないんですよね。

 

ほんと、奇跡の存在です。