心配すんの当たり前だろ (赤葦くん)
朝、学校に着くと、どこからかフルートの音色が聞こえてきた。きっと愛花が練習しているのだろう。もうすぐ大会が近いと言っていた。初めてメンバーに選ばれ、愛花は張り切っているけど不安も感じているらしい。でも、愛花は全く俺に弱音をはかない。愛花は昔からそうだ。頑張り屋なところは尊敬するけど、頑張りすぎるところが心配。声をかけに行こうかと思ったけど、頑張っているところを邪魔したくない。だから、心の中で「頑張れ」と呟いて、教室に入る。゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ バレー部の練習が終わり、愛花を音楽室に迎えに行った。「愛花。帰ろう」「今日はまだ練習するから、先に帰って」「今朝も練習してただろ。最近、頑張りすぎじゃない?」「どんなに練習しても不安なの…。初めてメンバーに選ばれて嬉しいけど、もしミスしたら…って思うの…」俯く愛花の手を握った。「初めてメンバーに選ばれたんだから、不安になるのは当たり前だよ。でも、頑張りすぎは良くない」そう言って、愛花の頭をポンポンと撫でた。「俺も部活があるから、ずっと側にいられないけど、いつも愛花を見守ってるよ」「京治、ありがとう。わたしもいつも京治を見守ってるよ」愛花はニコッと笑い、俺の手を握った。「今日はもう帰る。支度するから待っていてくれる?」「うん、待ってるよ」大切な存在だから、心配するのは当たり前。そして、いつも見守ってるよ。だから、あまり無理しないでね。