「おはよ」


眠たそうに挨拶をする黒尾。


「おはよう。黒尾、眠たそうだな」


「昨日の夜、研磨のゲームに付き合ってた」


「ふーん…」


黒尾と研磨は幼なじみで、特別な絆がある。


黒尾の恋人は俺だけど、研磨に嫉妬してしまう。


「なーに、やっくん。嫉妬してくれてるの?」


ニヤニヤとした顔と口調で言われ、イラッとして、黒尾から顔を逸らした。


「嫉妬してくれるなんて、俺、愛されてるー」


「黙れ」


そう言って、黒尾を殴った。


「やっくん、意外と嫉妬深いよね」


「うるさい、黙れ」


拗ねた俺に黒尾は困った顔を向けた。


好きな人にそんな顔をさせたくない。


でも、素直じゃない俺は「ごめん」と言えなかった…。


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その後、黒尾は俺を気にしている素振りを見せているけど、声はかけてこない。


声をかけてくれたら、謝れるのに…。


……俺は何て勝手なのだろう。


部活前までには何とかしたい。


でも、何て声をかける?


素直に「ごめん」と言える?


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「黒尾‼」


思い切って声をかける。


そしたら、黒尾は安心したように笑った。


「朝はごめん…」


「俺もからかいすぎた。ごめん」


そう言って、黒尾は俺の手をギュッと握った。


俺は身体中が熱くなる。


「俺が好きなのは夜久だけだから」


「うん、知ってる。俺も黒尾だけが好き」


俺の言葉に黒尾は満足そうに笑い、キスをした。


俺からもキスをしたらビックリしていたけど、もう1度キスをしてくれた。


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教室の片隅でかわすキス。


それは、スリリングだけど甘く優しい…。