その先生は、ブルーとブラックが印象的な車に乗っていた。
体育教師で陸上部の顧問だったその先生の、真面目で少し堅固そうな性格のイメージにぴったりのカラーリングのように思えた。
熱心な指導が評判だったが、物言いが強い存在としても知られていた。
ある日、不満が溜まった生徒達に吊し上げられ、それ以降先生が教壇に立つことは無かった。心を病んでしまった先生は自宅に引きこもり、通常の社会生活も難しい状態となったのだ。
真面目な性格故に生徒との衝突が余程ショックだったに違いない。真面目というのは美徳ともいえるのだが、反面強固さをはらみ、硬いが故に衝撃でポキリと折れてしまうおそれもある。
反対に柔軟というと弱いイメージも受けるが、しなやかで軽やかともいえるように思う。
心がしなやかであれば、衝撃をまともに受けることなくかわすことができる。また軽やかであれば常にニュートラルの状態を保てるであろう。
とかく強気の姿勢である存在を人は良いものと見なしがちだが、本来の強さとは何かと問われたような出来事であった。
しなやかに軽やかに、人にも自分にも優しくありたいと思う
「 しなやかに 軽やかに生き 過ごす日は
互いの良さを 生かし合える日」