フランスの代表的なシャンソン、「さくらんぼの実る頃」です。
Skype映画の時代背景が分かると、その物語に生きる人々の性質や心情、人間模様が見えてきます。
  紅の豚とさくらんぼの実る頃が発表された時代はどちらも戦争によって国が動かされていました。
  戦争によって動く政治経済の中、人々はどんな気持ちで生きていたのでしょう。


ピンクのブタ紅の豚は世界恐慌時(1920年~30年代前半)のイタリア・アドリア海を舞台としています。


$フルーリル


黒豚さんイタリア経済は深刻な不況
 
[第一次世界大戦で戦勝国となったイタリアだが、総力戦となった大戦はイタリア経済に過度な負担となり、戦争後には深刻な不況へと突入した。
その実情は敗戦国と大差は無く、街には失業者と復員兵が溢れかえり、都市部では労働者の争乱、農村部では貧農の暴動が多発した。
イタリア国民はこの戦勝国とは思えぬ悲惨さを「栄光なき勝利」と自嘲的に評した。]
(引用 URL http://porcorosso.karou.jp/history.html)


ピンクのブタさくらんぼの実る頃である5月は、「パリ・コミューン」の崩壊した頃

一方、さくらんぼの実る頃が発表された1866年のフランスもまた、
「普仏戦争」の敗戦が原因で経済が悪化していました。

【Le Temps des cerises(ル タン デ スリーズ)】
    ―さくらんぼの実る頃

紅の豚でジーナの声を演じる加藤登紀子さんが歌ったこの曲は、
フランスの代表的なシャンソンのひとつ。

元々はジャン=バティスト・クレマン(Jean-Baptiste Clément)が恋と失恋の悲しみを綴った曲だったのですが、10年後、人々は政治的な意味をこの歌に与えて歌うようになりました。

$フルーリル

【Semaine sanglante(スメンヌ サングラァントゥ)】
    ―血の一週間

1871年、3月に労働者・国民軍・市民が「パリ・コミューン」という自治政府を創出。
ドイツ軍と結んだ新政府からの自立を宣言し、社会主義政策を始めました。
しかし、5月21日に始まった『血の週間』の1週間の間に新政府のベルサイユ軍によって鎮圧されました。コミューン参加者の多くが射殺ないしは軍事法廷によって処刑されてしまいました。

【Mais il est bien court le temps des cerises(メ イレ ビアン クゥフ ル タン デ スリーズ)】
   ―でもとても短いんだ、サクランボの季節は

人々は失恋の悲しみの曲を歌うことで、創出してからわずか二カ月で
「Commune de Paris(コミュンヌ ドゥ パフィ)」が鎮圧された悲しみを訴えたのです。


黒豚さん「さくらんぼの実る頃」に込めた想い

当時のイタリア、フランスの労働者たちは戦争や政府によって
生活が困難になった苦しみや悲しみを抱えていた。
「さくらんぼの実る頃」はそうした時代背景の中で、
多くの国民に歌い引き継がれてきた曲。
本作で歌っていたジーナもまた、短いサクランボの季節を味わったひとり。
ジーナは愛した男を3人も亡くしている。
彼女は言う。
「いくら心配したってあんなたたち飛行船乗りは女を、
           桟橋の金具ぐらいにしか思ってないんでしょ!」
それでも彼女は、働き戦う男たちのオアシスを提供し、歌う。
心のどこかに熱い愛とロマンを秘めて。。
                                  
   そんな時代。



(Title)DI PORCO ROSSO (URL)http://porcorosso.karou.jp/index.html
(Title)meta metaphysica.net(URL)http://meta-metaphysica.net/lit/cerises.html
(Title)原曲で歌う海外曲(URL)http://www.geocities.jp/ezokashi/f_letempsdescerises.html
(Title)ウィキペディア