とうとうその日が訪れてしまった。
ケンケンが病気になり、お母さんが亡くなって一人暮らしになってしまった頃、ケンケンは言った。
「もし丸1日経っても連絡が取れない時は、何かあったと思って、警察に連絡してください」。
体調が悪い時、ほぼほぼ丸1日LINEが既読にならない時はあったけど、今まではギリギリで免れていた。
しかし、今回は、ついに丸1日を超えてしまった。
行くしかない。
しかし、夜勤明けで駆けつけたとしても、
どうしてもお昼頃になってしまうのが、もどかしい所だ。
具合が悪くて寝ているのは間違いない。
トイレ掃除が大変だろうから、ラクにする掃除用品を持って行こう。
出て来ないと困る。
その時は、玄関のドアに掛けておけるように、レトルトのおかゆとか、栄養バーとか、常温品を沢山買って行こう。
会えるかわからないけど、バースデーに用意出来なかった小さいケーキをちょっとだけ買って行こう。
深呼吸して、玄関のドアベルを鳴らした。
ケンケンは出て来た。
「具合悪くて寝てたんだ」。
やっぱり…。
原因作ったのは、もも姉だしね。
本当にごめんね。
これ食べてね。
お掃除グッズ買って来たから、使ってね。
お掃除して行こうか
「いいよいいよ。
お昼食べてく」
大丈夫。
駅前で何か食べてくから。
お大事にね。
とりあえず、最悪の事態は免れてホッとした。
駅前で餃子食べて帰ろう…。
仕事休めないから、こんな時も一緒に居られない。
いつまで経っても将来のメドが立たず。
もどかしかった。
しかし、今はどうする事も出来ない。
運命に身を委ねるしかなかった。
今回は長かったけど、しばらくすると、ようやくケンケンの体調も落ち着いた。
「ももは、僕の誕生日、ケーキどうしようと考えていた」
悩んだよ。
でも、ダイエット中だったから。
「正解
もう、この件については、忘れましょうお互い」。
ケンケンはそう言って、予定通りお花見も行われる事になったが、この件は最後までわだかまりとして残るだろう。
それはわかっていた。