大晦日。
おせち料理は、ケンケンが取り寄せてくれる。
いつものように、紅白の蒲鉾と、玉子焼きと伊達巻き、焼き豚を買って…と。
この時、もも姉は、年末からの運気の大きな波に飲み込まれている事を、まだ知らなかった。
異変と言えば、毎年買ってる蒲鉾が、どこを探しても見当たらない。
仕方なく、他のメーカーのを買った。
いつものより、ちょっと甘いんだよね。
そして、いつも買ってる玉子焼きも、何故か手に入れる事が出来なかった。
少々心残りではあったが、去年より早くケンケン家に着いたし、良しとしよう。
テレビを観ながら、ビール飲みながら、いつもの年越し。
穏やかに年が越せる幸せをかみしめながら。
テレビで除夜の鐘を聞きながら、
「明けましておめでとう。
今年も宜しくね」。
コロナで大変な年だったけど、2人とも無事で何より。
当たり前だった事が、当たり前でなくなり、いつもの生活がいかに大切かを知った1年でした。
元旦の朝は、いつものように、お雑煮作りますよ。
お料理が苦手なもも姉が、唯一作れるお雑煮。
今年も上手く出来ました。
玉子焼き買えなかったのだけが心残りなんだよねぇ。
ケンケンは言った。
「じゃ、来年は僕が買うよ」。
そうじゃ、お願いね。
今の職場に居る限り、毎年こうして穏やかに年末年始が迎えられるんだな。
そう信じていた…。