ゲゲゲの女房
人生は……終わりよければ、すべてよし!!
(武良布枝 著)
恋愛結婚が主流の今では考えられない考え方かもしれないのですが、私自身は実は共感を覚えるところがあります。
今日はののの@彩ふ読書会でした
楽しかった〜
読書会の記事は今晩か明日には書くつもりなのですが、今から家族サービスタイムなので、読書会の課題本になった「ゲゲゲの女房」についての記事を先にあげます
午後の部、皆さま名言がたくさんあったので、分けて記事にしようと思います
実はこの本、「6月の課題本は何にしましょう?」とサポーターにのののさんが聞いてくださり、私が候補に挙げてみた本でした。
課題本の選定は、その月々に合わせて考えるのですが、6月といえば、ジューンブライドと思ったことから、パートナーシップについて考えられる本がいいかなあ、と思いました。
ただ…、私は実は未読でした
松下奈緒さん、向井理さんが演じられていた朝のドラマも観ていませんでした。
のののさんがいち早く読んでくださり、課題本に決定。
あら、いいのかしら…、とちょっと恐縮しました
今日の読書会のために数日前から読み始めたのですが、布枝さんの温かい人柄が滲みでる素敵なエッセイだな、と安心しました
エッセイは、布枝さんの生まれ故郷、鳥取県安来市の描写から始まります。
布枝さんの生家での子供時代から水木しげるさんとの出会いまでが安来市時代の思い出とともに描かれます。
日本昔ばなしを思い出す、伝え話や神仏に対する考え方は牧歌的で、今は廃れてしまっている「自然に対する畏怖と尊敬の念」が感じられました。
私が41歳という年だからでしょうか。
「自然や、目に見えない何かに生かされている」と常々思っているのですが、布枝さんの文章を読むなかで、「人間がすべてを支配している」と考えるのは傲慢だな、と改めて感じました。
安来の生活から一変、水木しげるさんとの新婚生活は金銭的にも厳しいものでした。
けれど、布枝さんはそのなかでも自分の信念を持って仕事をする水木さんに尊敬の念を抱くようになります。
魂込めて作品を生み出す水木さん。
最初はおどろおどろしい作品に、「もっと明るい話を描いたらいいのに」と思う布枝さんでしたが、水木さんの真摯な仕事ぶりと、時には自分も手伝うことで、水木さんの生み出す作品に愛情を覚えていきます。
布枝さんの水木さんの描写から、ボロは着てても心は錦という言葉を思い出しました。
苦境にあっても自分を信じ、生きていく水木さんは、それを地でいく方のように感じられました。
生活が苦しくなると、相手を責めてしまうことがあると思います。
でも、布枝さんは、水木さんを尊敬し、支えます。
飾らず、優しい穏やかな文章から布枝さんのお人柄が窺い知れます。
生活の苦しさについても、恨みつらみの描写は一切なく、むしろ淡々と書かれています。
けれど、相当に苦しい生活だったことは十分に伝わってきます。
水木さんと布枝さんは、お見合いから五日目に結婚式を挙げておられます。
当時お見合いが主流とはいえ、スピード婚です。
布枝さんは本書でこう書かれています。
当時は、とにかく男と女、一緒になって、家庭を築いていくうちに愛情が育まれていくものだとされていて、私もそう思っていました。
恋愛結婚が主流の今では考えられない考え方かもしれないのですが、私自身は実は共感を覚えるところがあります。
実は私たち夫婦も、知り合って3ヶ月で結婚しています
ラブラブ(笑)な恋人時代には気付かなかった部分にお互い直面し、家庭内戦争と言えるくらいの喧嘩もしました。
離婚も話にでたこともあります。
でも、今は良い夫婦になっているのではないか、と我ながら思います。
それは、相手を選んだ時の直感を信じたことと、とことん話し合いをしたからです。
私たちは、娘の成長もあり、だんだん夫婦になっていったなあ、と思います。
夫に対しては、なんだか「同志」「戦友」という気持ちを持っています。
そんな私の気持ちと、布枝さんが書かれる水木さんとの夫婦関係が重なりました。
布枝さんは、私よりも謙虚に優しく水木さんを支えておられますが
水木さんと交流の深い荒俣宏さんが解説に書かれているのですが、「幸福の値段を下げればよろしい」という水木さんの答えが、夫婦が幸せに暮らせることの答えな気がしました。
それは、水木さんご自身の戦争体験、貧乏時代、「ゲゲゲの鬼太郎」の大ヒットを布枝さんと二人三脚で時には駆け足、時には立ち止まりながら歩いてこられた水木さんの言葉として重みがあります。
今の時代、なんとなくひとと比べて不安になったり、「人並み」を意識してしまう風潮があると思います。
そのために、目の前にある幸せを幸せと感じられない。
水木さんご夫婦は、お金のない時代、腐りかけたバナナをご馳走として食べたエピソードがあります。そのバナナを、「美味しい」と言って食べるのか、「こんなものしか食べられない」と嘆くのか…。
前者の方が幸せを感じやすい生き方かな、と思います。
私自身、結婚当初は色々あったことや、この二年間思い悩む日々を過ごすことが多かったので、「家族が笑顔でいられること」、「元気に幸せができること」、「美味しくご飯が食べられること」、「読書会のような趣味の時間が持てること」を人一倍幸せに感じているような気がします。
「楽しそうだね」と言われることが多いのは、私の幸福の値段が年々低くなっているからな気がします
追われるような生活を送る日々に、少し立ち止まりほっこり優しい気持ちになれる一冊だと思います