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切れない糸(坂木司  著)

以前「和菓子のアン」で紹介した坂木司さんの作品です
坂木司さんの作品は、謎解きはもちろん、主人公や周りの人物が成長していく姿が見られるのが、読んでいく楽しみでもあります

この本の舞台は、クリーニング屋さんの「新井クリーニング」。
「和菓子のアン」のアンちゃんのお母さんがパートで働いていて、アンちゃんの話もチラリと出てきます。(こういうリンクも坂木さんの作品の楽しみです)
店に持ち込まれる衣服を通して、お客さんの抱えている問題を解決していく物語です。殺人は出てこず、「日常の謎」の謎解きをしていきます。


主人公・和也の父親が亡くなるところから物語は始まります。家族が落ち込むなか、和也は店を自分が継ぐから店を再開させようと宣言します。
和也は昔から動物やひとなど、「困っている」者によってこられやすい、という性質を持っています。
そんな和也がクリーニング屋で働くようになり、お店には訳ありの衣服、訳ありの人物が集まってくるようになります。
困りながらも、助けずにはいられない和也。

そんな和也を取り巻く人物も魅力的です。

和也と大学の同級生である沢田。沢田は人当たりはよいのですが、友人達と一線を越えての付き合いはしません。
しかし、和也とは父の危篤の連絡を受けた際、沢田がその場に立ち会ったところから、他の友人達よりも踏み込んだ関係が始まります。沢田の観察眼は鋭く、時には冷たいとも言えるような発言をしながら、和也を助けるため店に持ち込まれた謎を解いていきます。
沢田自身、ある悩みを抱えています。それは沢田の言葉の端々に滲みますが、沢田が和也と関わるなかで、どんな変化を見せるのかも物語の軸となっています。

次に、和也の父がどこからか連れてきて、和也が幼い頃から「新井クリーニング」で働く、和也の第二の父のような存在のシゲさん。シゲさんのアイロンかけの技術は一流で、他の店から引き抜きの声をかけられるほどです。
シゲさんは口数は少ないですが、和也に大切なことを教えてくれます。謎のいくつかもシゲさんにはわかっていますが、和也の成長を見守るため、和也が謎を解いていくのにヒントだけを出すような関わりをします。
シゲさんがなぜ「新井クリーニング」にいるのかも、やがて謎として語られます。

和也の母や、「松竹梅トリオ」と称されるパート三人組(アンちゃんのお母さんも梅本さんで登場します)の女性陣もいい味を出しています。

そして、謎を持ち込んだ人物達も、謎を解いてもらうことで救われ、癒されていきます。

【誰も傷つけない謎解き】が、素敵ですし、謎解きを通して、登場人物達が何かを取り戻したり、前に進むきっかけになるのも本当に素敵ですお願いキラキラキラキラ


オムニバス形式なので、軽い感じで本を読みたい方、優しい気持ちになりたい方、日常の謎が好きな方、登場人物の成長ストーリーなど、甘酸っぱい物語が好きな方にオススメしたい一冊です。



坂木さんの作品は全部好きなので、これからも時々紹介していきたいと思いますニコニコ

自分が好きな作家さんについて語ると、なぜ自分がその作家さんが好きなのかがハッキリわかるなあ、と最近ブログを書いていて思いますほっこりほっこり

昨日の読書会についてもそうなのですが、好きなことについて書くのって本当に楽しいビックリマークビックリマークビックリマークキラキラ

最近いろんなことに興味が湧くので(幸せなことですラブ)、本レビューに登録しながらも、色んな話題を取り上げるブログになると思うのですが😅よろしければ覗いてやってくださったり、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいですニコニコ

遊びに来てくださり、ありがとうございました