呪いのブレスレット71(完) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

「ああ。崖に向かう俺の頭にも同じものが入ってきたんだ。可哀想な子だったんだね」

「……はい」

あたしは昨日の崖に立った。

下を見ると荒れる海で、身がすくむ。

「ひかり……来世も親友でいてね。さようなら……」

遠い地平線を見つめて、ひかりにさよならを言う。

ひかりがあたしに見せた霊体験は怖かった。けれど、ひかりの受けた傷に比べたら、あんなこと大したことはない。

いきさつを知られて良かったと思う。

「本当に君たちは仲が良い友達だったんだね」

「はい! そんな言葉じゃ言い表せられないくらいに」

これからもひかりを忘れない。

海を見ていたあたしは振り返り、拓磨さんを見た。

悲しみの笑みを向けた時、地面にきらりと光る物を見つけた。

しゃがんで光った物を指先でつまむ。

それはきれいなピンク色のローズクォーツの一粒の石。
 

「これは……ひかりのブレスレットの……」

どす黒い赤さを帯びていたブレスレットは、一番最初に見た時の色に戻っていた。

ひかりが小杉を好きと言った時のままの穢れのない色に。

「そうらしいね。これを見ても浄化されたのだとわかるよ」

あたしはそれをぎゅっと握りしめて胸にあてた。

「また会おうね。ひかり」

くるっと崖の方を向くと、握りしめていた一粒のローズクォーツを海に向かって投げた。

宙を舞う天然石がキラキラ光る。

海に落ちていくのを瞬きしないで見ていた。


「ありがとう。亜美ちゃん」

ひかりの声が聞こえた気がした。

END
 

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