呪いのブレスレット30 | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

夜が怖い

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今の体調で合宿に参加するのは辛いと思って、学校の帰りに病院へ行くことにした。

結果、あたしはこの上なく健康体で、身体が重く、怠いのはまったくわからないと言う。

だったら、なんでこんなに身体が重いんだろう……。

やはり夢が何らかの影響を及ぼしているのだろうか。

こんなこと話しても誰も信じてもらえないんだろうな……どうすればいいの?

ふたりも死んだ。

そして、そこにひかりがいた。

ひかり、あたしにどうしろと言うの?

ひかりのお墓参りに行こうか。きっと寂しがっているはず。

ひかりの家はこの近辺の地主。

近くのお寺が経営している幼稚園を出ているし、そのお寺の檀家だと知っている。

一度、家に帰ると荷物を置いて花屋に立ち寄ってからお寺に向かった。

お寺でお線香を買い、吉村家のお墓の場所を教えてもらう。
 

教えられたとおりに行くと、お墓にたどり着いた。

数日前に手入れされたのか、他の墓石の周りは草が生えているけれど、吉村家の墓石の付近は生えておらずきれいになっていた。

お花も新しい。

墓標に刻まれた新しい文字。

ひかりの文字を指でなぞる。

「ひかり、いったいどうしちゃったの? どうしてあたしにあんな夢を見させるの?」

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その夜、寝るのが怖かった。

あたしは枕とタオルケットを持って隣の麻美の部屋に行った。

「なあに? 亜美ちゃん」

「麻美、一緒に寝よう!」

「そんなこと言うの久しぶりじゃん。どうしたの?」

「ちょっと怖い夢見たから……」

「そうなんだ。じゃ、一緒に寝よう」

年子のあたしたちはよく一緒に寝ていた。

ベッドに寝そべっていた麻美は少し横にずれ、その横に枕を置いて横になった。

麻美が隣にいる安心感であたしはすぐに眠りに落ちた。

 

翌日、目を覚ましたあたしは夢も見ずに眠れたことにホッとした。

あたし、なにも見ていないよね?

夢を見ずにぐっすり眠ったはずなのに、昨日と同じく身体は鉛を乗せたみたいに重い。

まだぐっすり眠る麻美を残して、枕とタオルケットを持つと自分の部屋に行く。

入った瞬間、ゾクリと寒気を感じた。

クーラーを点けっぱなしにしていたわけではなく、夏場のこの部屋はムワッと暑いはず。

目の端にピンク色の物が見えて顔を向けると、持っていた枕とタオルケットを落とし、手を口元にやった。

「ひっ!!!」

机の上にピンクの見覚えのある便箋が1枚。

近づくと、小杉君へ「好き好き好き好き好き好き好き好き好き……」と便箋一面に書かれている。

みたことがある文面だけど、便箋は折られておらず、前のとは違うものだとわかる。

あたしはベッドの下からピンクの箱を出すと、ベッドの上に置いて蓋を開ける。

中には血の付いたTシャツ、毒々しい赤いブレスレット、ピンクの封筒の端が見えて、それを取り出し開ける。

それは以前の物だった。
 

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