時刻はちょうど7時。
なかなか来ないエレベーターにイライラと待つ。
昨日杏梨の態度が不自然に思った時になぜ聞かなかったのだろうかと後悔した。
携帯電話にかけても出ない。
どこかへ行ったのか?
香澄ちゃんの所か?いや、さっき遼平が家族旅行に行ったと言っていた・・・・・・。
きっと、マンションから一歩も出ていないだろう。
貴美香さんは忘れているかもしれないからハロウィンの話はしないでくれと頼まれたが・・・・・・絶対に忘れてなんかいないだろう。
昨日の様子を見ればわかる。
玄関のカギを開けて静かに中へ入ると、廊下に点けられた明かりに驚く。
進むにつれてリビングも煌々と電気が点けられていたが、杏梨の姿が見えない。
「杏梨?」
寝室のドアは開いていた。
覗くとそこも電気が最大限に明るくなっていた。
ベッドの上の膨らみに気づく。
そんなに怖いのか・・・・・・。
雪哉は今すぐ抱きしめてやりたくなった。
「杏梨?杏――」
布団に手をかけると耳が痛くなるほどの悲鳴をあげられた。
「きゃーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
うつ伏せで丸くなって叫んでいる。
「杏梨!俺だ!」
声が聞こえないのはアイポットで音楽を聴き、その音が雪哉の耳にまで聴こえる音量だったからだ。
雪哉はアイポットを取り上げた。
「杏梨!落ち着いて、俺だよ」
「・・・・・・ゆ・・・・・・き・・・・・・ちゃん」
やっと雪哉を認めた杏梨の目からは涙が溢れていた。
「ゆきちゃーーーーーーーーーーん!!!」
ガバッと雪哉に抱き付いた。
「もう大丈夫だから、落ち着いて 怖かったんだね」
落ち着かせようと、髪から背中へ手を何度も滑らす。
しばらくしてから「もう大丈夫」と小さな声がした。
あんなに取り乱す杏梨を久しぶりに見て雪哉は医者が必要かと考えた。
「本当に?」
顔を覗き込むと、うさぎのように目を真っ赤にしていた。
「そんなに怖いのならどうして昨日言ってくれなかったんだい?」
「・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ゆきちゃんのお仕事の邪魔はしちゃいけないおもって・・・・・・」
雪哉はためらいがちに言う杏梨を見て、深いため息を吐いた。
「邪魔とかの問題じゃないよ?わかるだろう?」
これが引き金になってまたトラウマになったりでもしたら取り返しがつかない。
「誰から聞いたの・・・・・・?」
「貴美香さん、さっき電話をもらってね そんなことがあったなんて知らなかったよ あんな殺人鬼なんて映画の中だけだから大丈夫なんだよ?」
「ん・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
謝る杏梨に胸がつまる思いだ。
「食事に出かけようか?まだだろう?」
何でもないことをわからせたくて外に誘った。
「・・・・・・うん 行く」
ゆきちゃんがいるから大丈夫 怖くない。
「いい子だ」
ピンク色の唇に軽く口付けをした。
すぐにキスを終わらせると小首をかしげている杏梨がいた。
「これ以上進むと夕食に行けなくなる 続きは帰ってからね」
意味深な言葉に真っ赤になった杏梨の鼻にちょんとキスをして雪哉は優しく微笑んだ。
~~~~~~END~~~~~
こんばんは~
なんだか、とりとめのないお話になってしまいました(汗)
みなさんに杏梨と雪哉に会って欲しいな~と思って考えたお話ですが、みなさん、映画「ハロウィン」は見た事がありますか?
モモは中学生の頃に見た映画だと思います。
あのころは、「13日の金曜日」「エクソシスト」「オーメン」「悪魔の棲む家」などなど、21時のロードショーで良くやっていました。
ハロウィンの映画を見たとき、杏梨のようにとても怖かった記憶があります。
怖がりなのに、恐怖映画をつい見てお手洗いに行けなくなる経験がたくさんあります。
みなさんはそんな経験、ありますか?
「Love Step」ハロウィン編、短くてごめんなさい。
また書いたら読んでくださいね。
モモ