髪に触れる手を衝動的に払った。
「子猫ちゃんはとげとげしいな」
あきらは目を伏せる杏梨を見て本当に苛めて泣かせたくなるほど可愛いと思っていた。
あの男と一緒に住んでいるのだから身体は慣らされているに違いない。
18歳、たまらねぇ
「帰らせてください」
あきらがそんな事を考えているとは思っても見ない杏梨は顔をあげてやっとの事で言った。
「む~り~ もっと話をしようよ 琴美、お前は帰って良いよ」
杏梨がビクッとし、恐怖に満ちた顔で琴美を見た。
「行かないで、行かないでください」
震える声で琴美に懇願した。
置いていかれたら正気ではいられない。
「あきら、話だけの約束よ 彼女を怖がらせないで」
杏梨が可愛そうになりもう一度言うと、あきらがニヤッと笑い立ち上がった。
「うるせえんだよ!勝手に怖がってんだよ!子猫チャンは!」
あきらは琴美に向かって手を振り上げた。
バシッ!!!
「きゃーっ!琴美さんっ!」
あきらが琴美の頬を平手打ちしたのだ。
叩かれた琴美はテーブルにぶつかり、アイスコーヒーの入ったグラスが床に落ちて大きな音をたてて割れた。
琴美は叩かれた頬を手で押さえた。
「あきらっ!」
あきらを見る目に怒りが見えた。
「なんだよ!その目は!早く行けよ!お前は用済みなんだよ!」
行かないで、琴美さんっ!
杏梨は心の中で叫んだ。
続く