「杏梨?今、なんて?」
「抱いて・・・欲しい・・・」
杏梨の言葉に雪哉は面食らった顔になる。
「抱いて欲しい?抱きしめて欲しいの間違いじゃないのかい?」
「間違いじゃないよ・・・こんなわたしだけど・・・」
恥ずかしさはMAXで、とうとう杏梨は真っ赤になって俯いてしまった。
そんな杏梨を見て雪哉は小さなため息を吐いた。
「いいのかい?途中でやめられるほど出来た男じゃないよ?」
「泣き叫んでも・・・お願い・・・」
もう過去には囚われたくない。
あの事を忘れたい。
ゆきちゃんなら忘れさせてくれる。
「杏梨・・・・・・」
杏梨の強い決心が分かった。
しかし、泣き叫んだらそのまま進む事なんてできないだろうに・・・。
杏梨は背伸びをすると、雪哉の両肩に手を置き唇にキスをした。
「それは俺を誘惑しているの?」
「そうだよ ゆきちゃんに決心して欲しいから・・・」
雪哉は笑って杏梨を引き寄せると、顔を寄せた。
「あっ!ちょっと待って!」
キスをしようとすると寸止めされる。
「どうした?」
「シャワーを・・・」
「一緒に入る?」
嫌だと断られるのは分かっているが、愛しい子にちょっかいをだしたくなる。
「ゆ、ゆきちゃんっ!」
「分かっているよ 今はやめておこう 先に入ってくるといい」
「うん」
にっこり笑った杏梨は雪哉から離れると浴室へ行った。
少し低めのお湯が決めの細かい肌にあたる。
身体を洗う手は震えている。
だめだよ 決めたんだから。
* * * * * *
雪哉がシャワーを浴びている間、杏梨はリビングでテレビを見ていた。
実際にはテレビを見る余裕なんてない。
立ったり座ったり、落ち着きなく部屋の中をうろついたいた。
こういう時は深呼吸がいいんだよね。
どこから出た情報なのか、素直に杏梨は大きく深呼吸をした。
「くすっ」
後ろで笑い声が聞こえた。
「びっくりした!」
髪に雫がついたままの雪哉に心臓がトクンを音をたてた。
上半身は裸で、きれいに付いた男らしい筋肉を目にして目のやり場に困る杏梨だ。
「そんなに緊張すると出来なくなるだろう?」
怖いのを我慢しているはず。
本当にこのまま杏梨を愛してしまって良いのだろうか。
「き、緊張なんてしていないよ?」
杏梨は心を決めて雪哉の胸に飛び込んだ。
続く
なかなか進まず・・・ごめんなさい
モモ