「Love Step」(197) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

杏梨は琴美に励まされて店を出ると、病院へ向かった。


病院の待合ロビーを抜けると足取りは重くなった。



琴美さんに励まされて来ちゃったけれど・・・。

病院に着いてから、彩さんにちゃんと言えるか自信がなくなっていた。

病室にはゆきちゃんがいるかもしれない。



ふと売店の横に小さな花屋を見つけた。


杏梨は吸い込まれるように花屋に近づいた。



* * * * * *


可愛らしいピンク系の花束を胸に病室へ向かった。


峻と真緒の会話で病室は分かっている。



ここだ・・・。



ドアの前に立つと胸が痛いくらいにドキドキ暴れ始めた。


ノックをしようと上げた手が震えている。


勇気を振り絞って杏梨はドアをノックした。



トントン・・・。



ノック音の後に、中から「どうぞ」と言う声が聞こえてきた。


杏梨は静かにドアを開けた。


「杏梨ちゃん!」


ドアに立つ杏梨を見て彩は驚いた。


「彩さん・・・お加減はいかがですか・・・?」


ベッドの上に起き上がっていた彩を見て伺う。


見るところ、唇はピンク色で、頬の血色も悪くない。


お化粧をしていないのに、見惚れてしまいそうな美しさだ。


「まあ、きれいなお花、私に?」


「あ、はい」


杏梨はベッドに近づき、彩に花束を渡した。


「ありがとう・・・良く来てくれたわ 杏梨ちゃんに謝らなければと思っていたの 貴方が悪いとは言え、叩いたりしてごめんなさいね」



え・・・?わたしが悪い・・・?

本当に彩さんはそう思っているの?



「ぁ、彩さんっ!わたしは悪くないです どうしてそんな事が言えるんですか?お願いですから小細工をしてゆきちゃんを取らないで下さいっ!」


彩の言葉が引き金になって、杏梨は心の中をすべて吐き出してしまった。


そんな杏梨に彩は驚き唖然となった。



続く


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