う~ん・・・うるさいよ・・・目覚まし・・・。
音が鳴っているのだが、明け方に眠った杏梨は目が開かない。
~~~♪~~~♪
・・・違うっ!電話だぁ!
ハッとして目が覚めた。
着信は峻だった。
「も、もしもし・・・」
『ごめん、起こしたか?』
「えっ?今何時っ?」
口では峻に聞き、目は壁時計を見た。
「やばっ!9時だっ!」
『落ち着けよ』
こんな状況なのに、杏梨の慌てた声が可愛いと思ってしまう。
「え・・っと・・・何の用・・?」
『ん?あぁ、昨日は雪哉さんを帰せなくてごめん』
「・・・ゆきちゃんに昨日の話はしていないよね?」
記者が彩の親友だと言うことだ。
『ごめん、言えなかった・・・』
「いいの、言わないで」
『え?言わなくて良いのかよ それじゃあ、お前が悪く――』
「いいの!お願いっ!」
『なんかお前おかしいぞ?』
「ごめん、遅刻しそうなのっ!言わないでね?約束だよ!」
そう言うと電話を切った。
一方的に切られた峻は呆然となった。
なに考えているんだ?あいつ・・・。
杏梨は急いで着替えるとキッチンでオレンジジュースをコップに注いだ。
その場で飲もうとすると背後からふんわりと肩に腕が回った。
突然、腕が回り杏梨の肩がビクッと跳ねる。
「ただいま」
「ゆ、ゆきちゃん!」
ぎゅっと抱きしめられている。
「寂しい思いをさせてごめん」
髪にゆきちゃんの唇を感じた。
優しい言葉は胸にツンとくる。
口を開けば涙が出そうでわたしは俯いていた。
続く