「Love Step」(58) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

キッチンへ行くとまだ寝ていると思っていたゆきちゃんがいた。

「おはよう 杏梨」

「お、おはよう・・・」

雪哉はぼうっと突っ立っている杏梨に座るように言う。

テーブルの上にはハムエッグとグリーンサラダのお皿が置いてあった。

「どうして?ゆきちゃん 寝ていないでしょう?」

「送っていくよ」

カフェオレの入ったマグカップを杏梨の目の前に置くと言う。

「いいよ、仕事まで寝ててよ」

なんとなく言葉がつっけんどんになってしまう。

「足、大丈夫だったか?」

「大丈夫だよ 大げさだったみたい」

すぐに冷やしたおかげで水ぶくれはまぬがれた。


* * * * * *

学校まで行く間、きまずい雰囲気だった。

ゆきちゃんの顔がまともに見れないよ・・・。

「杏梨、何かあったのか?」

「えっ!?」

「ほとんど寝ていないだろう?」

「・・・」

「俺と暮らすのが嫌になった?」

突然の言葉に杏梨はビックリして雪哉を見た。

「なんでそんな事言うの?」

どこからそんな事を思いつくのか不思議だった。

「いや・・・杏梨の様子を見ていると・・・」

雪哉は自信を無くしそうだった。

「ゆきちゃんの方こそ後悔しているんじゃないの?」

そうだよ、彼女も家に連れてこられないし。
わたしの世話も大変だし。

「何言ってんの?」

「わたしがこんなんだから・・・わたしが一緒に住んでいるせいで彼女連れて来れないし、でもっ!彼女の事はわたしに分からないように付き合って欲しかった」

我侭を言っているのは頭では分かっているのに口は止まらない。

心に留めておいたのに言ってしまっていた。

「杏梨、何を言っているんだ?」

雪哉には杏梨の言っている事が理解できなかった。

「わからない振りなんかしないでっ!」

杏梨はそう言うとそっぽを向いた。

「誤解があるみたいだ、杏梨 ちゃんと話し合おう 迎えに来るからメールしろよ?」

「話したくない 一人で帰れるからメールしない」

ちょうど車は学校近くのいつも停めるスペースに停まった。

停車したのが分かると杏梨はドアを開けて出ようとした。

「杏梨!」

杏梨の手首が掴まれた。

「このままで良いわけがないだろう?」

真剣な雪哉の眼差しに杏梨は唇を噛んだ。

「今日はなるべく早く帰るから」

そう言うと掴んでいた手を離した。


続く

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