ゆきちゃんは再婚話・・・どう思ってる?


食事会の場所はお隣の冬木家。

ゆずるさん一家とゆきちゃんは6時頃に来る予定でママは早くから食事の準備をした。

私も借り出されてお手伝い。

「杏梨ちゃん、日曜日なのに手伝わせてごめんね?」

キッチンでデニム地のエプロンをつけた私に謝りに来た春樹おじさん。

春樹おじさんはもうすぐ50歳になるらしいけど、若々しく素敵な人だ。

もちろん美形2人のお父さんなのだから昔はもっとカッコ良かったのだろうと思う。


「いいんです 何も用はなかったし」

春樹おじさんににこっと笑う。

その笑顔を見て春樹は「可愛いな」と思うのだが口には出さない。

杏梨は可愛いという言葉にも拒絶反応を起こすからだ。


「どこかで食事と思ったのだけどね 貴美香さんがそれではゆっくり話も出来ないからってね」

優しい春樹おじさんはママの言いなり。

話の節々にママが好きなんだなぁ~って感じる言葉が良く出てくる。


「今日は陸君も来るんですよね?」

陸くんはゆずるさんの息子で春樹おじさんの初孫。


「ああ 来るよ ゆずるが杏梨ちゃんと会うのを楽しみにしていたよ」

ゆずるさんと会うのは陸君を出産して以来だった。

陸君、3ヶ月になったばかりだから可愛いだろうな。


* * * * * *


「杏梨ちゃん!」

家に入るなりゆずるが杏梨に抱きついた。

女性に抱きつかれるのはまったく平気。

抱きつかれてふんわりと甘い香水の香りが漂った。

大人の女性の香り。


「ゆ、ゆずるさんっ!」

「そんなに驚かないでよ いつもの事でしょう?」

冬木家はみんな背が高く、ゆずるさんも170cmはあるから154cmしかない杏梨はいつも振り回されてしまう。

実の妹のように杏梨を可愛がってくれるのは毎度の事だ。

そんなゆずるさんの後ろにご主人の健太郎さんが陸君を抱っこして立っていた。


「こんばんは 健太郎さん」

やっとゆずるさんの旦那様にも慣れて来た。

最初の頃は健太郎さんと目を合わせないようにしていた。


「こんばんは 杏梨ちゃん」

男性恐怖症の私に健太郎さんは気遣い、私から話しかけない限り話しては来なかった。



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