10年前、
私は何か心もとない気持ちでいた。

自分が仮面をかぶっていて、
毎日それを付け替える事にうんざりしていた。

その仮面は、安っぽく、
それをどこか人に笑われてるような気がして、
いつのまにか自分を小さく見積もるようになっていた。

かと思えば時々評価されれば自信を持ち、
されなければ失意のどん底に落ちた。

いつも周りが、自分の価値を決めた。

それから5年が経ち、私はある覚悟を決めた。

それは今までの仮面をつける人生とは、
真逆の道だと直感的にわかった。

家族の声が、友達の視線が、
怖かった。
案の定反対された。
それでもなぜか、涙をボロボロ流しながら、
その道を守るために説得をした。
自分でも、どこにそんなパワーがあったのか分からない。
なんの保証もなかったし、確信もなかった。
それまで何年も生きてきた生き方からすると、
自分がそんな抵抗をすることが、信じられなかった。

でも涙を流させるものを、
必死の抵抗を支えているものを、
無視できなくなっていた。
それに触れている時、仮面をつける余裕はなくなっていた。

思えば10年前、5年前、悩んで泣いてばかりいた。

何が正しいか分からないのに、
信じないといけないと感じられるものがあり、
それを証明する理屈を知らなかったから、
自分がおかしくなったのかと、
逃げているのかと、思った。

そして今。
あれから何年も経って、
あの頃を振り返ると、
叶っているものの大きさに唖然とする。

涙を流しながら
心の中で必死に守ってきた小さなともし火は、
知らぬ間に大きくなっていた。

それが今の自分を温めてくれるから、
今は自分を信じてあげられる。
信頼できる。
全部正しかったと言える。
これからも、もっと火をくべよう、
未来の自分に届くぐらいに。