Etude Lavie 1stアルバム「オクタヴィリア」 | このために生きてる。

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待望のEtude Lavieファーストアルバム「オクタヴィリア」発売!ぱちぱちぱち。
待望の、とは言いますが、peziteでは4年待ったのに活動始めてすぐでアルバム出すって聞いたときには「大丈夫なのか…!?」とちょっとはらはらしたりもしました。

が、いつものことで、心配は杞憂でした。
オクタヴィリア、期待を超える素晴らしいアルバムでした。
コバヤシさんとナオミさんの中から、こんな曲が溢れているのなら、そりゃすぐアルバムを出したいと思うのも当たり前です。すごい。


twitterで「ジムノでもpeziteでもない、Etude Lavieのナオミさん。」と私は呟きました。
何度かナオミさんの歌声が変化した的なことを書いたと思うんですが、まさにそれ。
ジムノとpezite、ナオミーポコを経てのEtude Lavie。
ナオミさんだけではなく、コバヤシさんも、そこに違いがはっきりとあるわけではなくて、シームレスでグラデーションのような変化。
例えるならきっとジムノがド(C4)からソ、peziteはファからシ、ナオミーポコは黒鍵といった感じで重なりながら、Etude Lavieはそのシを渡って、オクターブ上のド(C5)から先で、同じ音だけど違う、ような感じかなと。
そこにサポートのみなさんが、ラメを散らしたり地色を加えたりして、きっとまた様子が変わるのです。

今回はスキャットが少ないな―と思いましたが、意識してきくとしっかりありますね…
曲に溶け込んでるからかな。
今回はメロディーを乗せるリズムがちょっと変わってるな、と思います。
後述の「一段一段」や「踊り明かそう」など。

あと、全体を通して「きみ」の存在が薄いように思います。
これまでは割と「きみ」が見えたんですが、今回は視点が特定の「きみ」へ向かっているのではないような。
でも歌の中に「きみ」が全くいないわけではなくて、「きみ」を内包する「わたし」というか…
一は全、全は一みたいな?

また、これまでは強かった歌の中の時間経過や物語性も今回は薄い気がします。
代わりに、どれも「どこ」でもあり「いつ」でもある感じ。


それでは各曲の感想。


1.ピレネーの渚
満引きする波のような、波に引き取られていくような揺らぎ。
渚に横たわって低いところから世界を見ているようなイメージです。

ピレネーはフランスとスペインを隔てる山脈で、渚はそこにはない(はず)。
他に月にもピレネーという場所があったり、マグリットの絵に「ピレネーの城」という、城を乗せた岩が海の上に浮いている絵があるので、そっちかな?


2.リトルクルセイダース
ライブでお馴染み、ストレートで疾走感のある曲。
アルバムではキラキラ感と風が吹き抜ける感じが増していると思います。
ギターが、風を切って飛ぶ側を流れていく雲のよう。
一瞬の凪からの勢いがゾクゾクします。


3.螺旋
潤み朱っぽいAメロからサビへの転調がスゴイ好き。
サックスがゴールドのパイピングみたいに聴こえます。
「一段一段」「一枚一枚」のシンコペーション(だっけ?)で心が詰まるように感じます。
「螺旋」のタイトルとおり、いろんなものが同じなようで違っていて、現実と夢が重なるようなコーラス。


4.踊り明かそう
イントロバックは逆再生で「いつだって泣くよりも笑ってたいんだ ツライ夜はもういいや」って言ってるのね!
ステップを踏むようなキーボード、跳ねるようなドラムと、しなやかなサックスが心地よい。
「風だって泣くよりも笑ってたいんだ」の巻き込むようなリズムが素敵。
ステージのナオミさんが一番思い浮かぶ曲。
「想いは熱さ」まさにそれを感じさせられます。


5.ディレイディレイ
「踊り明かそう」のパーティの後の、静かな夜。喧騒の後の静寂。
さびしいけど満たされている?ような?
最初ライブで聞いたときは、さらっとした淡々とした曲かなあと思いましたが、CDで聞いてみると、そんなことは全くなかったです。
すごく強い感情がこもった曲。
優しいベースが好きです。


6.sequel 7th
7つめの続き。
ジムノ・pezite・ナオミーポコ通して初めての英語タイトルですね。
これまでの7枚のアルバムや、オクターブに至る音のこと?
私音感がないので分からないんですが、コードの7thだったりするのでしょうか。
次元の狭間のようなふわふわとした感じ。


7.アイロニーバズ
ライブより賑やかで可愛らしい感じだと思います。
私のイメージはロンドンの2階建てのバス。
オシャレな間奏でMOTHER2のバスの曲を思い出しました。
ナオミさんの歌声がとにかく楽しそうでいい。


8.夜明け前
ちょっと…個人的に…犬のことを思い出してしまい涙が出ます。
「ここならきっと寂しくはないわ」とか…
抑えて響く和音を刻んでいくキーボードに、こぼれる涙のようなギター、潮騒のようなベース、支えるのではなくそれに乗るようなドラム。
そしてナオミさんの囁くような、でも芯のある声とコバヤシさんの流れ星のようなサックス。
アルバムの中で一番、それぞれの音が個別に、でも重なる曲だと思います。


9.オクターヴ
ジャケットのメインイメージはこの曲でしょうか。
サビがたまらない。
冒頭の「シュッ」って音はなんだろう?
「世界を描き上げる」のに「水面に全部沈めてしまう」のが癒し、なんて歌詞がすごい。
果たして描き上げるのに必要なのか、描き上げたら沈めてしまうのか。
古来より狂気には刹那が付き物ですが、この曲も然り。


10.メリーゴーランド
酔っているときのような、頭をふらふら揺らされているような。
でも本人はいたって冷静なつもり、みたいな感じ。
カギカッコの中は「あたし」が囁かれているのかな。
だとしたらとんでもなく甘美な誘惑です。



それぞれ感想を書きましたが、全体を通して聴くとまた違った感想を抱くアルバムだと思います。
特にこの曲が好き!と言えず、全部すごく良い曲ばかりです。

もし買うのを迷っていて、感想を探してこのブログたどり着いたなら首根っこ掴んで言いたい。
良いから買うべき!なんなら私が買ってあげるから!!

8枚目、素晴らしいアルバムをありがとうございます。
大事に大事に聴いています。