ファルコン、ありがとう。
15年前のクリスマスイヴの夜、
三姉妹へのサンタさんからのプレゼントは、
三人の頭数に対して、ダンボール箱がひとつ。
開けてみると、
真っ黒な、ちいさな、ぬいぐるみ・・・
ではなく、おとなしい子犬でした。
子犬の一挙一動を見つめる三姉妹のはじける笑顔を、いまでもよく覚えています。
すぐに、名前をつけなきゃ!という話になり、
家族みんなで観た映画「ネバー・エンディング・ストーリー」から次女が思いつき、
「ファルコン」は新しい家族の仲間入りをしました。
そのファルコンが、今日、亡くなりました。
15歳と4カ月でした。
その間、ファルコンは、すてきな思い出をたくさん残してくれました。
ある日、ひさしぶりに大雪が降って、家族総出で雪かきをしました。
まだちいさかったファルコンが、雪の上を大喜びではしゃぐ姿はとびきり愛らしかったです。
ファルコンと一緒に、サイクリングに出かけたこともありました。
三姉妹が順になって先導して、家具屋姫が自転車に乗りながらファルコンのリードを持って、
まっすぐにのびる新緑のサイクリングロードを快走しました。
そのサイクリングロードに続く散歩道は、ファルコンのお気に入りの散歩コースでした。
車道を離れ、ひと気のない田園風景で、ときどきファルコンのリードを外してあげると、
あぜ道を全速力で駆けまわっていました。
それに、ファルコンは、優秀な番犬でもありました。
うちに来て2か月もすると、玄関先で立派に吠えるようになり、
新聞屋さんや郵便屋さん以外の来客を、いつも確実に知らせてくれました。
そんなファルコンがいたので、睡眠が浅くなりがちな家具屋姫も、安心して眠ることができました。
近所の猫に反応して吠えてしまうのが玉にきずでしたが、
それでも、ファルコンはとてもよく家具屋姫を助けてくれました。
晩年は聴覚がなくなり、目も悪くなり、不便が多い様子でした。
呼びかけても気がつかず、注意深くそっと触れても驚かせてしまったり、
お互いにもどかしく、さみしかったです。
今年の正月には、まだ軽やかなステップで散歩ができていましたが、
3月くらいからあきらかに衰弱しはじめ、
散歩でも足がふらつくようになりました。
食事の量も減って、あたたかい鳥がらスープにだけ口をつける日もありました。
そして、今日、4月25日の朝、
9時ごろ家具屋姫がスープをもって行くと、
からだを起してスープを飲もうとするものの、結局受けつけず、
10時ころふたたび様子を見に行ったときには、もう息がありませんでした。
亡骸は庭に埋め、花を供えて、
三姉妹にそれぞれメールを送りました。
ファルコン、うちに来てくれて、ありがとう。
たくさんの、たのしい、うれしい、思い出を、ありがとう。
ありがとう。