静岡新聞からです。
自宅に犬85匹 飼育崩壊か 富士の女逮捕、動物愛護法違反容疑
5/11(火) 14:22配信
多数の犬が劣悪な環境で飼われていたとみられる現場=4月下旬、富士市内
劣悪な環境で犬85匹を飼育し、虐待したとして、富士署と県警生活保安課は11日、動物愛護法違反の疑いで富士市大淵、無職の女(51)を逮捕した。県警は多数の動物を飼い、適切に管理できない「多頭飼育崩壊」に陥っていたとみて調べを進める。
逮捕容疑は4月27日、自宅飼育施設内で、排せつ物が堆積し、飼養密度が著しく適正を欠いた状態で犬85匹を飼い、衰弱させるなどして虐待した疑い。
関係者によると、犬はフェンスで囲まれた屋外の約50平方メートルのスペースで飼育され、飼養密度が国の基準を大幅に上回っていた。屋外スペースには大量の排せつ物が放置され、県警が捜索した際には犬に歩行障害や皮膚病、脱毛、衰弱などの症状が見られたという。自宅内でも24匹が確認されたという。
容疑者は2018年ごろまで保健所にブリーダーの届けを行って開業し、犬の飼育・販売を行っていたという。 同署などは4月下旬、同法違反容疑で容疑者の自宅を家宅捜索し、裏付け捜査を進めていた。これまでに犬計109匹を保護し、民間ボランティアなどに預けたという。
■汚物堆積、響く鳴き声
多数の犬を劣悪な環境で飼育していたとして、11日に元ブリーダーとみられる富士市の女が逮捕された動物愛護法違反事件。多頭飼育崩壊が起きたとみられる一軒家周辺では、犬の鳴き声が響き、周囲の道路まで獣臭や排せつ物の悪臭が立ちこめた。県警の捜索に立ち会った関係者によると、屋内は犬のふん尿が堆積し、「足の踏み場もない」状況だったという。
女は、周囲に民家が数軒ほどの同市郊外の林に囲まれた平屋建てで暮らし、小型犬を飼っていた。 関係者によると、放し飼いにされていたとみられる屋内は、汚れたままペットシートが重なっていた。多くの犬はふん尿にまみれ、毛が束状に固まり、抜け落ちていた。爪が伸びきった犬もいた。
保護された犬を診た獣医師によると、栄養状況に差が大きく、適切に餌やりをしていない可能性がある。多頭飼育では他の犬の排せつ物を食べるなどして即座に感染症がまん延し、「死亡するリスクが高い」と指摘する。
静岡県の記録によると、県内で多頭飼育が確認されたのは、2017年に91頭の飼育が確認された富士宮市や伊東市、小山町の計3件。近年は飼育側の心理的な支援や治療の必要性が指摘されている。