ロックダウン中に買った子犬、もう”用済み”─イギリスで身勝手飼い主続出

クーリエジャポンからです。

1/12(火) 19:00配信

新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るうイギリスでは、イングランド全域で３度目のロックダウン（都市封鎖）が実施されている。

同国の前回のロックダウンでは、“ステイ・ホーム”中の仲間を求めて、犬を買い求めるブームがあり、需要急増を受けて子犬の価格は高騰。犬泥棒の件数が増加するなどの事態も起きた。

それから数ヵ月。当初のロックダウン中に軽率な判断で迎え入れられた犬たちが、今や“用済み”とばかりの扱いを受けるケースも出てきている。

1歳未満の犬だらけ

パンデミック中に購入された多くの子犬が、わずか数ヵ月後にオンラインで売られたり、動物保護施設に持ち込まれたりしている、と英紙「タイムズ」が報じた。

同紙によると、ロックダウン中には子犬の価格が高騰し、3千ポンド（約42万円）の価格が付いた犬種もあった。ペットの販売サイトには、購入費用を回収しようとしている飼い主たちが売りに出した、生後6～12ヵ月の犬たちで溢れているという。

また、ある動物保護団体には過去3ヵ月で、1歳未満の犬を引き渡したいという電話を1800件以上受けたという。血統書発行などを取り扱う「ケネルクラブ」の調査によると、パンデミック中に子犬を購入した5人に1人は、長期的な責任を十分に考慮していなかったという。

動物保護団体の代表者は同紙の取材に対し、犬を飼うなら10年から15年にわたる責任が生じると、念押しした。

同紙は、ペットの販売サイトでロックダウン中に短絡的な見通しで購入したと思われる子犬を売る飼い主のコメントを紹介している。生後6ヵ月のコリーとスパニエルの交配種を1500ポンド（約21万円）で売りに出した飼い主は次のように書いている。

「残念ながら、今は仕事の都合で、犬が必要としている愛情とケアを与えることができなくなってしまった」

同じく生後6ヵ月のフレンチ・ブルドッグを2250ポンド（約31万円）を売る飼い主は「本当に時間がない」。

2千ポンド（約28万円）値段が付けられた7ヵ月のスプリンガー・スパニエルのオーナーは「彼女が必要としているものを与えられない」。

このようにして衝動的に購入された犬などの動物たちを見捨てる行為が、今後数ヵ月の間増えるのではないか、と心配する非営利団体「英国動物虐待防止協会（RSPCA）」のメッセージを夕刊紙「ヨークシャー・イブニングポスト」は、紹介した。

ロックダウン中に子犬を迎え入れるケースについて、RSPCAは動物福祉の専門家の助言を紹介している。

同協会は、子犬を犬に迎え入れるのは、いつの時期でも慎重な検討が必要、と前提を確認。その上で、パンデミック中の人間の生活スタイルの変化は、犬にも影響を及ぼすため、通常時に増して考慮すべき事項がある、としている。

例えば、子犬が社会に適応できるようになるための重要な時期は、生後3週間から14週間。この間に社会性を培うため、多様な人間や動物と積極的に交流させなければならないが、社会的距離を確保しなければならない状況では難しい。

また、獣医も通常時とは違った対応を求められており、子犬の健康を守るためのワクチン接種に遅れが生じる可能性もあるという。

同協会は、こう呼びかけている。

「今は時間があるかもしれませんが、すべてが正常に戻った時はどうでしょう？

　以前の生活スタイルを振り返って、その時点で子犬を飼うことが可能だったかどうかを考えることは重要です」

「子犬は、いろんな意味で素晴らしく、見返りも大きいですが、厄介で、騒がしく、乱暴で、毎日多大な時間とエネルギーを必要とします。お金がかかることもあります。飼育を検討している人は、これらの覚悟があるかどうかを考えなければなりません」