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アフリカ豚コレラ「予防的殺処分」 野生動物も対象に 家伝法改正案 月内成立めざす

2020年01月12日

 

アフリカ豚コレラ(ASF)対策を急ぐため、自民党が議員立法を目指す家畜伝染病予防法改正案の概要が11日、分かった。飼養豚だけでなく、野生動物に感染が確認された場合も「予防的殺処分」の対象にする。豚コレラ(CSF)の法律上の名称は「豚熱」に改める。野党との調整を経て20日召集の通常国会に提出し、月内にも成立させたい方針だ。

 予防的殺処分は、感染力や致死率の高い家畜伝染病のまん延を防ぐため、感染していない家畜も含め一定の地域・種類の家畜を殺処分する措置。現行法では口蹄(こうてい)疫だけが対象となっている。

 調整中の改正案では、アフリカ豚コレラを予防的殺処分の対象に加える。同病は日本では未発生だが、中国や韓国を含むアジア各国で拡大。国内侵入の危険性が高まっており、有効なワクチンも存在しないためだ。

 アフリカ豚コレラ対策の予防的殺処分は、家畜での発生時だけでなく、野生イノシシなど家畜以外の動物で感染が確認された場合もできるようにする。同病の発生国では、野生イノシシ間で感染が拡大している場合が多いことを踏まえた。

 改正案では、豚コレラから「豚熱」へ法律上の名称を変更。アフリカ豚コレラは「アフリカ豚熱」にする。人のコレラとは別の病気で、国際的にも「豚コレラ」とは呼ばず、豚肉への風評被害を懸念した与党などから見直しが指摘されていた。

 農水省は、豚コレラやアフリカ豚コレラへの対策を強化するため、通常国会に家伝法改正案を提出する。だが、通常国会では予算案の審議が優先され、同法案の成立は4月以降の見込み。アフリカ豚コレラの侵入に早急に備える必要性から、自民党は昨年12月、予防的殺処分に関しては、通常より手続きを早められる議員立法で対応する方針を決めていた。

 改正案を巡り、自民党は今後、野党との調整を本格化する。通常国会では、2019年度補正予算案と並行して審議し、1月中の成立を目指す。
 

改正待たず補償 政府 自主的対応を支援 JA 行政・団体と周知へ


 政府は、アフリカ豚コレラが発生した場合、まん延防止のために患畜以外も殺処分する「予防的殺処分」をした産地に補償や支援を行う。現行の家畜伝染病予防法には定めがなく、議員立法で月内にも改正する見通しだが、これに先駆けて産地が自主的に対応できるようにした。

 現行法は予防的殺処分を命じられる口蹄疫について、法律に基づいた措置に対して国が損失の補償や焼却などの費用負担をすると定める。

 農水省によると、アフリカ豚コレラが国内で発生した場合、農畜産業振興機構(ALIC)が緊急事業を立ち上げ、対応に当たる。未感染で処分した豚1頭当たりの補償は、肥育豚が4万円、繁殖豚は評価額の10割。経営再開に向けた豚導入への支援としては、肥育豚に1万2000円、繁殖豚に5万7000円を支払う。この他、殺処分や焼却・埋却にかかる費用の支援も予定する。

 JA全中は、自主的な予防的殺処分を行う事態に備え、JAグループの対応をまとめた。該当地域では市町村などと連携し、措置の必要性や補償内容を組合員の養豚農家に説明し協力を依頼。全国段階では、JAグループを利用しない養豚農家とも一体で取り組みをするため、養豚協会などとの連携を強める。