AFP=時事からです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190809-00000024-jij_afp-int
野生動物駆除に「シアン化物爆弾」、トランプ政権が使用再開を許可
8/9(金) 14:41配信
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権が、野生のキツネやコヨーテ、野犬を殺害する毒物を使ったわなの使用再開を許可した。このわなは通称「シアン化物爆弾」と呼ばれており、環境保護団体などから強い反発が上がっている。
「M44」という名で知られる地面埋め込み式のこのわなは、芝生用スプリンクラーのような形状をした装置で、取り付けられたカプセル状の容器に餌が入っており、動物がそれを引っ張るとばね仕掛けの放射器がシアン化ナトリウムを放出する仕組みになっている。
M44をめぐってはアイダホ州で少年が負傷、少年の飼い犬が死ぬ事故が発生しており、昨年トランプ政権はM44の使用を中止。少年の家族は連邦政府を相手取って訴訟を起こしている。
しかし今週に入り、連邦行政命令集(Federal Register、官報)でM44の使用再開の決定が発表され、これに強く反発する環境保護団体などは2万通を超える抗議文書を米環境保護局(EPA)に送りつける運動を展開している。
米生物多様性センター(Center for Biological Diversity)で肉食動物の保護を担当するコレット・アドキンス(Collette Adkins)氏は8日、AFPの取材に応じ、M44の使用再開は畜産業界が要望しているものと指摘し、業界団体がM44の使用再開を支持する意見書をEPAに10通ほど送ったと述べた。
政府統計によると昨年はM44により動物6579匹が殺され、殺害された動物にはオポッサムやアライグマ、スカンク、クマなど「標的外」の動物200匹超も含まれていたという。
生物多様性センターはこの数字について、米国の野生動物当局のデータ収集に関する悪評からして実際に殺された動物の数よりずっと低く見積もられているだろうと指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News
~転載以上~
以下、米生物多様性センターのサイトより抜粋・翻訳。
M-44は毎年何千もの動物を非人道的かつ無差別に殺しており、人間もまた被害に遭っています。誰であっても、どこであっても、安全に使用することはできません。
今年はじめ、EPAは「シアン化物爆弾」の登録を更新する暫定決定案を発行し、パブリックコメントを行いました。寄せられた意見のじつに99.9%以上がM-44の禁止を求めるものでした。
そこでEPAは、M-44の使用に関し、公道から一定距離離れた場所に設置する、装置から半マイルの範囲に住む住民には周知する、などの制限を追加しましたが、標的外の動物の殺害を防ぐことはできません。
M-44はこれまでに、子どもを一時的に失明させ、2017年にはアイダホ州とワイオミング州において3匹の飼い犬を死なせています。これを受けてアイダホ州は、公有地でのM-44の使用に関する継続的なモラトリアムを制定し、オレゴン州では今年、州全土におけるM-44の使用禁止法案が通過しました。
M-44の警告標識の傍で死んでいる動物
~抜粋・翻訳以上~
以前お伝えしたかと思いますが…アイダホ州で起きた事件についての記事です。
ペットびよりからです。
https://petbiyori.com/article/8085
米アイダホ州にて、散歩中の犬がコヨーテを駆除するためのトラップに巻きこまれ死亡するという悲しい事故が発生。
アメリカ政府が野生のコヨーテを駆除する目的で設置しているトラップ。しかし、関係ない動物たちもがそのトラップに巻き込まれて死亡するという事故が後を絶ちません。
[2017-03-31]
話によると、「ケイシー」と名付けられたその犬は飼い主のキャニオン君(14才)と散歩中にトラップに触れ、そこから噴射された有毒ガスを全身に浴びてしまったそうです。
「M44」と呼ばれるこのトラップはアメリカ政府が野生のコヨーテを殺す目的で設置しているそうなのですが、その存在を知る人は決して多くはありません。
そして驚くことに、トラップが設置された場所の近くに住む住民ですら、その設置場所を知らされていないというケースがほとんどだというのです。
幸いなことにキャニオン君の命に別状は無かったそうですが、彼は今後一生癒える事のない深い心の傷を負いました。
キャニオン君はその時の様子をこう話します。
母親のコメント
このような事故が二度と起こらないことを願って
しかし、実は今回のような事故はこれまでにも国内で頻繁に起こっており、2006年から2012年までの間では約3400匹もの動物がトラップによって命を落としているそうです。
しかし、今回のような事故が二度と起こらないよう、トラップの管理を徹底したり、設置場所を近隣住民に知らせるという事が最低限必要になって来るのではないでしょうか。
アメリカ政府がこの事態を重く受け止め、国民が納得できる対応をしてくれることを願わずにはいられません。
~転載以上~
以下、Predator Defenceより
https://www.predatordefense.org/m44s.htm
今年5月、被害に遭ったキャニオン君の名前をとって「キャニオン法」と名付けられた、アメリカ全土におけるM-44の使用禁止法案がピーター・デファジ下院議員によって提出され、キャニオン君や母親のテレサさんも、保護団体と共にこの法案を支持するよう議会へ求めました。
**************************************
畜産業界の要望とのことですが…多くの市民が反対しているにもかかわらず、これほど非人道的で、また一般市民やペットが命を落とす危険のある罠の使用が再開されるとは。。
目前で愛する犬の命を奪われたキャニオン君の心の傷は計りしれません。
殺された動物たちの苦しみもどれほどであったか…
駆除の対象動物であっても、その苦痛や環境への影響を考えると、毒ガスという方法はいかがなものでしょうか。
このような罠は禁止されてほしいと思います。