興味深いニュースです
米メリーランド州にあるボルチモア国立水族館が、2020年までに飼育する8頭のバンドウイルカすべてを、海岸に建設予定のサンクチュアリへ移す計画を正式に発表しました。こうした計画は全米初とのことです。
<記事元>
ワシントンポスト
National Aquarium dolphins will leave Baltimore for seaside sanctuary
AAAS
National Aquarium will move its dolphins to sea sanctuary
ハフィントンポスト
狭い水槽に人間の目...ボルチモアの水族館は決意した。イルカのために。
日本語の詳細記事です。
保護区は周囲が天然の海水で囲まれ、イルカが暮らす自然の生態に限りなく近いものになっているそうで、自然の魚や植物と触れ合う機会も与えられるとのこと。場所については、フロリダやカリブ海などが候補として検討されています。
完成予想図
すでにイルカショーを廃止していたこちらの水族館は2年前、イルカのような知能の高い動物を飼育することは残酷ではないかとして、サンクチュアリ計画を公表していましたが、こうした構想は、現CEOのジョン・ラカネリ氏の着任前から検討されていたそうです。
水族館のプールに慣れた動物を自然の環境へ戻すことを懸念する声もありますが、イルカたちは完全に自立した生活を送るわけではなく、搬送に始まり今後もずっと獣医師のケアを受けることになります。
水族館は、古いプールの作り替えや、他の水族館への移送も検討しましたが、「イルカにとって何が一番か」を考えた末、保護区への移送という結論に至ったといいます。
ボルチモア水族館の決断の背景には、専門家による長年の研究で、イルカはより自然に近い環境で暮らすことが望ましいという結論が出されたことや、米国内でシャチやイルカなどを水族館の狭いプールで飼育することや、動物を娯楽に利用することへの風当たりが強まっていることがあるようです。
実際アメリカでは、シーワールドが目玉のシャチのショーおよび繁殖を廃止したり、リングリングサーカスが長い歴史のあるゾウの曲芸を廃止するなどしています。
日本ではショーの人気も高く、いまだ追い込み猟で野生のイルカを捕獲しています。JAZA加盟の水族館は追い込み猟からのイルカの導入をやめましたが、繁殖に力を入れようとしている現状。
ショーの廃止や保護区への移送というこのニュースは、まだ日本ではピンとこないかもしれませんね。。
金曜日からは水族館を題材にしたドラマも始まったようですが…ただただ楽しい、癒される、だけではなく、飼育環境が動物たちに与える影響や、彼らにとって望ましい環境は何かといった議論がもっとなされてほしいと思います。
関連記事
2014年、ジョン・ラカネリ氏のインタビューが掲載されたナショナルジオグラフィックの記事を翻訳してくださった方の投稿です。
https://www.facebook.com/kawai.haruyoshi/posts/960566660664329