読売新聞からです。

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160523-OYO1T50010.html

 

 

太地の生け捕りイルカ販売増、「入手禁止」1年

 

2016年05月23日

 

 

JAZA非加盟水族館、注文続々

 和歌山県太地たいじ町の追い込み漁で、2015年度漁期に水族館向けに生け捕り販売したバンドウイルカは105頭にのぼり、3期ぶりに増えたことが県のまとめでわかった。「残酷な漁だ」と海外から非難された日本動物園水族館協会(JAZA)が加盟施設に同漁による入手を禁じて1年。「漁は合法的。イルカは水族館に欠かせない」と非加盟の施設が相次ぎ購入した。漁を巡る議論は平行線のままだ。(福永正樹)

 

 漁は太地町漁協が戦前から行ってきたが、世界動物園水族館協会(スイス)が昨年4月、「動物福祉に反する」とし、漁で捕獲したイルカの入手をやめなければJAZAの会員資格を停止すると通告。JAZAは同5月20日、加盟する国内の動物園や水族館計約150施設に入手を禁止した。

 

 直後の15年度漁期は15年9月~今年4月末(イルカ類は2月末まで)。漁協が事前に注文を募ったところ、「加盟施設が買わないのなら、ぜひ欲しい」と、JAZA非加盟の施設から注文が殺到。イルカショーで人気の高いバンドウイルカは計約150頭の注文が寄せられたという。

 

 これを受け、バンドウイルカ181頭を捕獲。105頭を生体で販売した。生体での販売数は不漁で72頭しか捕れなかった14年度は40頭で、前年度より増えたのは12年度以来。小型のクジラと各種のイルカを合わせた「小型鯨類」全体でも936頭を捕獲した。

 

 購入したのは全て非加盟の施設。中小や新興の水族館が多く、「イルカは看板スター」と口をそろえる。イルカをいけすで飼育し、来場者が触れることのできる「じゃのひれドルフィンファーム」(兵庫県南あわじ市)は2頭を買い、先月、愛媛県今治市に新施設を開設した。担当者は「漁は合法的で残酷とは考えていない。イルカは大切に飼育しており、みんなに愛されている」と語る。

 

 太地町の「町立くじらの博物館」は、入手禁止を不服としてJAZAを退会して2頭を買った。熊本県上天草市の「わくわく海中水族館シードーナツ」は「今なら競争率が低い」と来期の購入を考えている。

 

 和歌山県は販売先を把握していないが、関係者によると、仲介業者を経て一部は海外の水族館にも売られた。中国やベトナムなどアジア諸国が目立つという。

 

 飼育に適したバンドウイルカの2~3歳のメスは1頭約100万円で取引されるという。太地町漁協の貝良文かいよしふみ参事は「今後もイルカ入手を考える施設には協力していく」と話す。JAZAは「購入したのは非加盟施設。コメントする立場にない」とし、「国際世論を考えれば、この先、イルカを確保するには繁殖しかない。時間はかかるが、地道に進めていく」と主張している。

 

 

~転載以上~

 

 

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