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「撃ち過ぎ」批判相次ぐ 千葉県警「使用は適正だった」 松戸・警官が犬に13発射殺


2015年10月12日 12:04


 松戸市で9月、通行人らに襲いかかった犬に、警察官3人が住宅街で拳銃を計13発撃ち射殺した。銃弾は住宅の壁や塀を傷つけ、住民は不安を訴えた。飼い主ら3人がかまれて軽傷を負い、県警は「使用は適正だった」と主張するが、全国から「撃ち過ぎだ」と批判が相次いだ。


◆命中ほぼ半数


 雄の紀州犬(体長約120センチ)が9月13日夜、飼い主の松戸市内の男性(71)方から逃げ出し、近所の男子大学生と20代女性をかんだ。松戸署員が翌14日未明に駆け付けた時には、犬は同市稔台1丁目で取り押さえようとした飼い主の腕もかみ、覆いかぶさっていた。


 松戸署によると、署員3人は横に並び、ゆっくり前進してきた犬に対し、3~4メートルの距離を取って5分間で13発撃った。ほぼ半数の6発が犬の頭や心臓などに当たり、貫通した弾や外れた弾が住宅の壁やブロック塀、車や自転車など約10カ所を損傷させた。2発は着弾場所すら不明だ。

 自宅のフェンスが銃弾で折れ曲がった80代女性は「寝ていて気付かなかったが、もし外の様子を見に行こうとしていたらどうなっていたか」と怖がった。


◆安全配慮


 松戸署は、朝になると登校する小学生らに被害が及びかねないことから、その場で飼い主に了承を得て射殺したとしている。犬用のおりや網も手配していたが間に合わなかったという。


 現場は住宅街で、付近にはコンビニやレンタルビデオ店もある。同署の浜元裕彦副署長は「突然通行人が来ないかなど、周囲の安全には配慮していた。犬だけを気にして撃っていたわけではないので、命中率が悪くなった」と説明する。


 だが、発砲の報道から数日で県警には電話やメールが全国から約560件寄せられ「なぜそんなに撃ったのか」などの批判的な意見が8~9割を占めた。

 銃関連の製品を取り扱う会社の関係者は「日本の警察官の射撃訓練回数は欧米の半分に満たない。半分程度しか命中しなかったのは技能の問題ではないか」と指摘する。


◆飼い主立件検討


 一方、警察への激励や飼い主の責任を問う内容も1~2割あった。

 松戸署は飼い主について、過失傷害や県動物愛護条例(係留義務)違反の疑いで立件を検討している。同署の聴取に飼い主は「散歩の頻度が減り3、4年前から家族にかみつくようになった」と話しているという。


 公益社団法人「日本犬保存会」の井上実事務局長は「紀州犬は猟犬だが、どう猛さはなくおとなしい性格。十分しつけられるはずなのだが…」と残念がった。