先日お伝えした、JALが実験用のサルの輸送を停止した件 についてです。



PEACEさんからです。

http://animals-peace.net/experiments/primate/stop_import.html



日本航空が実験動物の輸送を中止! 但し、ルールは非公開…


先日の実験動物学会 で、日本航空(JAL)が実験動物の輸送を中止したことが話題に出たのですが、その直後、PETAがウェブサイト上で、JALからサルの輸送を中止した旨の回答を得たことを公表しました。

このことを受け、当会としても直接JALに電話確認を行ったのですが、その際、サルのみか実験動物全てかがはっきりしなかったこと、また、この中止の影響を調べるために国立大学法人動物実験施設協議会(国動協)が全国の大学にアンケート調査を行っており、国内線の対象である可能性があると感じたことから、国際線だけではなく国内線もなのかを文書でJALあてに質問しました。また、約款等が特に変更となっていなかったため、明文化されたルールなのかどうかを聞きました。


これに対し、昨日ようやく回答書が届きましたが、対象はJALとして決定をした実験動物のみであること、荷主との契約上、詳細は非公開であることなどが主な内容でした。当会としては、いまひとつ、クリアーな印象は受けていません。とはいえ、大手航空会社が、おそらく一部とはいえ実験動物の空輸の中止に踏み切ったことは歓迎したいと思います。

JALからの回答書はこちら(クリックで拡大)▼
JAL回答


PETAに対してサルの輸送中止と回答していること、「Labio21」のような業界関係誌でサルの輸送キャリアーに関する記事が掲載されていること、インドネシアからの霊長類の輸入がストップしたこと、また実験動物学会での発言等々を考え合わせると、サルについてJALが輸送を中止していることは本当だろうと思います。


ちなみに、日本の霊長類の輸入状況は下記の通りです。詳細は、下記のページをご覧ください。

霊長類の輸入数推移2005-2014


実験動物生産会社として有名な日本クレアは、インドネシアのデリー島という無人島で人工繁殖されたカニクイザルの輸入を行っていましたが、昨年、この取引をとりやめたとのことでした。貿易統計でインドネシアからの輸入がなくなったことと合致しています。ちなみに、輸送キャリアーは日本航空だったとのことです。(日本クレアは実験動物中央研究所の関連企業であり、霊長類の販売は、現在マーモセットに移行しています)


国動協はアンケート結果については非公表とするとのことで、この件の影響が霊長類の輸入にどの程度あるのかは、実際のところ不明です。


しかし、サルの国際取引は、長距離輸送になること、検疫期間が長いこと、環境が大きく変化すること、繁殖母群に野生由来のサルが使われていること(感染症と生態系保全の両方の面から問題がある)などを考えると、サルにとっても実験施設にとっても好ましいものとは思えません。また特に、日本は動物実験/実験動物に関して何の法規制もなく、サルの最低限のケージサイズや飼養管理等も公的なものはありません。このような国に大量に実験用の霊長類が連れてきてよいのだろうかと疑問に思います。


輸送についても、その後、注意をするようにはなったとは聞いていますが、日本到着後に霊長類が大量に死んでおり、その原因は、空気穴をふさぐように積載されていたためであったという話を聞いたこともあります。そのときスライドで示された写真は、木箱のようなものが積み上げられている感じでしたが、似たような輸送状況を海外の動物保護団体が写真で報じています。また、リスザルだったかとは思いますが、検疫所で次々と落ちていく(死んでいく)という話も以前は聞きました。


現在、実験用として取引されているのは主にカニクイザルと思われますが、CITES(ワシントン条約)の対象となっている哺乳類の中では生きたまま取引される量が最も多い動物であり、近年の取引量の増大が懸念を持たれています。2011年にCITESの動物委員会で検討がなされた際の資料から、取引量の概略図は以下の通りです。


安いからといって、いつまでも年間数千匹を輸入し続けることは問題があるでしょう。もし輸送が中止されることで影響があるのであれば、サルではない方法に代替をすることを真剣に考えるべきときが来たのだと思います。


カニクイザルの国際取引