A菜の正面に鎮座しツラツラと垂れ流すヨタ話を聞きながら、実は容赦なく品定め、マスクの下の顔を想像してた。


当たり前に若いよね。私より19ぐらい?若いんやもん。

確かに美人て感じではない。美人風。マツエクやのカラコンやのアイラインやの鼻筋立体ハイライトやらで盛ってはいるが、素は大したことは無さそう。

よく不倫オンナのこと大抵ブスて言うけどむちゃブスってワケでもなさそうなかんじ。

最近はさー。個性的て表現があるから美人てゆー観念が正統派美人しか分からんおばちゃんにはあんま理解出来ひん

ただ人並みとかブスの方が幅広いジャンル?🤪にモテるんよね。まず化粧で盛り放題!(生まれながらの目鼻立ちくっきり美人て化粧すればするほどヅカっぽくなるから🤣)それに努力するってことしってるから周りに対する愛想早いうちから覚えるし、いじられても笑いながら受け流す器量あるから自然と好感度あがって男ウケがいい。恋愛する度段々磨かれて見せ方スキルアップしてくうち駆け引き覚えてしたたかになるからねー

そもそも美人は素で勝負出来るからへりくだる必要なし。





スイッチ入ってしもうたワシはそっからすげー冷静。
信じられんぐらいスラスラ言葉が出てきた。

『んー。そか。
でもな、初めアナタ電車で帰るって言って店出たって聞いたんやけど、違うん?最初からそのつもりやったらどうして○○がエレベーター?きた時そう言わへんかったん?なんでそこで急にタクシーなったんかな。だってミナミからアナタの家までタクシーで結構距離あるよね?金額もかかるやろうし。
今の話聞いてたらウチのが強引にタクシーに乗せて一緒に帰らせるようにさせた感じやけど、それであってる?
それ1歩間違ったらセクハラなるやんか。
A奈ちゃん若いしまだ会社入って半年足らずやろ?いくら上司とはいえそんな酔っぱらいのおっさんから強引にふたりきりで長時間タクシー乗らされたら普通気まずいくない?私やったら絶対嫌やと思うねんけど、どう?』

責めすぎず、軽すぎず、舐められないように、微妙なラインを
ソフトタッチで←激ムズ

慎重に言葉を選び徐々に追い込み外堀を埋めていく。


『あ、はい。すみません。タクシーっで送るって言われて甘えてしまいました。
少しピリついた雰囲気を察したんか急にハキハキ答えだす。

『やんな。

アナタは今はそれでいいかも知らないけど、○○が勘違いしてそれがこれからずっと当たり前になっていったとしたら?ソレみてる周りはどう思うと思う?現にこうしてその毎回の行動が私の耳にも入ってきてるから私と此処にいる訳でしょう?』



『…でもまさか○○さんもそんなつもりじゃないと思います。
さっきも言いましたが、あたしからしたら頼れるお父さんみたいな存在なので。変な風にみてると人がいるとしたらほんのひと握りやと思います。』

『そうかもしれない。
でもさっきアナタの言ったニュアンスだと1歩間違ったら第三者にセクハラだととられかねないでしょう?

それにひと握りって言ったけど、じゃアナタの旦那さんは?
アナタと○○が毎回ふたりで飲み会帰り、同じ方向でもないのに一緒に帰ったりしてるの知ってるの?
その事言ったとして何も言わない?』


この一撃が効いた。


マスク越しに顔が引き攣ったのが分かった。

一気にまくしたてる。

『勿論ね。アナタが悪いなんて言ってるワケじゃないの。今話を伺った限りじゃ○○が悪いと思う。私は妻として、セクハラになりかねないよと○○に何度も言っているけど情けない話聞く耳もたないのよ。
で、お願いがあるんやけど、
アナタから○○に直接断ってくれへんかな?それが一番効くと思うんだけど。アナタだってこのまま変な噂皆に広まって誤解されたら仕事しにくいやろうし迷惑でしょう?

だから初めに聞いたの。
アナタは本当は○○の事どう思ってるか。
もう一度聞くけど恋愛感情は全くないのよね?
今までもこれからも。

何にもなかったのよね?』

念には念を。


『はい。何もないです。
分かりました。
明日あたしからお断りします。』

少し青ざめてうつむいてやっと
しおらしくなったところでこの際言いたいこと全部を言わせてもらう。


『ほんま?そう。よかったぁ。それ聞いて安心したわ。なんかごめんね。疑って。嫌な思いさせたよね。
それで、ちょっとこれ説教みたいに聞こえるかもしれないけどついでにごめんね。

A菜ちゃんがウチのを尊敬してお父さんみたいって慕ってくれてるのは嬉しいんだけど、それは間違った認識よね?
だってあくまで上司と部下。それ以上でもそれ以外でもない。私もね前はよく沢山社員さんを家に招待してたからアットホームな職場なのはよく知ってる。だけど最低限の目上の人に対するマナー、例えば敬語とか。その一線はまもらなあかんのちゃうかな?
それにうちには娘はこのひとりだけしかいないのよ。
ウチのはこの子だけのパパやねん。それ分かって欲しいの。
A菜ちゃんのの旦那さんだって職場の上司にその感情抱くのはあんまりいい気はしないだろうし。』
↑ダメ押し。


『…すみません。気をつけます。』

いよしっ
(*-`ω´-)9 !!!!





こっからが本番です。