日本は高学歴社会や晩婚化による少子高齢化が顕著で在り、この傾向は世界的な様相を呈しつつある。
健常であれば生涯射精を続けられる男性とは異なり、初潮から三十三年と三月で閉経を迎えるとされる女性にとって、男女平等が謳われ、女性の高学歴化による晩婚化が進む事が少子化の遠因となっており、必ずしも福音とは言い切れない皮肉がある。
解決策は三段構えで行うべきである。
第一段階として、卵子凍結の保険適用と将来的な無料化である。
第二段階として、現段階では年齢制限や回数制限の有る体外受精の保険適用・無料化を、不妊治療の専門医が受精可能と判断した際に制限無く適応する制度を設ける事である。
更には高齢出産の負担に対応するために代理母の制度化・産業化と、体外受精した遺伝学上の母親を真の母親と認める法整備も必要となろう。
そして第三段階として、卵子凍結を行えなかった、乃至は凍結した卵子が枯渇した、或いは精子や卵子の生成が行えない、受精異常が所見される場合にiPS細胞技術を用いて体細胞から、精子・卵子を生成するセーフティネットとしての技術が必要となる。
これが再生生殖医学の基本理念と言えるだろう。
第三段階のiPS細胞を用いた精子・卵子の生成と受精は今だ実験でも成功していないが、研究が日進月歩進んでおり、やがては実験の成功と臨床医学としての普及が期待できる。
だが、その成果を待つ一分一秒の間にも、子供のいない男性女性が苦しみ、この世を去っている。
私自身、勉強を兼ねて再生生殖医学の英語論文の翻訳を行ったが自らの限界を思い知り、無力感に苛まれている。
ゆえに自分の行ない得る最も賢明な力添えとして再生生殖医学の万人への理解と研究・普及の促進の為にも再生生殖医学の入門書を編纂したい。
書物として纏める際にはこの第一段階、第二段階、第三段階、全てを包含した書籍を編纂すべきであり、この著作によって不妊治療や再生生殖医学への理解と促進が敷衍されれば本望である。