先日のSONGSで夏菜子ちゃんが、究極のさりげないやさしさ

と言っていた中島みゆきさんの「蕎麦屋」。

 

 

 

昨日は、世間並みに仕事がお休みでしたので、

SONGSを見返しながら聞きました。

 

放映された翌日にでも書こうと思っていたのですが

なかなか書くことができませんでした。

 

 

この曲は、アルバム「生きていてもいいですか」に収録されています。

 

 

このアルバム、暗いと言われた中島みゆきさんのある意味究極の暗さをもった曲が集まっています。

アルバム・タイトルからして「生きていてもいいですか」と落ち込み度100%以上です。

 

1曲目の「うらみます」はうらみますと歌い出します。

このアルバム発売当時はレコードですから、針を落としてレコードが回り始めると

いきなり

うらみます

と女性の恨みを込めた歌詞から始まるというわけです。

ちなみに、この曲最後も

うらみます あんたのこと死ぬまで

で終わります。

約5分間の恨み節。

 

 

これを聞いた後に、「泣きたい夜に」で少し癒され、

「キツネ狩りの歌」でコミカルだけれどちょっと怖い歌を聞いた後に

この「蕎麦屋」。

 

世界中がだれもかも偉い奴に思えてきて

まるで自分ひとりだけいらないような気がする

という感じで落ち込んでいる「あたし」のところに「おまえ」から電話が入ります。

「あのぅ、そばでも食わないかあ」。

 

二人でそばを食べながら、くだらないと思える話をしていると

突然「おまえ」が

「あのね、わかんない奴もいるさ」

と言います。

 

さりげない、けれど、優しい一言が「あたし」を泣かせます。

 

その一言があった後、再びダジャレ話なんかをするという設定。

 

互いに相手の気持ちを分かり合えている関係がここにあります。

一言で言いたいことを表現し、その一言を聞いて相手の優しさがわかる関係がここにあります。

 

さて、言葉に出さなくても互いが分かり合っている二人の関係と対比をなすのが

「知ったかぶりの大相撲中継」。

 

知ったかぶりという言葉の意味する、

当事者でもないのにわかったように、そして饒舌にしゃべるイメージ。

それと、友達の「わかんない奴もいる」という一言から

落ち込んでいる理由が世間からの知ったかぶりの批判を暗示しているように思えます。

 

 

「ファイト!」の中の

闘う君の唄を闘わない奴らが笑うだろう

と重なってしまいます。

 

 

SONGSの中での映像はライブの映像でしたが、

「夜会」の映像のように中島みゆきさんが表情豊かに表現されていました。

 

「蕎麦屋」は究極のさりげない優しさを歌っているとともに、

世界中が敵に思えるような時にも、必ず味方になってくれる人はいる

と歌っています。