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29Dec
- 今年の後悔
  ご無沙汰しております。みなさん、お元気ですか。いや、誰かいますかー？(笑)後悔してもしきれないこの一年。母が亡くなりました。あぁしていれば、もっとこうすれば、あの時行っていれば…後悔は尽きません。でもそれどころではない一年でもありました。本当に忙しかった。１月　風邪をこじらせ主人が肺炎で入院、私は子宮筋腫の手術２月　自宅療養で仕事は休む（少しのんびりできた）３月　成績処理のドタバタ４月　母が入院５月　父も入院６月　痛風の発作、父の転院７月　母が退院しサ高住へ８月　父の退院、両親の引越、謎の胃腸炎、続く痛風９月　母逝去10月　記憶がない11月　20年以上ぶりのTDL、コロナに夫婦で罹患、四十九日、主人の咳が止まらない12月　百か日、主人が喘息と判明、そして私の再手術まず年に２回も手術すると思いませんでした。もちろん母が亡くなるなんて。いや、どこかで薄々感じていたのかもしれない。だからあがいていたような気もする。諦めてゆく母と諦めきれず挙句の果てに現実を直視できない私。そんな対立を続けたまま母は逝ってしまった。ままならぬものよ。ただいいこともあり、全てに逃げ腰だった兄と「長男だし近くにいるんだからもっと頼むよ！」と大喧嘩。そこからすっと兄は人が変わったようになんでもやってくれるように。相変わらずピントはずれてるけれど、まあいつかは焦点が合うでしょう。有難いことです。仕事は去年よりコマ数が減って（給料も突然減るわけで、でもどうにもできないという非常勤の立場の弱さ。教育業界はやっぱりブラックよね。）楽になるのかと思いきや、面倒な科目だったもんで持ち帰り仕事の多いこと多いこと。しかも全て１限スタートだったから、5時半に起きて6時半前に出発。朝の鎌倉はとても心地よいけれど、主人の帰りが遅いから寝るのも遅く、体は疲れる。あ、中古車だけどセカンドカーも買いました。ローンの返済と保険料、駐車場代が大変です。そんなこんなの2023年。もう早く終わってくれとずっと祈っている。そして一人になってしまった父を残して私は主人の実家に帰省する。みんなから白い目で見られるけれど、こっちに残っても何もできないから。正直、父のケアも必要だけれど、私のケアも必要。だから私は私を優先させることにした。義実家の温かさに包まれて癒されてくることにした。ごめんよ、父。とにかく祈っているのは穏やかに2023年が終わり、みなさんが温かく新年を迎えられること。来年は読書感想文も再開できるよう努めます。どうぞこれに懲りず変わらぬご愛顧をお願いします。Have a wonderful holiday!
11Jul
- 『ついらくした月』ロバート・C・シュリフ/白木茂
  【あらすじ】　月のアマチュア月の研究者、エドガー・ホプキンスはイギリスの田舎町で月の研究会に所属している。そこで３か月後の５月３日につきが地球に衝突するというショッキングなニュースを聞かされる。不安にさいなまれながらも３か月間、国や新聞、研究者たちがどのようにその事実を国民に伝え、国はどう動くのかを観察する。月はついに墜落し、地球は一体どうなるのか。【感想】　小学校の図書登板で読んだSF小説をもう一度読みたくて、でもタイトルも出版社も作者もわからず、地元の図書館の司書の方に相談してみた。結局、情報が少なすぎて三つからなかったのだが、その候補としてお勧めしてくれたのがこの一冊。ＳＦなのだけれど、ＳＦというより社会派な小説だった。　月が墜ちてくるとわかった時、人はどう動くのか、というところが面白かった。あとがきを読んだら、この作品が書かれたのは第二次世界大戦前夜らしい。この時期を考慮すると、この「月の墜落」は対戦に置き換えることができる。そのとたんにこの小説はSFから社会風刺の本に見えてくるのが面白い。　小学校４～５年生ぐらいから中学生まで楽しめると思うが、大人が読んでも考えさせられる一冊だった。ついらくした月 (冒険ファンタジー名作選(第1期))Amazon（アマゾン）3,509〜11,800円
04Jul
- 『ザ・万遊記』万城目学
  【あらすじ】　スポーツ観戦をしてエッセイを書こうとしたがアキレス腱を切り、地方での観戦に湯治を加える。さらに北朝鮮でのサッカーワールドカップ第３次予選の旅行記も含むエッセイ集。毎章の最後に入る「今月の渡辺篤史」が秀逸。【感想】　はじめはスポーツ観戦の実況ばかりか…とややがっかりした（私はスポーツに興味がない。特にサッカー）が、油断しているとどっと笑わせるのが万城目学だった。　文学賞受賞式の様子と北京五輪、そして何よりも北朝鮮の旅行記がとても興味深い。加えて「建もの探訪」好きとしては、やはり「今月の渡辺篤史」が群を抜いて面白い。毎週30分のお家紹介の番組についての分析でよく１年もエッセイを連載できるなぁと感心しきり。そして渡辺篤史への愛に満ちたエッセイだった。ザ・万遊記 (集英社文庫)Amazon（アマゾン）1〜4,600円渡辺篤史の建もの探訪BOOK 25周年スペシャル版 (アサヒオリジナル)Amazon（アマゾン）1,039〜16,314円渡辺篤史の建もの探訪 - スタイリッシュ編 [DVD]Amazon（アマゾン）971〜7,352円渡辺篤史の建てもの探訪BOOK (アサヒオリジナル)Amazon（アマゾン）557〜5,391円渡辺篤史の建もの探訪 - スローライフ編 PART 2 [DVD]Amazon（アマゾン）720〜6,608円渡辺篤史のこんな家で暮らしたいAmazon（アマゾン）180〜5,115円渡辺篤史の建もの探訪 ― ローコスト編 [DVD]Amazon（アマゾン）792〜5,032円渡辺篤史の建もの探訪 3 ― 狭小・変形敷地編 [DVD]Amazon（アマゾン）540〜5,846円
27Jun
- 『吉野北高校図書委員会２』山本渚
  【あらすじ】　吉野北高校図書委員の幹部、かづら、大地、ワンちゃん、藤枝たちは高２の３学期を迎え、いよいよ進路選択が迫ってきた。いつもおおらかに皆を見守り、さりげなく道を示す委員長のワンちゃんは、ひょんなことから自分の進路に迷ってしまう。そして自分が恋をしていることにも気づいてしまい大混乱に陥る。一方、仲良しの藤枝も進路が決まらず、そして迫るクラス替えに気持ちが焦る。今回はそんな二人の物語。【感想】　進路決定は人生においてとても大切な一段階だと思う。高校（あるいは中学）のこの分かれ道を真剣に自分と向き合うかどうかで、その後の人生も大きく変わる。経験の少ない高校生に答えは出せないかもしれないが、その時点で自分自身を、そして自分と社会の関係性をよく考えることに大きな意味があると私は思う。なので登場人物たちがちょうど進路の帰路に立ち、悩む今回の作品は、私にとってとても読みごたえのある楽しい１冊だった。ワンちゃんの恋は「あれ？恋ってそんな感じだっけ？」といまいち記憶をたどれず、自分の心がすっかり年取ってしまったことに愕然とした。変わらぬ図書委員間の熱量の差とか、信頼できる先生とか、１巻よりも懐かしい思いがあふれる２巻目だった。こうなるとラストの３巻も読みたくなる。吉野北高校図書委員会２　委員長の初恋 (角川文庫)Amazon（アマゾン）436円
20Jun
- 『木暮荘物語』三浦しをん
  【あらすじ】　６戸の部屋があるボロアパート木暮荘を舞台に、住人と住人に関わる人々が主役となる愛と性が交錯する７編の短編小説。【感想】　「〇〇荘」とかましてや「〇〇荘物語」というタイトルを見るとほんあかしたストーリーを想像してしまうのはなぜなのだろうか。そのイメージを上手く利用したのかどうかは知らないが、この小説はストーリー展開はほんわかしているが、扱う題材は性・セックスだけど全く下世話ではなく、主人公たちが持つ性あるいはセックスへの距離感を通して、愛や思いはこんなにも伝わらないものなのかという深いテーマが見える。　2014年に発表されているのだが、最近話題になった『流浪の月』や『正欲』にも重なる部分がありながら、コミカルに進むのが面白い。笑いながら重たいことをさらりと言う人みたいな感じだ。　また、テーマを脇においたとしても、住人たちの様子が本人の独白と他者からの描写で大きく異なるところも面白い。自己認識のズレがコミュニケーションや人間関係にもたらす影響も楽しめる、様々な年代の人間らしさが描かれている一冊だった。木暮荘物語 (祥伝社文庫)Amazon（アマゾン）627円
13Jun
- 『人生は美しいことだけ憶えていればいい』佐藤愛子
  【あらすじ】　波乱万丈の人生を生きてきた佐藤愛子が自分の人生から、生きてきた時代から、そして両親や人生の穿破から学んだ生きるコツを痛快に綴るエッセイ。ラストの遠藤周作との対談が贅沢だ。【感想】　面白くてあっと言う間に読んでしまったが、やや説教くさいのが難。やはり90年も生きていると様々な時代を見てきたわけで、その視点から出る子叔母は格言のようなものばかりで、私の好みではなかった。
06Jun
- 『吉野北高校図書委員会』山本渚
  【あらすじ】　吉野騎亜高校図書委員会は幹部生徒のかづら、大地、ワンちゃんの３人を中心に、西川・藤枝という学校に居場所がない人を優しく包み込んでくれる。リーダー的存在の大地と女子のリーダーであるかづらのシンクロ率は大地の彼女である上森あゆみを不安にさせるほどだった。しかし、大地とかづらの間に恋愛感情はなさそうに見える。そんな二人を見守るあゆみと藤枝、西川、そしてすべてを包み込むワンちゃんの青春小説。【感想】　徳島弁で繰り広げられる青春群像劇は、はじめは読みづらさを感じたが、あっと言う間に慣れてしまうのは各キャラクターが魅力的だからだろう。小中高と図書委員だった私にとって図書室の様子や委員会の集まり、そして図書当番のどれもが懐かしく、もう一度図書当番をしたいと思うほど心が温まった。　大好きな友人に恋人ができた時の複雑な思いやそれを見守る片思いの友人などは、女子高育ちの私にとってはフィクションだが、友達の高校生活をそばでみているようなリアリティーに溢れていてとても面白かった。　中高生向きの本かもしれないが、元図書委員の音尚とても楽しめると思う。吉野北高校図書委員会 (角川文庫)Amazon（アマゾン）396円
30May
- 『ザ・万歩計』万城目学
  【あらすじ】　万城目学の初エッセイ。大学卒業後、就職し退職し、デビュー作『鴨川ホルモー』を書き、新人賞を取るころまでの日常と高校の思い出を綴ったエッセイ。【感想】　『べらぼうくん』を先に読んでしまったので、作家になる前後の話は「あぁそうだったよね」と確認する形に。だけど、それ以外は着眼点も描写も本当に面白い。中学の技術の授業なんて、普通の中学生なのに同級生を分析する力がすごい。そして特に私も大好きな渡辺篤史の『建もの探訪』についての考察が素晴らしい。常々、渡辺篤史が描写し吠えるとこんなに豊饒な表現になるのかと感心してしまう。ピックアップする箇所もとても冴えていて、万城目学による『建もの探訪』考察で一冊作ってほしいほどだ。　『べらぼうくん』と重複する箇所があるのに、全く飽きず「そう！そうだよね！」と思えるほど面白かった。ザ・万歩計 (文春文庫)Amazon（アマゾン）570円
23May
- 『永田町小町バトル』西條奈加
  【あらすじ】　34歳の芹沢小町は小６の娘を抱えてキャバクラで働くシングルマザー。郷里の長崎から逃げるように東京に来た。一人で、特に都会で子育てに奮闘するシングルマザーに世間も制度も冷たく、その現状を変えるために国会議員になる。「こども政策」を実現する法案を通すため、小町は永田町で敵を作りながら爆走する。【感想】　西條奈加と言えば『心淋し川』など、時代小説が多いと思うが、何かのインタビューで時代小説は調べないと書けないと言っていたのを読んだ。だからなのか、フィクションとは思えない程データがたくさん盛り込まれ、キャバ嬢議員の奮闘やシングルマザーの大変さというストリーを楽しむというよりも勉強になった一冊だった。　もちろん芹沢小町の温かく真っすぐな人柄や、それに振り回されながらも小町に惹きつけられていく秘書たちもキャラが立っていてとても面白い。だけどそれ以上に、現在の日本の政治と子育て、特に保育園の環境を楽しく学ぶことができた。永田町小町バトル (実業之日本社文庫)Amazon（アマゾン）54〜2,615円
16May
- 『鼻』ゴーゴリ/浦雅春
  【あらすじ】　理髪店店主のイワン・ヤーコウレヴィッチは、ある朝、パンの中に八等官のコワリョーフ氏の鼻が入っていることに気づく。こっそり捨てようとしたたが巡査に見つかってしまう。一方、鼻をなくしたコワリョーフ氏は家の前で自分の鼻が燕尾服を着て歩いているのを見かける。声をかけるが冷たくあしらわれてしまう。頭にきて家に戻ると警察から鼻が見つかったという連絡が。コワリョーフ氏は鼻をつけてもらいに医師のもとに行くが、つけるよりも打ってほしいと言われる。そうこうするうちに一人歩き回る街の噂になる。【感想】　勤め先の図書委員が「本の福袋」という企画を開催してくれ「ロシア文豪のユーモア」というなんともキャッチ―なポップに惹かれて手に取った。　が、読んでも読んでもどこが面白いのかさっぱりわからない。口調が落語調―「するってえと」「といいますのは、このひと」―なのは翻訳のお陰だろうとし。シュールすぎて何が起きているのか頭がついていけず、読み終わったあとには、なんだか不条理なコメントをみたような気分になった。　ロシア文学は何度読んでも登場人物の名前を覚えられず挫折してきたのだが、今回は短いので読了はできたもののやはり名前は覚えられずなんとも難解な話だった。外套・鼻 (岩波文庫)Amazon（アマゾン）1〜4,741円
09May
- 『桃色トワイライト』三浦しをん
  【あらすじ】　デビューから10年後に出版された三浦しをんのエッセイ。ありとあらゆる妄想と推し（この頃はオダギリジョー）の妄想、推し活、弟とのやり取りに友人たちとの会話。ほんのちょっとした日常の出来事が「三浦しをん」の爆笑フィルターを通って展開される。【感想】　今回も小説家よりも人銀目あふれる三浦しをんの私生活を覗き見る楽しさに溢れていた。エッセイを読みすぎて、弟の「ぶたさん」を聞くと（読むと）「お、今日もやってるねぇ」と思い、「死国のＹちゃん」や「ぜんちゃん」、「あんちゃん」との会話も健全で私まで旧友に会った気になってしまう。　この作品を執筆している間に三浦しをんが浜っていたのは、仮面ライダークウガとNHK大河の新選組、要するにオダギリジョーだ。その偏愛ぶりを包み隠さず書き記し、見せつける。その腹のくくり方とそれを読者に笑わせる力量に惚れ惚れする。桃色トワイライト (新潮文庫)Amazon（アマゾン）1〜4,400円
02May
- 『かけらのかたち』深沢潮
  【あらすじ】　　同じ大学のテニスサークルの同窓会に集う仲間たちとその家族。SNS上での自慢や謙遜で余計に尖るマウントなど女同士の戦いは常に水面下で行われ、自分の本音がうなりを上げる。アラフォーの女たちがこれからどういう「女の始末」をつけるのかに悩む。【感想】　うーん。帯が期待させすぎだと思う。もっとマウント合戦にするか、あるいはちゃんと女としてどう生きるかを深めてほしかった。あっという間に読んだけどあまり何も残らない。　最後の章と解説がってもよかった。解説を読んで、私は人に嫉妬ってしたことないなと思った。人に興味がないからかなと思う。
25Apr
- 『ビブリア古書堂の事件手帖7～栞子さんと果てない舞台～』三上延　
  【あらすじ】　今回はシェイクスピアのファーストフォリオをめぐる謎解き。だが、もはや謎ではなく母、千恵子と栞子との闘いだ。栞子さんに話を持ち掛けたのは祖父の店に勤めていた古物商だった。栞子さんは大輔と一緒に一世一代の大勝負に出る。【感想】　ハッピーエンドなのに不安がぬぐえない展開。古書は人生を振り回すほどの魅力があるのか、執念の影が恐ろしい。そんななかでも普通の感覚をもっている大輔がとても頼もしく思えた。ハッピーエンドの先がスピン安生で出ているｒしいのだが、古書をめぐる謎には悪意に満ちた人達が集まってきて、ちょっと食傷気味というか、疲れてしまったのでしばらく離れようと思う。ビブリア古書堂の事件手帖7 ～栞子さんと果てない舞台～ (メディアワークス文庫)Amazon（アマゾン）644円
18Apr
- 『ビブリア古書堂の事件手帖6～栞子さんと巡るさだめ～』三上延
  【あらすじ】　太宰の『晩年』を手に入れるために栞子さんに危害を加えた田中が再び現れた。栞子さんがもっているものではなく、祖父の持っていた本を探してほしいと言う。栞子さんと大輔が依頼のために調べると、太宰の別の盗難事件と栞子さんの父と祖父の事実が発覚する。【感想】　前作の短編が少し物足りなかったので長編を読みたいとは思っていたが、まさかこんな展開になろうとは。悪意に満ちた人が多くて、読んでいて疲れてしまう。坂口夫妻が出てきてくれないと困るよ。　次巻でこのシリーズも終わる。寂しいような嬉しいような、と思ったら「続編がシリーズ化されてますよ！！」と満面の笑みで司書の先生に言われて、なんだか重い石が首の後ろにどすーんとのっかった気分。読みたいけど、積ん読もたまっているし、何よりもこの悪人だらけの本から解放さえたい。最終巻を読んで考えよう。ビブリア古書堂の事件手帖6 ～栞子さんと巡るさだめ～ (メディアワークス文庫)Amazon（アマゾン）564円
11Apr
- 『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ
  【あらすじ】　ルッキズムに囚われている女、ユーチューバーに執着する女、不倫を妻の親友たちに糾弾される男、自分の力を過信するせいでこじれる仕事上のトラブル。心の底にたまったドロドロした感情を相手にぶつける４つの短編集。【感想】　本の帯に「綿矢りさの新境地」とあったが、綿矢りさは『蹴りたい背中』の頃とかわらずトゲトゲしていた。コロナのお陰でコミュニケーションも完全に一方通行で、たまったイライラを一方的にぶつけている状態は、読んでいても心がささくれる。そして、時々登場する略語などの若者言葉は本当に今の若者が使っているだろうかと疑問になる。私が読んで「これは今時の言葉なのかー」と思うのは、もう流行最先端ではないのではないか？アラフォーだけがわかるズレてる本なのではないか…と疑ってしまう。　トゲトゲした話たちは全く心地よくなくて、私はスカッともしない。けれど、ストーリーは完璧で、特にラスト２作はとても面白い。ささくれだった作品も価値があると不思議な感覚になる１冊だった。嫌いなら呼ぶなよAmazon（アマゾン）1,386円
04Apr
- 『ビブリア古書堂の事件手帖5～栞子さん繋がりの時～』三上延
  【あらすじ】　北鎌倉にあるビブリア古書同の店主、篠川栞子は、保父な知識と母譲りの人の心を読む力で、アルバイトの五浦大輔と共に古書が関わる謎解きの依頼も受けるようになる。今回は、常連の篠田、栞子の親友リュウの友人、そして母からの課題に挑む。【感想】　前作が一冊丸々、乱歩の小説だったせいか、今回が細かい本の章立て手で本の解決をジャンジャンしていく様子にやや気が抜ける。次回作へのつなぎのような感じさえしてしまう。しかし、恐らくこれがなくては次の展開、特に母、智恵子と栞子の関係が明らかにならないのだろうと思う。　それにしても母と娘の呪縛は、互いに恐ろしいものだ。恐らく母親は同性だから自分の娘を分身のように感じるのだろう。だから、娘には厳しくしたり、期待しすぎたりするのだろう。娘にとっておそれがどれほどの主にかも知らずに。そして娘も自分も母と同じようになると自分で自分に呪いをかけてしまう。栞子が早く母の呪縛から解放されることを自分のことのように祈ってしまう。ビブリア古書堂の事件手帖5 ～栞子さんと繋がりの時～ (メディアワークス文庫)Amazon（アマゾン）564円
28Mar
- 『この世の喜びよ』井戸川射子
  【あらすじ】　ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」はフードコートの常連の少女やゲームセンターの常連、店員の多田と仲良くなる『この世の喜びよ』。住宅展示場に体験宿泊する主婦の『マイホーム』。父子連れのキャンプにおじと参加する少年の『キャンプ』の３作品が収録された短編集。第166回芥川賞受賞。【感想】　主人公は娘２人を育てた女性なのに「あなた」という２人称で呼びかけられ、でも「あなた」の心情も描かれる。なんだか『赤いモレスキンの女』のような、水の中から世界を見ているような、霧の中で読書をしているような感覚になる小説だった。　個人的には、すっきりしないので苦手なスタイルなのだが、どの短編の主人公も内省しながら自分を取り巻く世界を見ているという設定は、とてもよく描かれている。話の展開は起伏がなく、『蹴りたい背中』のようなはっきりしない感じだった。　ところどころに出てくる学校関係の話だけ、私には大ヒットだった。この世の喜びよAmazon（アマゾン）1,562円
21Mar
- 『ビブリア古書堂の事件手帖4～栞子さんと二つの顔～』三上延
  【あらすじ】北鎌倉にあるビブリア古書堂の店主、篠川栞子は、並外れた本の知識をもとに顧客が持ち込む相談やトラブル、古書にまつわる謎を解決する。今回は栞子の母、智恵子と取引があった実業家がなくなり、遺品の本の買い取りと開かなくなった金庫を開けてほしいという依頼がくる。亡くなった鹿山明は江戸川乱歩のファンであり、そして大きな秘密を抱えていた。篠川栞子と五浦大輔は、乱歩の小説をヒントに解明へと走る。そして金庫の中の宝を目当てに栞子の母、智恵子も現れる。【感想】　今回は１件の依頼のみで構成される長編小説だった。そのため１つの謎が深く、ましてや江戸川乱歩がテーマなのでミステリー小説（なのだけど）の要素が強かった。栞子の母がまるで怪盗のように現れるのもどきどきした。が、母性の感じられない言葉や態度に栞子はもちろん、私までも体を硬くしてしまった。二人の間に、智恵子の過去に何があったのかがますます気になる。　もともと私はミステリーをあまり読まないので江戸川乱歩の小説は読んだことがないのだが、今作を読んで気になってきた。特に『挿絵と旅する男』を読んでみたい。ビブリア古書堂の事件手帖4 ～栞子さんと二つの顔～ (メディアワークス文庫)Amazon（アマゾン）564円
14Mar
- 『現在住所は冷蔵庫、自己肯定感急上昇』花上淳
  【あらすじ】　冷蔵庫を開けて、悩みを一刀両断するインスタグラマーの名言＆解説集。【感想】　インスタでSATCのBGMにのせて見目麗しくさらりと悩みをぶった切るおネエ様は、とってもかっこよく、この人の書いた本なら読んでみたいと思った。普段はこの手のタレント本みたいのとか、名言集に興味をもてないのだがなぜかこの本は惹かれた。　本になってもイン佐多の道後と同じテンポで話しかけてくるような文で、とても心地よい。SATCファンだった人間は動画の最後のセリフがよくわかるけれど、わからない人の説明もあり、インスタで刺さった動画のある人にとっては、お守りのような本だと思う。　見た目、人生、恋愛、仕事などの悩みに対するアドバイスはよくあるものばかりだったけれど、背中を押すのではなく「一緒に歩く」の言葉の通り、上からではなく、隣にいるような感じでアドバイスしてくれるのがまた心強い。現在住所は冷蔵庫。自己肯定感急上昇。Amazon（アマゾン）1,449円
07Mar
- 『ビブリア古書堂の事件手帖3～栞子さんと消えない絆～』三上延
  【あらすじ】北鎌倉にあるビブリア古書堂。本の知識だけは豊富だが接客や人付き合いが苦手な店主、篠川栞子とアルバイトの五浦大輔のコンビもだいぶ落ち着いてきた。今回は古書店組合主催の古書交換会での事件から話は始まる。他の古書店主からの話、そして栞子の母の友人だった人の宅買いを通して、栞子の母親の人物像が少しずつ明らかになる。そして意外な人物がその絆をしっかりとつないでいた。【感想】　今回は栞子と栞子の母親との関係詞、そして栞子の母、智恵子の人物像が明らかになるのだが、解くに娘の母に対する根深い思いが描かれていて、その辺はややほのぐらい気持ちになる。しかし、今作で一番心に響いたのは、１巻と同じく坂口夫妻の話だった。そしてチェブラーシカがこんなにも悲しい話だとは知らなかった。坂口しのぶのセリフにも号泣。自分の中に坂口しのぶがいることに気づかされた。　今回出てきた古書『たんぽぽ娘』（ロバード・ヤング）、『チェブラーシカとなかまたち』（ウスペンスキー）、『春と修羅』（宮澤賢治）は読んでみたいと思った。ビブリア古書堂の事件手帖3 ～栞子さんと消えない絆～ (メディアワークス文庫)Amazon（アマゾン）544円

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