【最も手がたい願望実現法】 

 
 
素敵な恋人がほしい、
事業を起こして成功したい、
たくさんの人から応援されたい……など

人はさまざまな願望を抱きます。
 

願望実現法の本を何冊も読み、
その方法を日々実践している人は
とても多いようですが、

「それでもなかなか実現しない」
という人がたくさんいらっしゃいます。
 

カギを握っているのは何なのでしょう?
 

『ザ・シフト』の中でウェイン・W・ダイアーが
次のように語っています。

「人は“欲しいもの”を引き寄せるのではなく、
“自分と同じもの”を引き寄せる」
 

また、名著『原因と結果の法則』の中には、
次の言葉が出てきます。

「私達は自分と同種のものを引き寄せます」
 

僕たち人間は磁石のようなもので、
自分という人間にぴったり合った現実を
引き寄せている、

というわけです。
 

つまり、私達は、

欲したものや念じたものを引き寄せる
のではなく、

自分という人間の器に見合った現実を、
自分の心の波長と同類の現実を、
引き寄せているのです。
 

ということは、
願望を実現する上で最も根本的なことは、
「ふさわしい自分になること」ですね。
 

素敵な恋人がほしいならば、
自分自身が素敵な人になること。

事業で成功したいならば、
成功者と呼ばれるにふさわしい人物になること。

たくさんの人から応援されたいならば、
たくさんの人が応援したくなるような魅力的な
人間になること。
 

つまり、
その願望を実現するのにふさわしい
人間性・人間力・人格を
そなえた人物になること。

これこそが
「最も手がたい願望実現法」であり、

「王道」でもあります。
 

この「王道」を外れた状態で実現した願望は、

一時的な実現にとどまってしまい、
永続しないことが多いのです。
 

もしも、あなたが今、
何かお気に入りの願望実現法に
取り組んでおられるなら、

この「王道」にも、
同時並行で取り組んでみられたら、
とても強力だと思います。
 

さて、ここでもう一つ話をしたいと思います。
 

「類は友を呼ぶ」という諺(ことわざ)が
あります。

一般的には、
「似た者同士が自然に集まる」とか
「同じ性質を持った者どうしが寄り集まる」
という意味で使われますが、

人と人の間には、
もっと深い内面的なレベルで、
引き寄せ合う力が働いていると思われます。

つまり、
同じ心の波長を持っている者どうしが
引き寄せ合い、つながり合うのです。
 

作家の宮本 輝さんが、
『命の器』というエッセイの中で、
次のようなことを書いておられます。
 

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運の悪い人は、
運の悪い人と出会って
つながり合っていく。

へんくつな人は
へんくつな人と親しんでいく。

心根の清らかな人は
心根の清らかな人と、

山師は山師と出会い、
そしてつながり合っていく。

実に不思議なことだと思う。

「類は友を呼ぶ」ということわざが
含んでいるものより、
もっと奥深い法則が、
人と人の出会いをつくりだしている
としか思えない。
 

どうしてあんな品の悪い、
いやらしい男のもとに、

あんな人の良さそうな
美しい女が嫁いだのだろうと、

首をかしげたくなるような夫婦がいる。

しかし、そんなカップルを
じっくり観察していると、

やがて、ああ、なるほど と
気づくときがくる。

彼と彼女は、
目に見えぬその人間としての基底部に、
同じものを有しているのである。

それは性癖であったり、
仏教的な言葉を使えば、
宿命とか宿業であったりする。
 

それは事業家にもいえる。

伸びていく人は、
たとえどんなに仲がよくとも、
知らず知らずのうちに、
落ちていく人と疎遠になり、

いつのまにか、
自分と同じ伸びていく人とまじわっていく。

不思議としか言いようがない。

企んでそうなるのではなく、知らぬ間に、
そのようになってしまうのである。
 

最近、やっと
この人間世界に存在する数ある法則の中の
ひとつに気づいた。

「出会い」とは、
決して偶然ではないのだ。

でなければどうして、
「出会い」が、
ひとりの人間の転機と成り得よう。
 

私の言うことが嘘だと思う人は、
自分という人間を徹底的に分析し、
自分の妻を、あるいは自分の友人を、
徹底的に分析してみるといい。

「出会い」が断じて偶然ではなかったことに
気づくだろう。

(『命の器』宮本輝著より一部要約して引用)