『敵がいない』と言う人間は、単なる偽善者か視野の狭い馬鹿だ。
自分が自分を貫くことで、嫉妬し、敵対し、あるいは淘汰される人間がいるのだ。
あるいはそれは、人間だけではない。
道路工事の時に、なぜ命を懸けて止めなかったのだ。その下には、幾多もの動物や昆虫といったあらゆる生命があり、それを潰して埋め立てて、我々人間はそこに道路を作った。
まさか、自分は関与していないから、自分はそれらの敵にはならない。と言うつもりなのか?
もうわかっただろう。『敵がいない人間』などいないのだ。
キリストは言った。
『なぜ人間を中心に考えなければならないのだ。全て平等に扱う。』(超訳)
これは普通の発想だ。まさか、人間が宇宙の覇者だと思っているわけではあるまい。
だとしたら、『神』がもしいたとしても、それは『人間本位の神ではない』ことは、考えたらわかることである。
そう考えたら、ある種の悟りの境地に入るだろう。
仕方がない。
自分が生きることで、どこかで多様性の一部が失われ、あるいは勢いが劣化することがあるのは。
動物や昆虫を見よ。皆、同じように、生きるために生命を狩り、彼らにも天敵がいるのだ。
重要なのは、それを意識しているかいないかだ。
いないなら冒頭に書いたとおりの人間に成り下がっただけ。いるなら、そこにいるのが『人間』である。
『汚れるのが嫌ならば、生きる事を止めなければならない。生きているのに汚れていないつもりならば、それは単なる鈍感なだけだ。』
吉行淳之介
人間は生きてるだけで悪そのものだということに気付こう。
誰も人のことを悪くなど言えるわけがない。
残念ながら全員悪人です。