多分人には、資質というもんがあるように思うんだけど。

 特に組織という仕組みにはそれが表れやすい。資質も変ったり育つので。

 時代物でも大将の器とか言ったりするけれど、でも大将だけじゃ戦はできぬだよね。信頼できる副将、知略にとんだ参謀、果敢な戦士も必要だ。

 池波の「鬼平犯科帳」が何故サラリーマンに愛読されるかって、常盤新平さんが書いてらしたけど、それは理想の組織だからだっていうのね。

 思慮と剣に優れた部下思いの長官、主同心の佐島は右腕として鬼平を支え部下を労わる。そんな長官を親方を信じ、命をまとに働きぬく部下達。情でつながる密偵達。それが一体となって事件を解決していく。

 組織とか軍隊はむろん好きじゃないけど。いぜんネットゲームを8年もやっていて、その時に感じたんだけどね。

 普段は6人のパーティで気楽に狩りをしてるんだけど、それ位だと前衛と後衛って役割で充分で、仲間とワイワイやれるのね。

 一匹狼で独りでやってる人もいたけど一人じゃ勝てない強い相手がいい武器とか落とすしね。そんな時でも何時も自分からパーティを作る主動的人もいてこれも性格がでるの。

 難しいミッションをこなす時は、このパーティが3組でアライアンスを組んであたる。そうなると、リーダーの戦略や人の配置や指示にかなり差が出てくるの。

 ブログだってそうだろうけどゲームでもチャット会話しながら一緒に旅をしてると、性格って出てくるもんなのよね。北海道に住む酪農家も熊本のサラリーマンも埼玉の中学生も、色んな世代も地域も違う人と仲間になって時に仕事の愚痴や家族の話もする。

 後半は米国人、カナダ人など外国人とも組んだんだけど。スペイン在住の息子の友人とも遊んだり。

 外国の人は結構ドライで、学校行くからとか家事があるからってクルクル交代したり抜ける。一般に日本人はプランを立て仲間に気を使う。

 ひどいのは中国人の業者が入ってきて、この人達はゲームを愉しみにやってるんじゃないの。ドロップアイテムを現実の金で売り買いしていっぺんに荒れてしまった。

 時給で24時間交代で商売としてやってるからね。割り込むし物を売りつけてくるし、集団で一気にレベルあげてのしてくるしね。これで辞めてしまった人も多かった。

 それで、裏世界って有料の雪原エリアがあって、ここの闇王ってボスはめっちゃ強いの。

 時間制限の中で闇王の城に行くまでも、強力な敵が大軍で襲ってくる。だからアライアンスが3チーム、つまり54人の部隊になる。

 もうそうなるとリーダーの資質が問われるんだよね。あたしの所属していたチームは「コウライ」さんってリーダーで、とても優秀な人で有名だった。

 3台のゲーム機で3人のキャラを持っていて、何時も先陣を切って部隊をリードするし、分配も公平でチームの一人一人の個性を掴んでいる。編成もメモに準備している。こういう人はリアルでも多分優秀なんじゃないかと思った。現実に何の得もないけど。

 副将3人も、普段は自分の部隊を持っているような人ばかりで、その下の小隊長もきびきびと指示により、時に臨機応変に動く。

 むろんあたしは一兵卒の黒魔道士で、黒チームの後ろからついていくだけなんですが。黒魔道士は強大な攻撃魔法を使えるんだけど、全職業中で最も打たれ弱いの。

 ただ黒魔道士6人が一斉に魔法を撃てれば、一気に沈められるから時間と気をきっちり合わせないと、先に着弾させた人に一気にヘイト(憎しみ)向いて倒されてしまうのね。

 だから緊張する。チームに一人赤魔道士入れてサポートさせる。この黒チームの小隊長は、ゆいちゃんて女の子らしいんだけど。女キャラだって中味は男ってこともあるんだけどね。コウライさんの信頼厚い判断の優れた人だった。何より失敗して落ち込んでもドンマイって励まして前向きなの。

 あたしも呑気なムードメイカーで、楽しくやるのが何よりの人だからね。へっぽこなりにも準備はばっちりで、仲間の薬まで用意したり、裁縫職人でもあったから防具を補強したり気配りもすんの。

 こないだ「エンダーのゲーム」って映画wp観たんだけど、未来世界で地球外生物と戦うチームはみんな少年少女の。シュミレーションゲームで訓練を受けて編成されているのね。少年の成長もテーマなんだけど。

 日本ではゲームっていうと子供に悪影響があるとか、犯罪者はゲームオタクとか言われてぶが悪いんだけど。そんなこと言ってバッシングしているから日本の優れたゲーム業界がダメになるんだよ。

 ゲームも知らない評論家とか称する人が、バーチャル世界と区別がつかなくなるとか、残虐になるとか、シレッと言ってる番組みると、ケッとか思っちゃう。それは遊びのツールなんだから使う側の問題でしょ。依存症になるのは背景に問題もあるでしょ。

 埼玉の中学生は受験で時間制限もらってゲームに来ていた。少し休んで戻ってきて、高校受かりしたぁって報告に仲間はみんな拍手して贈り物をして喜んだ。

 彼は言った。うち母子家庭で父親も兄弟もいなかったから、我がまま言ってゲームやっていたけど、やってて良かったと思う。チームに育てていただきましたって。大人の仲間はちょっと泣いたよね。高校頑張れよっ、何時でもこいよみんないるから。

 かあさんがゲームに嵌った頃って動画をみて、切なく思った。息子の愛情が伝わってくる。ゲームなんてとバカにしていたかあさんが、負けて倒されてそれでも少しずつ強くなっていく姿。へっぽこも成長するんだよ。

 今やシュミレーションはカーレーサーやパイロット訓練にも使われている。都市設計や電車の運転手もシムシティや電車でGOで遊んでいる時代なんだよね。

 いっそ戦争もゲームでやればいいのに、でもそうなると中国人みたいに強制訓練してゲーム戦士を育成するのなぁ。

 格闘ゲーム世界では日本を抜いて韓国が最強らしいが。民族性も出るのかもしれないね。

 日本人は、ゲームと仲間と愉しむことを優先する和の民だからねぇ。ゲーム社会では日本人と組みたがる。礼節、仲間思い、工夫と知略。職人、役割の理解。こんな所にも現れるもんなんだよねぇ。

 資質も育つって知るのはいいことよね。へっぽこが最強のリーダーになる可能性もあるんだからね。一兵卒として優れている人にも存在価値がある。職人はこつこつした努力を評価される。

 現実世界では理不尽なことが多すぎる。努力しても報われない事もある。だから達成感のあるゲームにも役割がある。

 まぁ、あまり共感はされないだろうけれど、それがゲームや組織というチームに共感した理由の一つでではある。

 愉しく遊べることは大事で。ささやかな贅沢でもあるんだけど。孤独な老人はゲームをやればいいんだよね。