長い話になるんでやんす;
F君は仲間になったばかりの頃は、
キーボが上手く打てなくって、無口だったけど、
段々みんなと、お喋りするようになっていったのね。
奥さんが美人で、可愛い4才の女の子がいて、
膝に娘を載せて、晩酌しながら、
ゲームしてるって感じの人だったのよ。
みんなも、おノロケ、ごっっさんタル~とか、
そんな嫁はん、マジほしいッス、とかいって、
からかったりしてたねん。
そんなF君が、しばらく姿をみせない日があって、
仕事忙しいんやろか~
家庭があるって、ゲームする時間が、
とれないんやろな~とか話してたの。
そんなある日、マウラの港町で、
何時もの仲間で、砂丘って呼ばれる海岸に行こうかと話してると、
↑セルビナ海岸の砂丘
お!、Fさんがインしたよ。
フレンドリストってのを開くと、自分と友達登録した人が、
ヴァナディールに入ってるかが判るんよ。
お~い、お久さだね~♪
話しかけると・・
ごめん、これなくって・・実は・・
かみさんが行方不明になって・・
携帯も友達にも、連絡なくって、帰ってこないんだよね。
え~っつ!!、警察とか届けたん?
嫌・・まだ・・
小さい町だし、自分の職場にも、何も言ってないんだ・・
ゲーム仲間が、何か知ってるかもしれないと思って、
今、彼女のリンクシェル仲間に、話してるんだけど・・
オレ、バスツゥーク国まで、いってくる。
バスツゥーク国は、奥さんのKちゃんの所属国で、
その頃のあたい達のレベルでは、
歩いていくのは、かなり危険な道のりだったの。
付いて行こうか?
いや、一人のが向こうも話しやすいし、行ってくるわ。
みんなは心配で、狩にもいかず、
F君とリンクで話しながらマウラの港町をぶらついてた。
最近さ、Fやりっきりで、家事も子供の世話も、
目の見えないお母さんの世話も、ほとんどしないんで、
ちょっと口喧嘩したんだけどね・・
Kちゃんレベル高いし、かなりやり込んでいるんやな~って、
思っていたけど、そうやったんか~
↑Kちゃんは姫キャラでふ
しばらく経って・・F君は戻ってきた。
何回か戦闘不能で、戻って、やっとバスツークまでいったらしい。
モンスターに負けると、戦闘不能になってパッタリ死ぬんだけど、
自分のホームに戻されて、経験値ポイントをロストして、
時にはレベルが下がっちゃったりするのね。
彼女の仲間に会って、話したけど・・
みんな知らないって・・
でも・・何か隠してるような気がするんだよね。
どうしようもない・・
酒飲んでるけど、娘みると涙が出る、泣けるよ。
みんなも、かける言葉がない・・
大丈夫だよ、ちょっとスネてるだけで、
戻ってくるよきっと・・
俺たちも、バスに行って、聞いて廻ってみるよ。
そのうちに、F君が話さなくなって、全く動かなくなったの。
きっと、酔って寝ちゃったんだろうね・・
現実の友達には、かえって話せないんだろうね~
もう遅いし、落ちようか・・
でも・・F君が、朝起きて画面みたら、
一人で立ってたら・・
すごく悲しいよね・・
うんうん、淋しくて、悲しくなるよね。
じゃ、俺たちも落ちないで、このまま周り囲んで、
いてあげようよ。
小さいタルタルはノッポのFさんを取り囲んで、
座ったまま、電源を切らずに、それぞれ現実に寝たの。
数日後、Fさんが入って来て、
心配掛けてごめんね。
連絡とれた・・
わ~良かったね~
叱っちゃダメだよ~仲直りしないとね~
そうや、怒ったらあかんよ~
いや、かみさんは、戻らないって・・
ゲーム仲間の男と駆け落ちしたんだよ・・
ぐぇ~!
ぐっは~本当にぃ~!
娘は、絶対渡さないつもりだけど、
彼女の、目の見えないお母さんは、申し訳ないって泣くし、
職場にも判って、同僚になんて言われてるか・・
もう、どうしていいか・・
こんな時、どう言葉かけられるのか、
慰めようがなかった・・
Kちゃんは24才位で、相手は26才。
ゲーム始めた頃からの仲間で、
毎日一緒に、冒険に出てたらしいの。
住んでる場所も、1時間位の所で、
現実に、こっそり遭い始めたらしいのね。
ゲームは怖いな~
毎日、顔あわせて、風邪ひいたら心配してくれて、
現実の友達より、長い時間一緒に過ごして、
悩みも、冒険の楽しさも、共有していたら・・
情が湧くのは、当たり前だよね~
その後二人は離婚して、Fさんは酒浸りになって、
ゲームに来ても、飲んで寝落ちを繰り返して、
やがて来なくなってしまった・・
後日、Fさんから、現実に電話が来たの。
あんまり気の毒で、電話番号教えたからね。
奥さんはその人と再婚した。
ところが・・奥さんのお腹には、
F君の赤ちゃんが宿っていたのね。
相手の男は、自分の子供だって思って喜んでいる。
奥さんに、相談されたんだけど・・
FさんはDNA鑑定しても、
裁判しても、自分が引き取るって、決心したらしいの。
Fさんは、戻ってきて欲しいんだよね。
すごい人生が、ネットにもあるのだね~
しかし、もっとすごい事が・・
<続く>