★★★

コンビニでは、ちゃっかりまた奢らされてるアタシ。
でもちゃんとさりげなく荷物は持ってくれる かずさん。

耳元であんな事言われて、まだドキドキが止まらない…。

『今日も遅かったね?いつもこんな…?』

「うん……そう。これでも早いくらい。」

『ふぅ~ん、大変そだね?』

ここに引っ越してきてまだ3日目、かずさんと出逢ってまだ3回目…

なのに、何だか長年付き合ってるみたいに自然で スルリとアタシの領域に入り込んで来る不思議な人……

『あ…、ねぇ…何それ?もしかして俺にお土産?
そこのケーキ、旨いんだよな~!

そっちも持ってあげようか?』

かずさんは目ざとくアタシが持ってる紙袋に気づいた。
たまたま綾乃が貸してくれた紙袋が、会社の近くの洋菓子店のものだった。

「あっ、いや…これは……大丈夫。

違うの。お菓子じゃなくて、後輩が貸してくれたDVDで……」

『なに?DVD??あ、じゃあ一緒に見よ?』

………あぁ…完全に墓穴掘ったかも……

かずさんには内緒で確認するために、コッソリ見るつもりだったのにな……

『いいじゃん。持ってやるよ。』

そういって、かずさんは強引にアタシの手から紙袋を奪った。

どうしよ…………
もうこうなったら直接聞いちゃう?


あなたが二宮和也サンなんですか?って………


いやいや……まさか……

何かミーハーみたいで、そんなの聞けないよ……!!


『ねぇ、なに難しそうな顔してんの?

ほら、エレベーター、来ましたよ?』

かずさんに言われてハッとして、慌ててエレベーターに駆け込んだ。


『あ、そうだ!今日また叙々苑のお弁当もらったの。

あなた食べるでしょ?』

「えっ?!マジで??食べる食べる♪」

『ふふふ……じゃあ着替えたらおいで?うちにあるから。』

思わず……食べ物に釣られてるアタシは馬鹿だ………

エレベーターが止まると、かずさんは真っ直ぐ 自分ちに向かって部屋のドアを開けて サッサと部屋に入ってしまった。

「あっ!ちょっと!!」


今、買い物したものも……綾乃に借りた紙袋も……買ったテレビ雑誌も……全部持ったまま………


★★★

おはよ~♪

あらら、全部持ってかれちゃった(笑)

ちゃんと返してもらわなきゃね~?