★★★

そぉっと、そぉっと…
足音を立てないように忍ばせて、ゆっくりと…でも急いでリビングを寝室めざして歩く。

途中、段ボールが行く手を阻み すんなりと辿り着けなくて焦った。

ミャー…
みかんが、かずさんの足元でこっちを見て小さく鳴いた。

「シーッ!」

お願い、いい子だから今は静かにして、大人しくしててね?

寝室の入口は、かずさんが座るソファーの奥。
その前を通らなきゃ辿り着けない。

アタシはキュッとバスタオルの脇を締め直すと、一気にソファーの前を通過して寝室へ向かう……




…はずだったのに…

ミャーッ

あろうことか、アタシが遊んでるんだと思ったのか、みかんがアタシの背中めがけて飛び付いてきた。

「やだっ、ちょっと、みかんっ!やめっ……」

飛び付いた勢いで、肩に掛けていたバスタオルはハラリと床に落ち、身体に巻き付けたバスタオルの背中にみかんの鋭い爪が引っ掛かり取れなくなっちゃうし、

もぉ、もぉ、みかんの馬鹿!

「馬鹿、もぉ~!駄目でしょ?みかん」

アタシは必死で絡み付いたみかんを外そうと背中に手を伸ばした。



『……なにしてんの?』

背中でかずさんの声がして、アタシは飛び上がりそうになった。

『ククッ…

なんか楽しそうな事してんね?』

立ち上がって、アタシの背中にゆっくりと近づく足音と気配……

あぁ………神様……

もう寝室は目の前だって言うのに、アタシはそのまま金縛りに遭っていた。

『ねぇ…あなた、

そんな格好でウロウロしたら襲っちゃうよ?』

すぐ近くでクスクス笑う声がして、背中にかずさんのあったかい手がそっと触れる。

絶体絶命……

アタシはもう一度、バスタオルをキュッと締めた。


★★★

んふふドキドキ

みかんちゃん、ナイス(笑)


おーっと、背中に手が伸びた~??!


絶体絶命‼️