★★★


『はぁ~~・・・・ 疲れたぁ・・・・』


アタシは元彼の腕を振り切って、デスクへと戻った。

背中で何かを言ってる声が聞こえたけど、もう後ろは振り返らないって決めたんだ。


アタシは机に伏せるようにして、うなだれた。

昨日からの一件といい、朝から元彼に掴まってしまった事といい・・・

何か、いろいろ疲れた・・・



「はい、どうぞ? 先輩、何か疲れてません??」


コトン・・・と机の上に置かれたカップ。

ユラユラと湯気とともに香ばしい匂いが立ち込めている。


あぁ・・・、アタシ。 コーヒー、苦手なんだよね?

この子、一体いつになったら気付くんだ?


『あ・・・・、ありがと。』


「どういたしまして。」


顔を上げたら綾乃が無邪気な笑顔で笑っている。


「そんなに大変なんですか?引越しって。


先輩もラクラクパック、使えば良かったのに。あれだったら全部向こうがやってくれるから楽ですよ?


あっ!良かったら今度お手伝いしに行きましょうか??」


そういってニッコリ笑う綾乃は、若くて可愛らしい。

若さが武器みたいなところがあって、仕事はあんまり出来ない癖に、やる事だけはやっている。


『そんな事したら一樹(かずき)に叱られるわ?? あ・・・、ここでは部長・・・ね?』


「うふふ・・・ 先輩のところだって言ったらカズくんも文句言いませんよ?」


綾乃は、勝ち誇ったようにニヤリと笑った。

一瞬、背筋がゾクッとした。



そう・・・・ 綾乃は、一樹の奥さんで・・・・

アタシは綾乃に一樹を寝とられた。



若くて可愛くて気が利く綾乃は、頭もよくて機転が利く。

したたかで、女を武器にするような・・・ 怖い女。


アタシにも、綾乃のような若さがあれば、絶対に負ける事はなかった・・・

あの頃に戻って、もう一度やり直したいって思う時もある。


そうすれば、あんなダメな男にはなびかなかったのに・・・・


『さぁ、仕事、仕事。 今日はミーティングよ?


資料の準備と、お茶の準備、お願いね?』


「はぁ~い」





アタシはもう、恋愛なんてしない。

本気で人を好きになったり、愛したりしない。


もう傷付くのは嫌だ・・・・

もう哀しい思いをするのは嫌だ・・・・



そう、思っていたはずなのに・・・

そう、思っているのに・・・



★★★


悪女。(笑)



こういうタイプ・・・どこにでも居ますよね〜^^;



また綾乃ちゃんのアンチが増えそうだな・・・・ww