★★★


今、目の前に・・・・声の届く距離に・・・・すぐそこに、翔くんが居る。


翔くんは、私に気付かず本棚を行ったり来たりしながら、戻す場所を探していた。


もう喉元まで声が出てるのに、うまく声にならない。


―― 翔くん・・・・・・


私は心の中で何度も名前を呼んだ。

ギュッと腕時計を握りしめる。


ここまで逢いに来たんでしょ??

何を躊躇っているの?


そう思う気持ちと・・・・


やっぱり翔くんには、ふさわしくない。

迷惑をかけちゃいけない。


そんな二つの思いの狭間で、グラグラと揺れていた。







『あっれぇ~・・・・・どこだ~???』


結局、仕舞う場所が見当たらないのか、翔くんは立ち止まって頭をかきむしって困っていた。


私はつい司書の癖で、思わず彼に近付いて、その本を彼の手から奪っていた。


「えっと・・・・・この本なら・・・・・、こちらです・・・・・」


本の背表紙にあるナンバーを確認すると、さらに奥の本棚へと歩き出す。


『えっ・・・・・あ、どうも、ありがとうございます・・・・・・あっ!!』


そんな私を最初は司書さんだと思った翔くんは丁寧にお礼を言って、そのあと大きな声を上げた。

そして、ここが図書館だと気付いて、慌てて右手で口を塞いで、私の後を足早について来る。


私はその本を本棚に仕舞うと、ふぅーーーっと息をはいた。

本を仕舞う場所は、すぐに見つかった。


『さすが、司書さん・・・・だね?』


翔くんの声がした。



ドキドキして、身体じゅうが熱くてたまらない・・・・


真後ろに翔くんが居る・・・・

私は本棚に向かったまま、振りかえれずに居た。



『来て・・・・・くれたんだ・・・・?』


背中で震えたような声が静かに聞こえる。


私は左手を胸に当てて、ギュッと右手で時計を握りしめた。



『もう・・・・・来てくれないのかと・・・思った。』


ゆっくり・・・言葉を選ぶように、優しく語りかける声は 私が大好きな彼の声。



『ねぇ・・・・・こっち、向いて? 顔・・・・見せてよ?』


一歩、また一歩と、近付いてくる足音に、私はギュッと目を閉じた。




★★★


くぅーーーーーーーーっ!!!!!


困ってる翔くん見たら、つい出て行っちゃったww


さぁて、どうしまショウ?!


もう、逃げられない!!


逃がさない?!